更新日: 2022.12.09 その他暮らし

家計節約のために「銀杏」拾い! でも窃盗になることがあるって本当?

家計節約のために「銀杏」拾い! でも窃盗になることがあるって本当?
茶わん蒸しに入れたり、炒って食べたりする銀杏(ぎんなん)は、スーパーなどで購入するのが一般的です。ただ、公道や公園などに生えているイチョウの木から落ちている銀杏を見かけたら、拾って家計の節約にしようと考えることもあるでしょう。しかし、勝手に銀杏を拾って持ち帰っても大丈夫なのでしょうか。
 
そこで、窃盗罪になる可能性はないのか、注意点などを確認していきます。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

銀杏の所有権は誰にあるのか

銀杏はイチョウの木の実ですが、このような果実は誰のものなのかについて、法律ではどのように定められているのでしょうか。これについては、民法89条1項が「天然果実は、その元物から分離する時に、これを収取する権利を有する者に帰属する」と定めています。「天然果実」というのは、民法88条に「物の用法に従って収取する産出物」とあります。
 
例えばミカンの木やリンゴの木から得られる果物や、乳牛から得られる牛乳などが該当します。また、「元物」というのは、木や乳牛など、天然果実を生み出す元になるものです。「収受する権利を有する者」というのは、元物の所有権など権利を持っている人を指します。
 
したがって、民法89条1項によれば、イチョウの木の天然果実である銀杏は、イチョウの木から分離する時に、イチョウの木の持ち主の物になるということになります。公道や公園に生えているイチョウは、その道路や公園を管理している地方公共団体や国などが所有しているので、銀杏は地方公共団体や国などに所有権があるということになるのです。
 
これは、イチョウの木に銀杏が付いている時だけでなく、イチョウの木から既に落ちている場合も変わりません。「分離する時」に収受する権利を持っていたのは地方公共団体や国である以上、民法89条1項によれば銀杏の所有権は地方公共団体や国に帰属します。落ちてしまったからといって所有権がなくなるわけではないのです。
 

罰せられる可能性は低くても確認は必要

落ちている銀杏の所有権が地方公共団体や国にある以上、それを勝手に持ち帰る行為は、厳密には窃盗罪や占有離脱物横領罪などの刑法犯に該当します。自分に所有権のないものを勝手に持ち去ったり、食べてしまったりすることは許されないということです。
 
ただ、地方公共団体や国が、銀杏を持ち帰った国民を許さず、告発して罰しようとするとはあまり考えられません。現実的には、黙認していることがほとんどだと思われます。
 
しかし、法律を厳密に適用すると、窃盗罪などの刑法犯に該当する可能性もある行為ですから、現実的に処罰される可能性が低いからといって完全に安心することもできません。
 
そこで、公園や公道の管理者に連絡をして「銀杏を拾って持ち帰っても良いですか」などと確認を取っておくことをおすすめします。公園の管理事務所や、公道の管理者、例えば市町村や県などに確認しておけば、安心して銀杏を持ち帰ることができるでしょう。
 

他者の所有権をきちんと尊重しよう

公道や公園に生えているイチョウの木から落ちている銀杏は、地方公共団体や国の所有物です。したがって、無断で持ち帰る行為は厳密には所有権の侵害となり、窃盗罪などに該当する可能性があります。
 
現実的には処罰される可能性は低いでしょうが、事前に確認を取っておいた方が無難です。どのような物にも他者の所有権があることを想定し、知らないうちに他者の権利を侵害することのないようにしましょう。
 

出典

e-Gov法令検索 民法 民法89条1項
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

ライターさん募集