2022年10月から児童手当の給付が変わった! 受給できなくなったのはどんな人?
配信日: 2022.11.22
この記事では、今回の制度改正によって設けられた所得上限限度額を含め、児童手当の所得制限について詳しく解説していきます。
執筆者:辻章嗣(つじ のりつぐ)
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士
元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
https://www.wing-fp.com/
児童手当の概要
児童手当とは、中学卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している方に支給される手当のことです。児童の年齢に応じ、下表の額が支給されます。
児童の年齢 | 児童手当の額(1人当たりの月額) |
---|---|
3歳未満 | 一律1万5000円 |
3歳以上 小学校終了前 |
1万円 (第3子以降は1万5000円) |
中学生 | 一律1万円 |
(※)を基に筆者作成
なお、第3子以降とは、高校卒業まで(18歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の養育している児童のうち、3番目以降の児童をいいます。
児童手当の支給時期は、原則として毎年6月、10月、2月です。それぞれの支給日に、前月までの4ヶ月分の手当が支給されます。
児童手当の支給申請については、子どもが生まれるか、他の市町村から転入したときに、居住する市区町村役場へ「認定請求書」を提出する必要があります(公務員の方は勤務先に提出)。
児童手当の所得制限
以前から、児童を養育している方の所得が一定額を超えた場合は、前述の児童手当に代えて定額の特例給付が支給されていました。2022年10月以降は、所得に新たな限度額が設定され、その額を超えると特例給付についても支給されなくなっています。
1.所得制限限度額
以前から設定されていた限度額です。児童を養育している方の所得が一定額を超えると、児童手当に代えて特例給付(月額一律5000円)が支給されます。この限度額を所得制限限度額といいます。
2.所得上限限度額
今回新たに設定された限度額です。児童を養育している方の所得が所得制限限度額からさらに一定額を超えると、特例給付も支給されなくなります。この限度額を所得上限限度額といいます。
3.限度額と収入額の目安
所得制限限度額と所得上限限度額は、扶養親族等の数により下表のとおりとなっています。なお、表中の「収入の目安」は、会社員などの方の給与収入のみで計算しています。実際の所得制限は、給与所得控除や医療費控除、雑損控除等を控除した後の所得額で確認します。
扶養親族等の数 | 所得制限限度額(万円) | 所得上限限度額(万円) | ||
---|---|---|---|---|
限度額 | 収入の目安 | 限度額 | 収入の目安 | |
0人(注1) | 622 | 833.3 | 858 | 1071 |
1人(注2) | 660 | 875.6 | 896 | 1124 |
2人(注3) | 698 | 917.8 | 934 | 1162 |
3人(注3) | 736 | 960 | 972 | 1200 |
4人(注3) | 774 | 1002 | 1010 | 1238 |
5人(注3) | 812 | 1040 | 1048 | 1276 |
注1:前年末に児童が生まれていない場合など 注2:児童1人の場合など 注3:児童1人~4人に年収103万円以下の配偶者を加えた場合など |
(※)を基に筆者作成
まとめ
児童手当は、中学卒業までの児童を養育している方に、児童の年齢と人数により1人当たり1万円から1万5000円の手当が支給される制度です。従来は、児童を養育する方の収入が所得制限限度額を超えると、児童手当に代わり一律5000円の特例給付が支給されていました。
しかしながら、2022年10月に所得上限限度額が設けられ、この額を超えると特例給付も支給されなくなりました。なお、一度所得上限限度額を超えて支給が停止された後、所得が所得上限限度額を下回った場合は、改めて認定請求書を提出する必要がありますので、ご注意ください。
出典
(※)内閣府 児童手当制度のご案内
執筆者:辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士