更新日: 2019.01.08 その他暮らし
「スーパーやデパートでの無料試食」場合によっては問題になることも?法律的な見解では何が問題?
「ご自由にどうぞ」とあったのでとりあえず試食してみたものの、結局商品は買わなかった。そんな経験のある人も多いことでしょう。
お店がサービスとして無料で提供している以上、試食などのサービスを受ける行為自体に問題はないように思えます。
しかし、お店側としては、無料のサービスが購入に繋がるのではないか。と、ある程度期待してサービスを提供しているとも考えられます。
そう考えたとき、試食などの無料サービスを受けたものの結果的に商品は購入しなかった。そんな行為が法的に問題となったりしないのかと疑問に思うことでしょう。
そんな疑問にお答えすべく、本日は店舗の提供する無料サービスについて解説していきます。
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
「ご自由にどうぞ」とあるケース
試食コーナーやサンプルの配布コーナーにおいて「ご自由にどうぞ」という文字があり、来店者が自由に食べたり持ち帰ったりできるようになっていることがあります。
この場合お店側において、それらのサービスが商品の購入に繋がるのではないか。
という期待が全くないわけではないでしょう。
かといって「ご自由にどうぞ」とある以上、サービスを受けた時点で契約が成立し、商品を購入する義務が発生するとは考えられません。
つまり、この場合「常識的な範囲内で食べたり持ち帰ったりする分には法的に問題がない」といえるでしょう。
来店者全員に配布しているケース
お店によっては店内において、来店者全員にドリンクのサービスなどを行っていることがあります。
この場合の考え方は「ご自由にどうぞ」とある場合と同様に考えてよいと思われます。
つまり、基本的にはサービスを受けたからと商品を購入する義務は生じない。
という結論にいたるでしょう。
条件が定められているケース
続いて、何かしら条件が定められている場合にはどうでしょうか。
例えば「購入した冷凍食品や生鮮食品の保冷目的以外でのお持ち帰りはご遠慮願います」というような注意書きのある場合です。
このような場合において、冷凍食品などを購入していないのに氷だけ持ち帰ってしまうのはお店の意思に反しているといえます。
悪質だと判断された場合、代金を請求されてしまったり、窃盗などの罪で逮捕されてしまうおそれもあり、注意が必要です。
一人で大量に消費してしまった場合は・・・?
極端な例ではありますが、「ご自由にどうぞ」とあったからと、そこにあった試食品をすべて一人で消費してしまった場合などはどうでしょうか。
常識的に考えて来店客は一人ですべてを消費してしまうような事態をお店側が想定しているとは到底考えられません。
このような場合、お店側の提示している「ご自由にどうぞ」の範囲を超えてしまっていると考えられます。
最悪の場合、窃盗罪や業務妨害に関する罪に該当すると判断され、逮捕されてしまうおそれもあります。
試食サービスは節度を持って常識の範囲内でのご利用を
スーパーにおいて、試食コーナーをはじめとする無料のサービスはお買い物における魅力の一つでしょう。
しかし、それと同時にお店にとっては大切な宣伝の場でもあります。
度を越した方法によって利用をしてしまうと、お店との間でトラブルが起きてしまうおそれもあり、注意が必要です。
実際に2014年にはスーパーから大量の氷を持ち帰ったとして、窃盗の容疑で逮捕されてしまったという事例もあります。
楽しいお買い物が一転してトラブルに変化してしまわないよう、試食コーナーなどの利用は節度を持って常識の範囲内で利用するようにしましょう。
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士・2級ファイナンシャルプランナー