更新日: 2022.11.08 子育て

ひとり親世帯や住民税非課税世帯が受けられる手当にはどんなものがある?

執筆者 : 新井智美

ひとり親世帯や住民税非課税世帯が受けられる手当にはどんなものがある?
現在、日本では、ひとり親世帯や住民税非課税世帯に対し、さまざまな支援制度を用意しています。支援制度の詳細は自治体によって異なるものもありますが、国民生活全般にとって助かる支援制度も多く存在します。今回は、ひとり親世帯や住民税非課税世帯に用意されている支援制度について解説します。
新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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ひとり親世帯が受けられる支援制度

ひとり親世帯が受けられる支援制度の代表的なものに「児童扶養手当」があります。
 

■児童扶養手当(※1)

児童扶養手当とは、離婚によるひとり親世帯など、父もしくは母と生計を一にしていない児童がいる世帯に対し、家庭の生活の安定そして自立の促進を促す目的で手当が支給される制度です。
 
支給対象者は、年度末年齢が18歳の児童もしくは年度末年齢20歳未満の障害児を監護する父もしくは母、または養育する祖父母などです。
 
手当の額は、収入によって全部支給と一部支給に分かれており、全部支給の場合は4万3070円、一部支給の場合は1万160円~4万3060円です。また、子どもが複数いる場合は、子どもの人数に応じて加算額が適用されます。
 
所得限度額は子どもと2人世帯の場合で、全部支給であれば160万円、一部支給であれば365万円です。
 

■医療費助成制度(※2)

医療費助成制度は、ひとり親世帯でなくても用意されていますが、ひとり親世帯に向けた医療費助成制度があります。東京では「マル親」と呼ばれており、児童扶養手当の支給対象者とほぼ同じ条件を満たす人が制度を受けられます。
 
ただし、所得制限が設けられているほか、生活保護を受けている人、施設などに入居している人は助成制度を受けられません。
 
助成額は、住民税非課税世帯かどうかで異なり、住民税非課税世帯であれば、入院および通院ともに自己負担はありません。住民税課税世帯の場合、負担割合は通院そして入院ともに1割ですが、ひと月あたりの上限額が設けられています。通院の場合はひと月あたり1万8000円が上限となり、入院だと5万7600円です。
 

住民税非課税世帯が受けられる支援制度

では、低所得の住民税非課税世帯が受けられる支援制度にはどのようなものがあるのでしょうか。
 

■幼児教育・保育の無償化(※3)

すでに始まっている幼児教育・保育の無償化の一部に、住民税非課税世帯が受けられる支援制度が存在します。通常であれば無料になるのは3歳から5歳までの子どもですが、住民税非課税世帯の場合、0歳から2歳までの子どもについても幼稚園や保育所、認定こども園などの利用料が無料になります。
 
また、3歳までの預かり保育が月額1万6300円までの範囲で無料となるほか、認可外の保育施設を利用する際にも、0歳から2歳までの住民税非課税世帯の子どもたちは月額4万2000円までの利用料が無料になります。
 

■高額療養費制度(※4)

高額療養費制度においても、住民税非課税世帯の人に対しては優遇制度が設けられています。住民税非課税世帯の人に対しては、ひと月の上限額が低く抑えられており、それは69歳以下の場合も70歳以上の場合も同様です。
 
特に70歳以上の場合だと、住民税非課税世帯の中でも年金収入額に応じて2つに区分されており、異なるひと月の上限額が設定されています。ただし、外来における上限額は同じです。
 

■高等教育の無償化(※5)

2020年4月から始まった高等教育の就学支援新制度では、住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯において、授業料の減免および給付型奨学金が利用できます。授業料無償化については「高等学校等就学支援金」の制度に基づくもので、申請先などが異なりますが、両方の制度を併用でき、かつ利用範囲が拡大された点はぜひ知っておきましょう。
 
まず、授業料の減免は、入学金と授業料について、国立と私立で違いがあるものの、住民税非課税世帯であれば、国立大学の場合、入学金は約28万円。授業料については約54万円の減免を受けられます。私立大学の場合だと、入学金は約26万円、授業料は約70万円の減免となっています。
 
さらに、返還不要の給付型奨学金についても、住民税非課税世帯であれば、国公立大学に通う自宅通学者の場合年間約35万円、自宅外通学者であれば年間約80万円が給付されます。
 

まとめ

ひとり親世帯や住民税非課税世帯には、さまざまな支援制度が用意されています。しかし、気を付けていただきたいのは、これらを利用するにあたり、申請が必要だということです。申請しなければ、利用できませんので、自分が制度の利用に該当するかどうかをまず確認し、該当するなら必要な書類をそろえて担当の窓口に申請を行うようにしましょう。
 
また、中には児童扶養手当のように毎月現況届が必要なケースもありますので、忘れないように手続きを行うことが大切です。
 
これまで挙げた支援制度以外にも、私立高等学校の授業料の支援が手厚くなっているもの(※6)もあります。ひとり親世帯や住民税非課税世帯で生活していくのは困難なことも多いですが、このような支援制度を活用し、保育や医療、教育の場で利用していきましょう。
 

出典

(※1)厚生労働省 児童扶養手当について
(※2)東京都福祉保健局 ひとり親家庭等医療費助成制度(マル親)
(※3)内閣府 幼児教育・保育の無償化
(※4)厚生労働省保険局 高額療養費制度を利用される皆さまへ
(※5)文部科学省 高等教育の修学支援新制度
(※6)文部科学省 私立高校授業料実質無償化がスタート!
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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