更新日: 2022.12.05 その他暮らし

交通費「全額支給」なら遠方に住んでも大丈夫?「飛行機・新幹線」で通勤しても問題ないの?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

交通費「全額支給」なら遠方に住んでも大丈夫?「飛行機・新幹線」で通勤しても問題ないの?
賃貸住宅の家賃をはじめ、不動産の相場は、都心から離れれば離れるほど安くなります。この点に着目し、家賃を抑えるために、たとえ通勤時間がかかったとしても地方に住みたいと思う人がいても不思議ではありません。
 
そこでこの記事では「家賃を抑えるためだけに会社の遠くに住むのは可能か」「その場合でも交通費は全額支給してもらえるのか」に分けて解説します。
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会社が遠くに住むのを止めることはできない

結論から言うと、本人さえよければ、都内から離れた場所に住み、通勤してくること自体に問題はありません。会社側から従業員に対し、住む場所を指定してはいけないためです。憲法では、「居住・移転の自由」が認められています(22条1項)。そのため、従業員が「家賃がかかるので遠くに住みたい」と言った場合、会社側から拒むことはできません。
 
「通勤費がかかるし、何かあったときの緊急対応も頼めないから」と説得されたとしても断れます。極端な例ですが、本人が通勤してくることが可能でありさえすれば、沖縄県の那覇市に住み、毎日飛行機で都内の会社に通勤しても法律上は問題ありません。
 

本当に交通費「全額支給」なのかを確認しよう

家賃を抑えるために遠方に住みたいなら、自分の会社は本当に交通費「全額支給」なのか確認しましょう。社内規定を見て、どんなに遠方に住んでいても、全額支給してくれるかを調べることをおすすめします。「月額5万円まで」「車通勤のガソリン代は支給しない」など、条件が定められていたら全額支給を受けるのは難しいでしょう。一方、社内規定に「全額支給」と書いてある場合は、交通費の全額が支給されます。
 
なお、所得税法上の通勤手当の非課税限度額は1ヶ月当たり15万円です。この額を上回る場合、超えた部分の金額が給与として扱われ、所得税と復興特別所得税がかかるため、注意しなくてはいけません。
 

現実的には1時間半程度で抑えたいところ

交通費が全額支給されるにしても、家賃を抑えるために都内から離れたところで暮らしたい場合は、通勤時間との兼ね合いでどこに住むかを決めることになります。総務省がまとめた「令和3年社会生活基本調査」によると、日本全国の通勤・通学時間の平均は1時間19分でした。最長は神奈川県の1時間40分、次が千葉県と東京都の1時間35分、さらに埼玉県の1時間34分と続きます。
 
あまりに通勤時間が長いと体力的にも負担になる上に、急な残業が生じたら当日のうちに帰宅できない可能性も出てくるでしょう。この点と先ほど紹介した平均通勤時間を踏まえると、どんなに遠くても通勤時間は1時間半で抑えたほうが現実的かもしれません。先ほど触れた通り、会社には従業員が住む場所を決める権利はありませんが「毎日の通勤が嫌になってしまわないか」を踏まえて、住む場所を決めましょう。
 

体力と家賃のバランスで決めよう

社内規定に交通費を全額支給する旨が定められていたら、どんなに遠くに住んでいてもその条件は変わりません。新幹線を使わざるを得ない場合でも、交通費を支給してもらえます。ただし、一定額を超えると給与として扱われ、課税されるので要注意です。その上、毎日通勤するのを考えると、あまりに遠くに住むことは現実的ではないでしょう。移動中に仮眠できたとしても、それだけで疲れが取れるとは限らないためです。結局は、自身の体力と家賃のバランスを踏まえ、住む場所を決めることをおすすめします。
 

出典

国税庁 通勤手当の非課税限度額の引上げについて
国税庁 No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当
総務省統計局 令和3年社会生活基本調査 生活時間及び生活行動に関する結果 結果の概要
日本国憲法
国土交通省 個人住宅の賃貸流通の促進に関する検討会資料(4)「賃貸住宅市場の実態について」(株式会社価値総合研究所)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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