更新日: 2022.12.20 その他暮らし

今年4月から始まった「不妊治療の保険適用」。でも3割の人は「費用負担が増えた」って本当?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

今年4月から始まった「不妊治療の保険適用」。でも3割の人は「費用負担が増えた」って本当?
少子化対策は日本において極めて重要な課題です。解決策は子どもが増えることに尽きますが、それには人それぞれの理由があるでしょう。
 
中には、子どもが欲しくてもなかなか授からない夫婦もいます。不妊治療は女性に身体的負担がかかるほか、保険適用範囲外のため高額な費用が必要となり、子どもを持つことを諦めてしまう人もいるかと思います。
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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2022年から不妊治療が保険適用に

厚生労働省が令和2年10月~11月に行った調査では、体外受精にかかる価格の中央値は、「新鮮胚移植」が37~51万円、「凍結胚移植」が43~58万円と高額でした。
 
不妊治療への支援については、令和3年より助成金を受けられる所得制限が撤廃され、助成額は1回15万円から30万円に引き上げられたほか、回数も生涯6回から子ども1人あたり6回(40歳以上43歳未満は3回)に変更される等、支援が手厚くなりました。
 
2022年4月から、不妊治療が保険適用されることになり、タイミング法や人工授精といった「一般不妊治療」や「生殖補助医療」は全て保険適用されることになりました。
 
「生殖補助医療」のうち、基本治療に加えて実施されることのある「オプション治療」については、保険適用されるもの、「先進医療」として保険と併用できるものがあります。これにより、負担額が治療費の3割になり、高額療養費制度により月額費用が上限設定されることになりました。その一方で、これまで受けられた助成金はなくなることになりました。
 

保険適用により医療費が減った人が43%だが、増えた人も31%

不妊治療の保険適用は不妊治療を受けている人にとって喜ばしいことかと思われますが、実際に治療を受けている人はどう思っているのでしょうか。NPO 法人Fineは2022年7月1日~2022年10月10日にかけて、「保険適用後の不妊治療に関するアンケート2022」を実施しましたので、その結果を見ていきましょう。
 
保険診療を受けている人は47%と約半数でした。保険診療に加え、全額負担の先進医療を受けている人は28%、全額負担の自由診療を受けている人は25%と、保険の対象外の治療を受けている人が多いことがわかりました。
 
保険適用により支払っている医療費が「減った」という人が43%。一方、31%が「増えた」と回答しており、助成金がなくなり保険適用となったことで、逆に費用負担が増えた人も3割いることがわかりました。
 
治療内容別では、保険適用により経済的負担が減ったのは、「人工授精」(48%)、「体外受精・顕微授精」(47%)、「不妊の検査」(44%)、「男性不妊の検査・治療」(43%)でした。逆に、保険適用前より負担が増えたのは「不育症の検査・治療」(36%)、「体外受精・顕微授精」(31%)、「男性不妊の検査・治療」(31%)、「不妊の検査」(30%)となりました。
 

保険適用により治療が始めやすくなったり、医療費が安くなったりした

保険適用になって「良くなった」と感じるのは「経済的に治療が始めやすくなった」(67%)、「支払う医療費が少なくなった」(66%)、「心理的に治療が始めやすくなった」(42%)という点が挙げられました。反対に「悪くなった」のは「医療機関が混雑して、待ち時間が増えた」(46%)、「保険適用の範囲がわかりづらい」(44%)、「経済的負担が大きくなった」(33%)という順になりました。
 
保険適用では、「妻の年齢が43歳未満」「子ども1人あたり6回まで(40歳以上43歳未満は3回まで)」という制限がありますが、42%が「年齢制限と回数制限の撤廃」を希望しています。次いで、「年齢制限は賛成、回数制限は反対」(36%)、「年齢制限は賛成、回数制限も賛成」(16%)となっています。
 
日本の2021年の出生数は81万1604人で、2022年の見通しは80万人を割る見込みとなっています。人口が減ると、社会インフラや国家機能を維持することが難しくなります。そうなることを避けるためにも、さらなる少子化対策が望まれますね。
 

出典

厚生労働省 不妊治療の保険適用について

厚生労働省 不妊治療に関する取組

NPO 法人Fine 保険適用後の不妊治療に関するアンケート2022
 
厚生労働省 令和3年(2021)人口動態統計月報年計(概数)の概況
 
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

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