更新日: 2022.10.31 その他暮らし

レンタカーの「満タン返し」に代わる「走行距離精算」は、やっぱり損?

執筆者 : 上野慎一

レンタカーの「満タン返し」に代わる「走行距離精算」は、やっぱり損?
レンタカーは、燃料満タンで貸し出され、利用後また満タンにして返却するスタイルが大半です。事情によって満タン返しができない場合、レンタカー店が決めた(ある程度割高な)燃料単価に走行距離を掛けた金額で精算できることも珍しくないでしょう。
上野慎一

執筆者:上野慎一(うえのしんいち)

AFP認定者,宅地建物取引士

不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。

筆者がレンタカー利用したときの状況

先般、東北新幹線の那須塩原駅近くのレンタカー店でコンパクトカークラスの車両を借り、同店に返却する機会がありました。
 
走行ルートは、駅周辺と那須高原の一角を2往復するほか、何ヶ所かを立ち寄るものでした。ドライバーを含めた乗車人数は、局面ごとに2人・4人・5人のいずれかでした。那須塩原駅と那須高原の目的地は、標高差が400メートルくらいあります。登りの行程は、特に多人数の場合、いわゆる燃費(走行距離÷給油量)がかなり悪くなることが予想されます。
 
結果の数値ですが、合計走行距離120キロメートルほど。返却前の満タン給油(レギュラーガソリン)量は9.21リットル。燃費は、1リットル当たり13キロメートル(以下「1リットル当たり」は省略)という結果でした。
 

走行距離で精算する場合の“変数”とは?

ちなみに、走行距離で精算する場合の燃料単価、事前に聞いていたこのレンタカー店での数値は1キロメートル当たり17円。すぐ近くにガソリンスタンドはなく、走行距離精算でもかまわないようでした。
 
帰りの列車の時間が迫っている。ガソリンスタンドが遠くて場所もよく分 からない。給油自体が面倒だ。実際に満タン返しをする代わりに走行距離精算が選べる場合、こうした事情や理由によって選択されるのでしょう。
 
では、走行距離精算ができる場合、考慮するべき“変数”とは何か。次が挙げられます。
 

(1) 走行距離
(2) 想定燃費
(3) 満タン返しする場合のガソリン価格

 
(1)は、レンタカーのトリップメーター(借りた時点でゼロになっている)ですぐにわかります。(2)は、登り行程の多寡、乗車人数、信号待ちや渋滞など発進・停止の繰り返し頻度の多寡などからある程度想定できそうです。(3)はかなり幅がありえるものの、沿道ガソリンスタンドの価格案内看板を見ておくとある程度イメージできます。
 
筆者が利用した先述のケースでは、合計走行距離が120キロメートルくらいだと予想できる時点で、次のような比較計算を暗算していました。
 

<満タン返しする場合> 計算値1700円

[燃費は12キロメートルくらいかな? ⇒ ガソリン(レギュラー)価格は1リットル当たり170円くらいかな? ⇒ 120キロメートル÷12キロメートル×170円=1700円]

 

<走行距離精算する場合> 計算値2040円

[120キロメートル×精算単価17円=2040円]

 
上記の計算で340円の差です。今回はレンタカー店のすぐそばにガソリンスタンドがあるわけではなく、満タンにする手間などを考えると走行距離精算のほうに心が傾いたかもしれないくらいの数値差とも思えますね。
 

今回の結果、そしてまとめ

今回は、帰りの列車の時間までかなり余裕があったので、結局満タン返しをしました。レンタカー店から少し離れた有人ガソリンスタンドで給油。レギュラーガソリン1リットル当たり165円でしたが、給油ノズルのセンサーが自動ストップした後も、スタッフが小刻みに追加給油を続けた結果が、9.21リットルで1520円でした。
 
有人スタンドでよく目にするこの「注ぎ足し給油」といわれる行為。キリのよい金額にして1円単位のお釣りを回避するなどのためにやっているようですが、レンタカー会社によっては、安全上の問題から禁止を明示しています(※1)。
 
走行距離精算する場合2040円だったところ、満タン返しだと1520円で済んだ。今回の結果を見ても、やはり前者の単価は割高な設定なのだ。そんなことを改めて実感できました。「実際の給油金額より割高となります。あらかじめご了承ください。」と明示してくれているレンタカー会社もあるくらいです(※2)。
 
そんな満タン返しのおトク度合いを減殺してしまうクセものが、先述の「注ぎ足し給油」。「給油機が自動的にストップした時点で給油を止めるよう従業員に事前にお伝え下さい。」(※1)とあらかじめ警告されているケースだってあるのに、こうした申し入れコメントは忘れられがち、あるいは(遠慮して)言わずがちです。
 
しかし、短距離利用で給油量があまり多くないような場合は特に、注ぎ足し給油行為が満タン返しの金額的なおトク度合いをかなり侵食してしまうことだってある。そのことは覚えておいたほうがよいでしょう。
 

出典

(※1)日産レンタカー(株式会社日産カーレンタルソリューション)「セルフ給油に関する注意事項」

(※2)ニッポンレンタカー(ニッポンレンタカーサービス株式会社)「はじめての方へ レンタカーの流れをご紹介 ③ご返却」~「返却時に発生するご精算 ③燃料」

 
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士

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