卒業後の進路選択は自分の『一番』を活かす進路選択を心がけよう!

配信日: 2018.05.15 更新日: 2019.01.10

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卒業後の進路選択は自分の『一番』を活かす進路選択を心がけよう!
高校卒業後の進路選択は、大学・短大だけではありません。専門学校や大学校、職業能力開発施設もあります。学校の知名度や偏差値にとらわれず、自分の「一番」を活かせる進路選択をすることが大切です。
 
高校の進路指導室には、無料で手に入る進路情報誌が溢れています。進学だけではなく就職に役立つ情報もあります。
 
これら情報を、進学マネー講演会の講師として高校に行くたびに利用させていただいていますが、残念ながら生徒の利用率は低いようです。利用しないのはとてももったいないことです。
 
生徒の皆さんには、これらの情報を早めに利用し進路選択に役立てて欲しいと願います。今回は専門学校の魅力についてお伝えします。

新美昌也

Text:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

誰でも大学に行く時代

保護者世代は大学進学が一般的だったとはいえないと思います。私が大学に進学した頃の大学進学率は25%程度でした。今では50%を超えています。大学も国公私立合わせて777校もあります(平成28年度)。
 
一方、生徒数は減少していますので、大学の入学総定員が大学志願者数を上回る「大学全入時代」となっています。
 
つまり、多少の選り好みをしても、誰でも私立大学には入学できる時代です。「とりあえず大学に行けば就職に有利」という時代は終わりました。
 
何の目的も持たず、基本的に筆記試験のないAO入試・推薦入試で楽に入学する学生が増えており、全体的に見ると大学生の学力は低下しています。15年以上も前に「分数ができない大学生」がベストセラーになったので衝撃を受けた人もいると思います。
 
全体的な学力の低下の一方、大学の学費は高騰しています。初年度納付金(入学金、授業料、施設設備費)は国立大学で約82万円、私大文系約115万円、私大理系約152万円です。
 
何の目的もなく、基礎学力もないまま、とりあえず大学に進学するのはお金をドブに捨てるようなものです。
 
その学校が投資に値する学校なのか真剣に考えましょう。
 

専門学校という選択

昔に比べると大学に進学するメリットが薄れています。大学同様、専門学校も玉石混淆ですが、大学以上にハイレベルな教育を提供している学校もあります。
 
専門学校は職業に直結する知識・技術や資格取得を目指して進学します。専門学校には、工業、衛生、商業実務など8つの分野があります。文化・教養分野で学ぶ学生が29.9%と最も多く、次に医療分野の23.0%が続いています。
 
大学では学べない学科もあります。なりたい職業があるのであれば、専門学校は有力な選択肢です。もっとも大卒でなければ就けない職業もありますのでよく調べましょう。
 

専門学校から大学へ編入するという道も

保護者世代と違い、専門学校から大学への編入や大学院への進学のルートが開かれています。一定の条件を満たした2年制以上の専門学校を修了すると「専門士」の称号が、4年制では「高度専門士」の称号が与えられます。
 
「専門士」があれば、大学への編入、「高度専門士」があれば大学院への進学が可能です。文部科学省「平成28年度学校基本調査」によると、約1530人が専門学校から大学へ編入しています。編入学者数が多い学部は外国語学部(213人)、医学部(群)(154人)、工学部(97人)、経済学部(88人)などとなっています。
 
編入は一般入試に比べ狭き門ですが、編入試験は専門分野にかかわる内容が中心なので、得意分野だけで勝負できる点がメリットです。一般入試で不合格になった大学でも編入できる可能性があります。
 

専門学校の学費の注意点

私立の専門学校の初年度納付金の平均額は、東京都の場合約120万円です。私大の文科系並みにかかります。私大同様、進学する学科により学費が大きく異なります。
 
理学療法や作業療法という、リハビリの専門家を養成する学科の初年度納付金の平均は約170万円です。意外と思われるかもしれませんが看護学科は最も安く平均約90万円です。大学の看護学科と比べるとかなりお得です。
 
専門学校は、職業に直結する知識・技術や資格取得を目指して進学します。そのため、授業内容は実習中心です。
 
例えば、美容系の専門学校では、ヘアーカットやメイクアップなどの実習が欠かせません。実習に使うシザーセットや化粧品、ユニフォームなどの購入が必要になります。
 
つまり、募集要項記載の学費に加え、実習費、教材費など別途必要になる場合がありますので、卒業までの修業年数(1~4年)と、総費用を必ず確認するようにしましょう。
 
大学と比べ、返済不要な給付型奨学金や学費減免制度は少ないですが、調べてみましょう。例えば、入学前に日商簿記1級や英検1級を取得していれば、学費を最大約160万円免除するという専門学校もあります。
 
関連業界のアルバイトを紹介してもらえるアルバイト進学制度、採用する学校は少数ですが、働きながら単位と学費を得ることが可能なデュアルシステムを導入している学校もあります。
 

奨学金を利用する場合の注意点

専門学校に進学する生徒の約40%が、日本学生支援機構の奨学金を利用しています。専門学校だと思って入学した学校が、各種学校や無認可校であったというケースがあります。各種学校や無認可校は日本学生支援機構の奨学金の対象外です。
 
また専門学校であっても、日本学生支援機構の奨学金の対象とならない学科がありますのでよく確認しましょう。
 
日本学生支援機構の奨学金は高校3年の春に高校を通じて予約ができます。たとえ採用候補者になっても、進学先が奨学金の対象校や対象学科でなければ、奨学金は利用できませんので注意してください。
 
進学する学科は将来の職業に直結します。さまざまな学科があります。奨学金を利用する場合、アニメ、ダンスなど就職や収入が不安定な学科への進学は慎重に検討しましょう。
 

進路選択の基準

大切なのは、大学か専門学校かではなく、何を学びたいのか、そのためにふさわしい学校はどこか、という視点ではないでしょうか。自分の「一番」を活かす進路選択をしてください。
 
Text:新美 昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。

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