定期券区外での折り返し乗車、、これって問題あり?
配信日: 2018.05.13 更新日: 2019.08.27
そこで、少しでも乗車時間を楽に過ごすため「降車駅とは逆方面にある始発駅まで行き、そこから折り返して降車駅へ移動しよう」そういった方法を考える方もいらっしゃるかもしれません。
この方法は俗に「折り返し乗車」などと呼ばれている方法です。
乗車駅と降車駅の定期券を購入しているうえ、改札から出るわけでもないため、折り返し乗車は何ら問題のない行為だと思われがちです。
しかし、この折り返し乗車、本当に問題がないのでしょうか。
今回は、次のような条件で目的地へ向かうと仮定して「折り返し乗車」のについて考察していきます。
ルート:A駅(乗車駅)⇒B駅(C駅とは逆方面にある始発駅)⇒C駅(降車駅)
定期区間:A駅⇒C駅(逆方面であるB駅は含まれていない)
なお、改札は出ないものとします。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
移動したら料金が発生?それとも改札を出たら料金が発生?
折り返し乗車が問題になる理由として、定期券の区間と料金の発生のタイミングにあります。
今回仮定した条件では、A駅から乗車し、目的地とは逆方向にあるB駅へ向かい、そこから目的地であるC駅へという順に移動しています。
ところが、定期券の区間に逆方面であるB駅は含まれておらず、A駅から直接C駅へ向かう区間となっています。
そうなると、料金の発生するタイミング次第では一部乗車料金を払っていないまま降車していることにもなりかねません。
その点、多くの鉄道会社では料金の発生するタイミングについて改札の出入りではなく「実際に移動した区間」としています。
では、「実際に移動した区間」で料金が発生するという前提のもと、今回の移動区間についてさらに深堀りしていきましょう。
実際に移動した区間によって料金は発生する
まず、今回の事例における移動経路を整理してみましょう。
(1)A駅から定期券の区間外であるB駅へ移動
(2)定期券の区間外であるB駅からA駅へ移動
(3)乗車駅であるA駅から降車駅であるC駅へ移動
それに対し、定期券の範囲はA駅からC駅までとなっています。
ということは、次の区間において運賃を支払っていないことになるのです。
(1)のA駅からB駅間
(2)のB駅からA駅間
改札を出ていないとはいえ、①と②の区間を実際に移動しているにもかかわらず、当該区間における運賃を支払っていない以上、これは不正乗車に該当してしまうのです。
つまり、定期券の区間外における運賃を支払わないで行う「折り返し乗車」は不正乗車となってしまうのです。
不正乗車とならないようにするためには、①と②の区間における運賃も支払うようにするべきだと考えられます。
折り返し乗車は不正乗車に該当します
ここまでの考察でご理解いただけたように「座って通勤・通学をするため、始発駅で折り返そう」という折り返し乗車は不正乗車に該当するおそれがあります。
不正乗車に対して鉄道各社は厳しく対応しており、発覚した場合には定期券が無効にされてしまったり、割増運賃の支払いを求められてしまうこともあります。
また、悪質であると判断されれば、詐欺罪など刑法上の罰則が科せられることもあるため、注意が必要です。
「バレなければ大丈夫」と考えていると、発覚時に大変な思いをすることになるかもしれません。
※2019/08/27 内容を一部修正させていただきました
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士・2級ファイナンシャルプランナー