更新日: 2022.12.27 子育て

奨学金を借りるためには、親の収入以外に「成績」も基準となる? 奨学金受給の要件って?

執筆者 : 柘植輝

奨学金を借りるためには、親の収入以外に「成績」も基準となる? 奨学金受給の要件って?
大学進学のために奨学金を借りる場合、親の収入の他に自身の成績も基準要件を満たしている必要があります。
 
日本学生支援機構にて大学進学前に奨学金の申し込みを行うと仮定し、奨学金受給の要件について確認していきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

奨学金は本人の学力基準と親の収入基準を満たす必要がある

大学進学のため、日本学生支援機構から奨学金を借り受けるための予約をする場合、第一種(無利子)と第二種(有利子)のどちらでも、学力基準と収入基準を満たす必要があります。基本的に、無利子となる第一種の方が第二種に比べて厳格な要件となっています。
 
第一種と第二種、それぞれについて本人の学力要件と親の収入要件を確認していきます。
 

第一種奨学金の学力基準

第一種奨学金の学力基準では、原則として、高等学校等における申込時までの全履修科目の評定平均値が、5段階評価で3.5以上であること、または高等学校卒業程度認定試験合格者であることが必要とされます。
 
【図表1】


 
出典:独立行政法人日本学生支援機構 進学前(予約採用)の第一種奨学金の学力基準
 
5段階評価で3.5以上の成績を取るためには、学校の授業に積極的に参加し、常日頃から勉学に励む必要があります。これから頑張って奨学金を、と考えている方にとって、第一種奨学金の学力基準はなかなかハードルが高いものになるでしょう。
 
なお、生計維持者の住民税が非課税であったり、生活保護受給世帯であったりするなど生活の厳しい世帯においては、5段階評価で3.5以上という要件を満たせなくとも、次のような要件に該当すれば学力基準を満たしているものとされます。

・特定の分野において、特に優れた資質能力を有し、特に優れた学習成績を修める見込みがあること。
・学修に意欲があり、特に優れた学習成績を修める見込みがあること。

収入が著しく低く、日常生活すら厳しいと判断される世帯においては、第一種奨学金を借り受けるための学力要件は実質的に問われないようなものとなっています。いずれにせよ、第一種奨学金を借り受けるためにはある程度の学力を有し、成績が良好といえると認められることが原則となります。
 

第一種奨学金の収入基準

第一種奨学金の収入基準は、世帯の人数などによって異なっています。
 
【図表2】


 
出典:独立行政法人日本学生支援機構 進学前(予約採用)の第一種奨学金の家計基準
 
親の収入が高い場合、本人が学力要件を満たしていても無利子で奨学金を借り受けることはできないため、この収入要件も確認しておく必要があります。
 

第二種奨学金の学力基準

第二種奨学金は有利子である分、学力要件が第一種奨学金に比べて緩やかとなっています。具体的には、進学先の学校における学修に意欲があり、学業を確実に修了できる見込みがあるなど4つの要件のうち、いずれかに該当すれば学力基準を満たすとされています。
 
【図表3】


 
出典:独立行政法人日本学生支援機構 進学前(予約採用)の第二種奨学金の学力基準
 
第一種奨学金のように5段階での評定が3.5以上であるなどといった具体的な数値の要件がなく、さらに4つのうち1つでも該当すればよい分、多くの方がこの学力基準を満たすことができるようになっています。
 
このように、第二種奨学金に関しては原則、学力要件がネックとなることはありません。親の収入要件さえ満たすことができれば、授業に出席していないなどよほど問題行動がないかぎり、成績が良好とはいえずとも奨学金を受給することができるでしょう。
 

第二種奨学金の収入基準

第二種奨学金の場合、収入基準が第一種奨学金よりも緩やかになります。生計維持者が会社員である場合、3人家族で1009万円まで、4人家族なら1100万円までと第一種奨学金の収入要件と比べて上限がだいぶ上げられています。
 
【図表4】


 
出典:独立行政法人日本学生支援機構 進学前(予約採用)の第二種奨学金の家計基準
 
平均的な世帯の収入を大きく上回る場合は、収入要件を満たせず第二種奨学金を借り受けることができない可能性もあります。
 

奨学金を借りるのであれば本人の成績要件が必要


 
奨学金は家計の収入要件が重視されると思われがちですが、本人の成績要件も満たす必要があります。
 
特に無利子で借り受けられる第一種奨学金の場合は、成績も一定以上となる優秀な学力が必要なため、成績があまり振るわない場合は有利子の第二種奨学金を利用することになります。
 
成績が5段階評価で3.5未満であって、奨学金を借りたいという場合、第二種奨学金の利用をご検討ください。奨学金についての詳細は、在学中の学校または日本学生支援機構へお問い合わせください。
 

出典

独立行政法人日本学生支援機構 進学前(予約採用)の第一種奨学金の学力基準
独立行政法人日本学生支援機構 進学前(予約採用)の第一種奨学金の家計基準
独立行政法人日本学生支援機構 進学前(予約採用)の第二種奨学金の学力基準
独立行政法人日本学生支援機構 進学前(予約採用)の第二種奨学金の家計基準
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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