就活を終えたら、奨学金返還について確認しておこう

配信日: 2022.10.18 更新日: 2022.11.04

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就活を終えたら、奨学金返還について確認しておこう
来春卒業予定者の就活も終盤を迎え、すでに内定を獲得した方も多いかと思います。入社までまだ半年ほどありますが、貸与奨学金のある方は返還手続きを早めに確認し、初任給での新生活を具体的にイメージしてみましょう。
伊藤秀雄

執筆者:伊藤秀雄(いとう ひでお)

FP事務所ライフブリュー代表
CFP®️認定者、FP技能士1級、証券外務員一種、住宅ローンアドバイザー、終活アドバイザー協会会員

大手電機メーカーで人事労務の仕事に長く従事。社員のキャリアの節目やライフイベントに数多く立ち会うなかで、お金の問題に向き合わなくては解決につながらないと痛感。FP資格取得後はそれらの経験を仕事に活かすとともに、日本FP協会の無料相談室相談員、セミナー講師、執筆活動等を続けている。

奨学金を返すのは本人

今回は、多くの方が貸与を受けている日本学生支援機構(以下、JASSO)の奨学金を例に説明します。実は、JASSOの調査(※1)によると、自分が返還義務を負うことを知らなかった学生が少なくないのです。
 
返還義務を知った時期が「申込手続きを行う前」なのは、無延滞者が88.9%であるのに対し、延滞者では52.2%にとどまります。さらに、「貸与終了後に返還義務を知った」者は、無延滞者は1%強ですが、延滞者では17.2%、貸与者全体では約10%が該当します。
 
奨学金=債務ですから、本人に借金を負う認識が曖昧な場合は、本人の自覚もさることながら、今からでも家族や周囲からの丁寧な説明が不可欠です。
 

在学中の手続き

返還に向け、在学中に手続きする内容(※2)は以下のとおりです。
 

■貸与奨学金返還確認票

奨学金の貸与終了年度の後半、または貸与終了時に、「貸与奨学金返還確認票」が学校から交付されます。次のような内容が記載されているので、間違いがないか必ず確認してください。

(1)借用金額
(2)貸与期間
(3)返還方法
(4)返還金額(第二種は利子込み仮計算)
(5)氏名・住所等

返還は、3月に貸与終了した場合は同年10月から始まります。奨学生採用時に「返還誓約書」を提出しており、第一種は、そこで定額返還方式か所得連動返還方式か、また定額返還方式なら月賦かボーナス併用かを選択しています(第二種は定額返還方式のみ)。この選択は、原則変更できません。
 
なお、第二種奨学金は、貸与終了後に確定した利率が通知されます。また、連帯保証人と保証人宛にも「返還についてのお知らせ」が送付されます。
 

■口座振替(リレー口座)加入申込書

返還用の振替口座です。申込用紙は貸与終了時に学校から配布される「返還のてびき【ダイジェスト版】」に差し込まれています。また口座変更等の場合には申込用紙はJASSOホームページから印刷します。口座振替加入後、「口座振替(リレー口座)加入通知」で、返還開始月や返還の明細が8月上旬~中旬頃に連絡されます。口座未加入のままだと、同じ頃に「口座加入督促通知」が送られてきます。なお、振替日は毎月27日です。給与の支払日は25日頃の会社が多いようですが、28日以降に設定されていないか、内定先の給与支払日を確認しましょう。奨学金の振替日のほうが早いと、残高不足になっている恐れがあります。
 
振替口座は、使いやすい口座を自由に指定すればよいのですが、ネット銀行や一部銀行等は対象外なので、事前に利用可能金融機関を確かめてください。
 
なお、リレー口座には、『あなたの返還金が後輩奨学生の奨学金としてリレーされる』という意味が込められています。手続きが漏れないよう、スケジュールに入れておきましょう。
 

返還免除と在学猶予届

奨学金返還以外の手続きについても押さえておきましょう。
 
1つは、第一種奨学金受給者で大学院(修士・博士等)卒業予定の方は、特に優れた業績と認められた場合に、大学院在学中の奨学金返還が半額または全額免除になる「業績優秀者返還免除」の取り扱い(※2)があります。毎年12月に大学へ推薦依頼があり、本人の申請を大学がJASSOに推薦します。論文、学会、ボランティア、学内成績、文化芸術・スポーツ分野等、幅広く対象になるので、検討してみてはいかがでしょうか。
 
もう1つは「在学猶予」(※2)です。留年・休学等で卒業せず、引き続き在学する場合に「在学猶予願」を届け出ることにより、返還期限が先送りされます。猶予願を提出しないと返還が始まってしまうので注意が必要です。
 

初任給でのやりくりをイメージしよう

定額返還方式の場合、貸与総額で毎月の返還額と返還期間が決まっており、JASSOホームページから返還例を確認できます(※2)。
 
例えば、第二種奨学金を毎月10万円4年間借りると、総額480万円です。利率固定方式で年利0.5%が適用された場合、毎月約2.1万円を20年間で返還することになります。大卒初任給のほぼ10%ですから、税金、社会保険料、食費、住居費など、他の必須費用とあわせると、自由になるお金はそれほど多くありません。貯蓄も必要ですね。
 
確実に返還を継続できるよう、限られた収入の中で支出の優先順位を決め、生計をシミュレーションする時間を事前にぜひ取ってみてください。
 
(※1.)独立行政法人日本学生支援機構 調査データ:令和2年度奨学金の返還者に関する属性調査
(※2.)独立行政法人日本学生支援機構 奨学金の返還について
 

出典

独立行政法人日本学生支援機構 ホームページ
 
執筆者:伊藤秀雄
FP事務所ライフブリュー代表
CFP®️認定者、FP技能士1級、証券外務員一種、住宅ローンアドバイザー、終活アドバイザー協会会員

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