3歳の自分を捨てた父の「扶養照会」の連絡が…「親」なら面倒を見なければなりませんか?
配信日: 2022.12.23
今回は、幼少期に自分を捨てた親の扶養照会の連絡を受けたとき、どのように対処するべきか解説していきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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扶養照会の連絡を受けても支援を行う義務は生じない
生活保護においても、扶養義務の範囲は民法上で定めている範囲と同じです。そのため「配偶者や親子関係」「兄弟姉妹」「おじやおば、甥、姪といった3親等内の親族で特別な事情がある者」に対して扶養照会を行うことになります。
ただし、親に未成熟な子どもを扶養する義務があっても、子どもが親を扶養することに対しては必ずしも強制されるものではありません。親子であれば扶養照会の連絡がくる可能性はありますが、支援できるような経済的余裕がないときや心情として支援したくない人は断るという選択もできます。
幼少期に捨てられたというケース以外にも、良好な関係を築くことが難しい親子はいます。なかには、過干渉やお金の無心などで子どもの生活を壊すような親もいるでしょう。
何かしらの事情を抱えて親と距離を取っている人は、支援に応じることで自分の健全な生活がおびやかされる心配が出てきます。支援は強制ではないので、自分の事情や気持ちを優先して支援をするかしないかを考えることが大切です。
生活保護法改正によって扶養照会の見直しがされている
扶養照会については、生活保護法改正によって見直しがされています。本来、扶養照会の対象になるのは3親等内の親族です。しかし、該当するというだけで全員に連絡するのは、かえって不都合が生じることもあります。そのため、事前に保護の申請者に聞き取りなどの調査をしたうえで相手を限定し、それから扶養照会が行われることになっています。
調査の結果「扶養義務履行が期待できない者」と判断された親族に対しては、原則として扶養照会は行われません。この件については、2021年(令和3年)に厚生労働省社会・援護局保護課から各都道府県の生活保護担当課に通達されています。
「扶養義務履行が期待できない者」の判断基準は「一定期間音信不通であること」「専業主婦や主夫、長期の入院患者、未成年者、高齢者など収入がない人」「DVから逃れているなどの事情で自立を阻害する可能性がある母子」「相続などで対立している親族」などが例としてあげられています。
今回の3歳で父親に捨てられたというケースは「一定期間音信不通であること」が該当しますし、状況から考えて「扶養義務履行が期待できない者」と判断されるのが一般的です。
ただ、今回のケースのように生活保護を申請しているのが子どもを捨てた親だった場合、その事実を隠して扶養照会を求めてくる可能性はあり得ます。また、実際に判断するのは生活保護担当者であり、なかには扶養照会が行われることもあるかもしれません。その場合でも、実際にどのような経緯で疎遠になっていたかを説明して支援を断ることができます。
親であっても事情があるときは支援する義務はない
生活保護を受けるうえで行われる扶養照会は、本来は3親等内の親族が対象となっています。そのため、親子であれば連絡がくることもあるでしょう。しかし、さまざまな理由から支援が難しいこともあります。「扶養義務履行が期待できない者」と判断されれば扶養照会が行われることは通常はありませんが、相手が縁を切っている親や親族の場合は事情を伝えて断ることもできます。
出典
厚生労働省 生活保護法改正法の概要
厚生労働省 扶養義務履行が期待できない者の判断基準の留意点等について
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部