更新日: 2022.10.19 その他暮らし

生活保護を受給中です。就職のために技能を修得したいのですが、保護費から受給できますか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

生活保護を受給中です。就職のために技能を修得したいのですが、保護費から受給できますか?
生活保護受給者は就職に必要な技能や資格の修得に関する費用の受給が可能です。この費用は生活保護の枠組みの中の生業扶助から支給されます。
 
生業扶助の主な目的は生活保護受給者の自立の促進です。そのため、働く能力がある人にだけ支給されるという特徴があります。
 
本記事では、就職のために技能を修得したい生活保護受給者が知っておきたい生業扶助について解説します。
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生活保護には8つの扶助がある

生活保護は8種類の扶助で構成されている社会保障制度で、それぞれの費用に応じて扶助費が支給されます。
 

・生活扶助

支給されるのは日常生活に関する費用(食費、衣服費、光熱水費など)です。一般的に生活保護といえば生活扶助を指して使われます。
 

・住宅扶助

支給されるのは住宅の確保や維持に関する費用(家賃、間代、地代、補修費など)です。敷金・礼金や契約更新料が認定されるケースもあります。
 

・教育扶助

支給されるのは義務教育に関する費用(学用品代、教材費、給食代など)です。クラブ活動や校外活動に関する費用は対象ですが、修学旅行の積立金は支給されません。
 

・医療扶助

支給されるのは病気やけがの治療費(診察料、薬代、施術費など)です。ただし、公的医療保険が適用外の差額ベッド代や先進医療費などは支給されません。
 

・介護扶助

支給されるのは介護保険の給付対象となるサービスに関する費用です。
 

・出産扶助

支給されるのは出産に関する費用(分娩費、入院費、衛生材料費など)ですが、入院費は最長で8日間分までと決められています。
 

・生業扶助

支給されるのは就労に関する技能や資格の修得に関する費用です。
 

・葬祭扶助

支給されるのは葬祭に関する費用(遺体搬送、火葬、納骨など)ですが、原則として通夜や葬儀に関する費用は支給されません。
 

生業扶助について詳しく解説

8種類ある扶助費の中で、就職のための技能を修得したい人に該当するのは生業扶助です。
 

・生業扶助とは

生業扶助では、生活保護受給者が新たな職業を得るための技能や資格の修得費が支給されます。当扶助の対象者は、現時点で国が定める最低生活費を下回る人とその可能性がある人です。
 

・生業扶助の種類

社会人が受給できる生業扶助には、(1)生業費(2)技能修得費(3)就職支度費があります。
 
(1)の生業費に該当するのは「生計の維持を目的として営まれる小規模事業に必要な資金」か「生業を行うために必要な器具や資料に関する費用」です。(2)の技能修得費は「生計の維持に役立つ技能や資格を修得するための費用」が該当します。(3)の就職支度費に該当するのは「決定した就職に必要な洋服や履物などを購入するための費用」と「初任給が支給されるまでの交通費」です。
 

・技能修得費の詳細

就職のための技能修得を考えている人は技能修得費を申請します。当取得費の支給上限額は8万3000円です。
 
ただし、(1)「生計維持に役立つ生業に就くために専修学校などで技能を修得した人で、自立の助長が確実に見込まれる」(2)「就労に確実に必要な自動車運転免許などを取得する」(3)「雇用保険の教育訓練給付金の対象講座を受けて公的資格を取得する」という、3要件のいずれかに該当する人の支給上限額は38万円に引き上げられます。
 
なお、技能修得費の申請は、担当のケースワーカーに相談したうえで行うのが原則です。
 

技能を修得して自立を目指すなら生業扶助を申請しよう


 
大切な社会保障制度の一つである生活保護は8種類の扶助費で構成されています。生業扶助はその中の一つです。
 
当扶助では、生計を維持するための就職に必要な技能や資格の修得費用が支給されます。その他の生活扶助を受給していても支給されるため、就職のための技能を修得して自立を目指したい人はためらうことなく申請しましょう。
 

出典

厚生労働省 生活保護制度
厚生労働省社会・援護局保護課 生活保護制度の概要等について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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