忘年会帰り、酔い過ぎて会社支給のPCやスマホをなくしてしまった! 弁償する必要はある?

配信日: 2022.12.27

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忘年会帰り、酔い過ぎて会社支給のPCやスマホをなくしてしまった! 弁償する必要はある?
年末年始は忘年会や新年会など、お酒を飲む機会も多くなります。
 
新型コロナウイルス感染症の流行が問題視される昨今でも、規模を縮小するなどして職場の飲み会が行われることはありますが、例えば忘年会で酔い過ぎてPCなど会社支給の備品を紛失してしまった場合、弁償は必要なのでしょうか。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

備品の紛失は場合によって弁償が必要なこともある

忘年会でお酒を飲み過ぎてしまい、その帰りに会社から支給されている備品のPCやスマホを紛失してしまうと、弁償が必要となる場合もあります。
 
自身の過失によって会社に損害を与えているので当たり前ですが、弁償については紛失に至った背景や会社の就業規則などによっても異なり、実際には厳重注意で済み、弁償までは発生しない場合も少なくありません。
 

弁償については就業規則の内容をまず確認

備品の紛失について、会社からの損害賠償の請求という形で弁償が生じるかは、就業規則を確認することである程度は分かります。
 
就業規則に「故意または重過失によって会社に損害を与えたときは、その損害の賠償について請求することがある」などの規程があれば、会社からの請求によって紛失した備品について弁償しなければならない可能性があります。
 
また、その場合は紛失した備品のみならず、連鎖的に生じた損害(顧客情報の流出や業務に影響が出た場合など)も対象となることがあります。
 
とはいえ、実際に全額を賠償するというケースは基本的にはなく、半分や4分の1など、一部のみとなることがほとんどでしょう。どの程度の割合で責任を負うのかは紛失時の状況や、紛失に対して会社が補償を受けられる保険に加入しているかなど、総合的に判断して決められます。
 
忘年会での泥酔が紛失の原因であり、また持ち出し禁止の備品であれば、会社の意向次第ですが弁償や損害賠償金の支払いとなる可能性が高いでしょう。
 
なお、法律では従業員への損害賠償の金額をあらかじめ定めておくことは禁止されています。例えば、「備品を紛失した場合は20万円を損害賠償金とする」などと就業規則で規定することはできません。
 

弁償代を給与から差し引くことは原則できない

紛失した備品を弁償することになった場合でも、基本的に会社は弁償代について従業員の給与から差し引くことはできません。
 
例えば、紛失したスマホの弁償代が5000円、毎月の給与が30万円というケースで、弁償代を差し引いた29万5000円を次回の給与の支給額にはできないということです。
 
ただし、労使協定によってその旨が規定されているときは、給与からの差し引きが認められる場合もあります。
 

弁償ではなく減給や降格処分となることも

就業規則での規定によっては、備品の紛失時の状況次第で弁償ではなく減給扱いとされることもあります。
 
ただし、大幅な減給は法律違反となっています。具体的には、減給額は1ヶ月の賃金総額の10分の1を超えてはならないとされており、例えば月給が30万円の人に対して3万円超の減給処分はできないということになります。
 
また、管理職など役職者であれば降格処分となったり、昇格が決まっている場合に取り消しとなったりするなど、今後のキャリアに影響することもあります。
 

お酒を飲んだり寄り道をしたりするときは会社の備品は持ち出さない

仕事帰りに会社支給のPCやスマホをなくした場合、弁償することになったり、減給処分を下されたりするほか、機密情報が外部に漏れて会社に大きな不利益を生じさせる可能性があります。
 
年末年始はお酒を飲む機会も増えるかと思いますが、うっかり会社の備品を紛失してしまわないよう、退社後に寄り道をする予定があるときは備品を持ち帰らず、必ず会社に置いておくことをおすすめします。
 
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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