更新日: 2022.11.30 その他暮らし

高齢の親が「生活保護受給者」になることも。生活保護の申請方法と要件って?

執筆者 : 柘植輝

高齢の親が「生活保護受給者」になることも。生活保護の申請方法と要件って?
高齢となった自分の親に、生活保護が必要になると考えたことはありますか? 今や高齢者の生活保護受給は珍しいことではありません。この記事では、生活保護の申請方法や要件について解説していきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

生活保護の申請方法は?


 
生活保護の申請に当たっては、事前の相談が大切です。
 
まず、お住まいの地域を管轄する福祉事務所の生活保護担当部門にて相談を行います(福祉事務所が設置されていない町村にお住まいの場合は町村役場)。ここでは、生活保護についての説明の他、生活福祉資金など他の制度を利用して対応することができないかなどの検討や、アドバイスなどを受けることになります。
 
相談の後、生活保護の申請となります。生活保護の申請自体に特別な書類は必要ありませんが、調査を受ける必要があります。主な調査項目は次のようなものです。
 

●生活状況などを把握するための実地調査(家庭訪問など)
●預貯金、保険、不動産などの資産調査
●扶養義務者による扶養(仕送りなどの援助)の可否の調査
●年金などの社会保障給付、就労収入などの調査
●就労の可能性の調査

 

生活保護の要件は?

生活保護受給には下記の条件を全て満たすことが必要となります。
 

●世帯の全員が利用し得る資産や能力、その他あらゆるものを活用しても、最低限度の生活が維持できない
●扶養義務者(親や子、兄弟姉妹など)から扶養を受けられない

 
上記のうち、資産には、預貯金や生活に利用されていない土地・家屋などが該当します。能力とは、働く能力のことをいいます。その他のあらゆるものとは、受給できる年金や手当などのことです。
 
簡単にまとめると、最低限の生活を維持するだけの財産と働くだけの能力がなく、年金などの給付だけでは生活ができず、かつ、親族からの支援も受けられない、ということが生活保護受給のための要件となります。
 
ただし、実際に受給に至れるかどうかは審査の上、決定されることになります。詳細については福祉事務所へご相談ください。
 

生活保護はどれくらいの金額になるの?

生活保護の申請を行うと、原則14日以内に受給できるかどうかの回答を得られます(特別な事情がある場合は、最長30日かかることもあります)。支給される生活保護費には、日常生活に必要となる食費や被服費、光熱費などに使用する生活扶助の他、必要に応じて支給される住宅扶助や医療扶助などがあります。
 
生活扶助として支給される金額は地域や家族構成などによって異なります。参考までに、東京都の場合、単身高齢者で月額7万7980円、高齢夫婦の世帯で12万1480円となります。地方郡部の場合、単身高齢者で月額6万6300円、高齢夫婦の世帯で10万6350円となります。
 

 
出典:厚生労働省 「生活保護制度」に関するQ&A
 
なお、働けるなどしてわずかながらも一定の収入が存在する場合や、年金や児童扶養手当などが受給できる場合は、生活扶助基準額からそれらの収入を差し引いた差額が生活保護費として支給されます。
 

高齢者の生活保護の受給は悪いことではない

高齢者の生活保護が社会問題となっている昨今、自身の親が生活保護を頼る可能性があるというのはもはや人ごとではありません。親に生活保護が必要となってしまったときに備え、生活保護の申請の流れや要件などについて確認しておきましょう。
 

出典

厚生労働省 生活保護制度

厚生労働省 「生活保護制度」に関するQ&A

 
執筆者:柘植輝
行政書士

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