更新日: 2019.01.08 その他暮らし
実録!あなたもひとごとではない?劇場型オレオレ詐欺で200万円を取られそうになった77歳の母親
今回は、危機一髪でオレオレ詐欺を回避した女性の実話を紹介いたします。
「困っている息子を助けてあげないと」という母親としての母性が、オレオレ詐欺には大きく関わっているのではないかと感じるお話です。
Text:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
77歳のたえさんのもとに息子からかかってきた電話。「風邪をひいたんだ」
会社員のひろしさん(仮名)は45歳。妻のみゆきさん(仮名)と2人の子供と、一軒家で暮らしています。
ひろしさんは3人兄弟の末っ子。息子たちが出た家で、ひろしさんの77歳の母親たえさん(仮名)は、夫と2人で暮らしていました。
ひろしさんはたえさんと仲が良く、月に何回かは電話で連絡を取り合っていました。
ある日、いつものようにひろしさんから電話がかかってきたので、たえさんは受話器を取りました。
「もしもし?ひろしだけど」
たえさんは、ひろしさんの声がいつもよりも低いように感じました。
「ひろし、風邪ひいたの?声がおかしいよ」
「そう、風邪ひいたんだ」
ひろしさんの返事に、たえさんはこう言いました。
「みゆきさんにはうつってない?大丈夫なの?」
「みゆきにはうつってないよ」
2人はしばらく会話を続け、たえさんは「お大事にね」と言って電話を切りました。
3回目の電話。「友人に借金をしてる。200万円ほど貸してくれないかな」振り込みに走るたえさん
その翌日、再びひろしさんから電話がかかってきました。
「おふくろ?ひろしだけど。まだ風邪治らなくて会社休んだんだ」
たえさんは、ひろしさんが珍しく立て続けに電話してきたので心配しました。「そんなに調子が悪いの?大丈夫?」ひろしさんは「大丈夫、寝てれば治るよ」と言って電話を切りました。
さらにその日の午後、ひろしさんから電話がかかってきました。
「実は、相談があって電話をかけたんだ。友人に借金をしていて、返せなくて困ってるんだ。200万円ほど貸してくれないかな…。みゆきには言えなくて、どうしようもないんだ」
ひろしさんの暗い声を聞いて、たえさんは言いました。「振り込みするから、ちょっと待ってなさい」
たえさんは郵便局に走りました。
200万円の振り込みを頼むも、郵便局員に心配されるたえさん。その頃ひろしさんは…
郵便局に到着したたえさんは、窓口で200万円の振り込みをお願いしました。
担当した局員が使途を尋ねます。たえさんは少し恥ずかしそうに言いました。「息子に頼まれまして…」
局員はいぶかしげな顔をして言いました。「息子さんのご確認はされていますか?高額のお金を振り込ませるオレオレ詐欺が多いので、もう一度ご確認をされた方がいいと思うのですが…」
たえさんは「オレオレ詐欺」という言葉を聞いて驚きました。電話をもらってから今まで、そのような発想はなかったからです。
その頃、ひろしさんは、たまたま、お父さんと電話をしていました。
「おまえ、風邪ひいてるって聞いたけど大丈夫か?」
ひろしさんは驚きました。
「何のこと?元気だけど」
話を聞いたひろしさんとお父さんは、たえさんがオレオレ詐欺に遭っているじゃないかと疑いました。ひろしさんは急いでたえさんの携帯電話に電話をかけました。
しばらくして、ようやく電話がつながりました。話を聞くと、たえさんは郵便局員の言葉にはっとさせられて、一度、ひろしさんに確認をとろうとしていたところでした。
たえさんはギリギリのところで、オレオレ詐欺を回避することができたのでした。
息子に頼られてうれしかったたえさん。オレオレ詐欺を防ぐのに大事な2つのこと
ひろしさんにお話を伺うと、ひろしさんは普段から母親に頼るタイプではないため、たえさんは息子に頼られたことがうれしかったのではないかとおっしゃっていました。
また、たえさんはひろしさんが名前を名乗ったことと、3回も電話がかかってきたことで相手を信用してしまったそうです。
このようなオレオレ詐欺を防ぐには、「普段から離れている家族とはまめにコミュニケーションをとること」、「高齢の親御さんは、お金の話や重要な話は受け取った電話ではなく、自分から相手の電話にかけて話をすること」などが大事です。
たえさんのように銀行や郵便局の窓口で、職員からオレオレ詐欺を食い止めてもらえることもあります。もし、心配をされたら「大丈夫だから」と流さず、一度立ち止まって確認をしてもらいたいですね。
オレオレ詐欺を防ぐには、予備知識として手口を知っておくことが大きな防止策となります。今回のケースを参考に、改めてこういった詐欺被害に遭わないように気を付けてください。