更新日: 2022.10.11 その他暮らし

2022年10月から後期高齢者医療負担に「2割」が新設。どのくらいの収入の人が対象?

執筆者 : 新井智美

2022年10月から後期高齢者医療負担に「2割」が新設。どのくらいの収入の人が対象?
2021年の法改正により、2022年10月より、後期高齢者の一部の人に対する窓口負担が現行の1割から2割に変更されます。対象となるのは、後期高齢者の人で一定以上の所得がある人ですが、実際にどのくらいの所得があると、2割に変更となるのでしょうか。今回は、後期高齢者の医療費負担割合増加の詳細について解説します。
新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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自己負担が2割になる人の所得条件とは?(※)

2022年10月より自己負担割合が2割になる人とは、以下の両方の条件に当てはまる人です。
 

●同世帯の被保険者の中に、課税所得が28万円以上の人がいる
 
●同世帯の被保険者の年金年収とその他の合計所得金額の合計額が以下に当てはまる人
 
<単身世帯>200万円以上
<2人以上の世帯>合計320万円以上

 
両方の条件に当てはまる場合は、2022年10月より、自己負担割合が2割になります。ここで気を付けておきたいのは、2人以上の世帯で条件に当てはまる場合は、世帯全員が2割負担となることです。世帯主と配偶者の2人世帯で、配偶者は国民年金のみの受給だとしても、2割負担の対象となることを覚えておきましょう。
 
さらに、現役並みの所得(課税所得が145万円以上、かつ、医療費の窓口負担割合が3割)の場合は、世帯全員が3割負担です。
 
自分がどの負担割合に該当するのかについて、図表1のフローチャートで確認しておきましょう。
 
また、判断や計算の際には以下の点にも気を付けておきましょう。
 

●原則として75歳以上の人が対象ですが、65歳から74歳で一定の障害の状態にあると認定された人も2割負担の対象に含まれます。
 
●課税所得=住民税納税通知書の課税標準額です。また、課税標準額とは、前年の収入から各種控除を引いた後の金額です。
 
●年金収入には、遺族年金および障害年金は含まれません。
 
●その他の合計所得金額とは、事業収入や給与収入などから必要経費や給与所得控除などを差し引いた所得金額のことをいいます。

 
【図表1】
 

 
(※5=現役並み所得者とは、原則として課税所得が145万円以上で、医療費の窓口負担の割合が3割の人を指します)
出典:厚生労働省 「後期高齢者の窓口負担割合の変更等(令和3年法律改正について)」
 

配慮措置について

これまで1割だった負担割合が2割になると、単純に2倍の医療費を窓口で負担しなければならないのかと思い、家計への負担が気になる人もおられるのではないでしょうか。今回の法改正により、窓口負担が1割から2割に変更となった人には、配慮措置が設けられています。
 
配慮措置の内容は、今回2割負担に変更となる人について、2022年10月1日から2025年9月30日までの間について、外来での窓口医療負担増加額(1ヶ月)を3000円までに抑えるというものです。ただし、入院の際にかかる医療費は対象外です。
 
同じ医療機関で受診する場合、3000円の負担増加額を超える額については支払う必要はなく、負担増加額が3000円を超えた場合は、その月のそれ以降の受診の際に支払う医療費は1割負担となります。
 
複数の医療機関を受診する場合は、1ヶ月の負担増加額を超えた部分について後日、高額療養費として払い戻されます。払い戻しのために、口座の登録が必要となりますので、現在高額療養費の払戻先の口座を登録していない人に対し、自治体から申請書が郵送されますので、申請書に記載の内容に沿って、口座の登録を行ってください。
 

後期高齢者医療費負担割合増加の背景

2022年度以降、団塊の世代が75歳以上の高齢者となり始める中、医療費の増加が見込まれており、今後も増加する見通しとなっています。後期高齢者の医療費については、その約4割が現役世代からの支援金でまかなわれており、現役世代の負担を抑える目的で、法改正が行われました。
 
今回の改正により、実際に窓口での負担割合が2割に増加する人は、後期高齢者全体の2割を占めるといわれています。
 

今後の注意点

窓口負担が2割になる人に対しては、1ヶ月の負担増加額を3000円とし、それを超えた部分については、高額療養費として払い戻します。このお知らせは必ず郵送で行われ、電話などで口座情報の登録をお願いすることや通帳を預かることは絶対にありません。電話や訪問があった際は詐欺だと判断し、詐欺被害にかからないよう注意してください。
 

まとめ

この度の法改正により、一定以上の所得がある後期高齢者の人の医療費負担割合が1割から2割に変更されることになりました。また、現役並みの所得がある人は、これまでと同様、引き続き3割負担です。
 
日本の高齢者の人数はこれからもますます増加し、少子化の問題も加わって、医療費の増大に対する対策は今後も必要になってくることが予想されます。現役世代の負担の増加や、高齢者に対するさらなる負担増加なども考えられることから、今後の法改正の内容に注意しておきましょう。
 

出典

(※)厚生労働省 後期高齢者の窓口負担割合の変更等(令和3年法律改正について)
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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