更新日: 2023.01.11 暮らし

わが子に金融教育は必要? FPである私なりに考えている金融教育の目的と方法

執筆者 : 重定賢治

わが子に金融教育は必要? FPである私なりに考えている金融教育の目的と方法
※この記事は2022年12月13日の情報を基に執筆しています。
 
2022年4月から、高校で金融教育が実施されるようになりました。子どものことを考えると、高校で投資について教える必要があるのかと疑問を感じていますが、今は18歳からが大人という時代です。国の方向性としては、子どもたちを早いうちに投資の世界へ放とうとするわけですが、学校では到底、実践的な学びはできないと思うので、親としてはその方法を教えておく必要もあります。
 
そこで今回から、わが子にどう金融教育、特に投資教育を施していけばいいか、今、FPである筆者の考えや計画を伝えていければと思います。もちろん、人や家庭それぞれで考え方は違うと思うため、あくまでも参考程度に読み進めていただければ幸いです。
 
重定賢治

執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)

明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。

子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。

2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai

子どもに金融教育を施す理由

筆者の子どもは現在3歳です。金融教育、投資教育にはまだ程遠い年齢で、「別に子どもにお金のことを教えてもなあ……」というのが本音ですが、高校で中途半端に教わるぐらいなら、子どもの成長段階に応じて生活のなかで金融教育を施してみようと思うようになりました。
 
筆者が親として何のために金融教育を施すかというと、将来、大人になって難しいことを自分の頭で考えることに慣れさせるためです。
 

自制心をコントロールできるようにする

第1段階として、金融教育の目的を自制心の育成とします。
 
これは具体的にいうと、お金を使い過ぎない、つまり欲望に身を任せない人間形成ということです。大人になっても浪費や欲望をコントロールできないというのは、多くの方にとって経験があるように思います。しかし、「過ぎたるは、なお及ばざるがごとし」で、何事も行き過ぎない程度に、まずは自制心を育成してコントロールすることを目的に金融教育を行います。
 
自制心がコントロールできないのは、本質的には何かが満たされていないことを示していると思いますが、愛情が欠乏している、自己肯定感が低い場合などは別問題として、ここではただの物質的な欲求に対する自制心のコントロールを目的とします。
 
今考えているのは、子どもにあげるお小遣いをどうするかということです。子どものお小遣いについては、子どもが買い物などをするために親が与えるお金程度の意味と筆者は考えています。それにしっかりとした目的と方法を添えるわけですが、欲望をコントロールできる人間に育ってもらう必要があるため、ここに照準を合わせるとすると、最初の目標は、お小遣いをあげて速攻で使い切らせることとします。
 
わが家の場合、お小遣いをあげるのは妻になると思いますが、あげるタイミングは小学校に上がったときからにします。金額については毎月1000円です。なぜ、月1000円にするかというと、おそらく小学校1年生ぐらいであれば月500円でも多いぐらいかと思いますが、その倍の1000円にすることで、無駄に使うことを早めに経験させるためです。
 
子どもは欲望に任せて1000円を速攻で使い切ります。そして、妻にしかられます。妻には、「1000円全部使っちゃうと、もう何も買えなくなるから、何が欲しいかよく考えながら使いなさい」と言ってもらいます。小学校1年生の1年間、これを繰り返せば、お金には限りがあることを覚えるようになると思います。
 
金融教育の初めに出てくるのが、こうしたお金についての考え方で、欲しいもの(ウォンツ)と必要なもの(ニーズ)を区別できるようになることを目的とします。
 

子どもの成長段階に合わせた金融教育

その後、小学校2年生になり、足し算・引き算ができるようになった段階でお小遣い帳をつけさせます。
お小遣い帳をつける効果は、当たり前ですが、お金を管理する意識が芽生えることです。ここでいう、お金を管理する意識とは、毎月いくらお小遣いがもらえるから、いくらまで使えるというのを認識させることにあります。
 
これができるようになると、今度はお金が余ることに気がつくようになります。お金が余ることに気がつくようになれば、次に、お金を貯めて何かを買うという発想が生まれます。つまり、この段階では目的に合わせた消費行動ができるようになるためにお小遣い帳をつけさせます。
 
大人からすればごく簡単なことのように思いますが、子どもにとってはこの段階で同時に貯蓄の概念が生まれ、収入と過剰消費、通常の消費、貯蓄という考え方がはっきりとしたものになってきます。
 
その後、小学校3年生、4年生と歳を重ね、掛け算・割り算を覚えることになりますが、ひょっとしたら計算を覚えたことで買い物などがこれまでよりも楽しくなるかもしれません。欲しいものを何個買おう、何個買ったらお金がいくら余るなどの計算ができるようになるため、お小遣い帳の管理がより具体的になってくるでしょう。
 
この段階で、お小遣い帳をパソコンでつけさせます。すでにお小遣い帳でお金の管理をできるようになっているため、ここでの目的はパソコンで表計算を利用することです。できる、できないはさておき、仮にできるようになった場合、いつまでにいくらお金が貯まるかという次のステージに移ります。
 
これは、お小遣いレベルでは単純な手計算で求めることができますが、あえて表計算を使うことで期間の概念を目で見えるようにしていきます。別の言い方をすれば、計画性を身に付けることといえますが、お金を管理するうえで最も重要なのが計画性です。
 
お金の管理では貯めるための計画性だけでなく、返すための計画性もあります。小学校5年、6年になるにつれて、返すための計画性について考えてもらうために、親として子どもにお金を貸します。例えば、お金を借りてお小遣いでは買えない値段のものを購入した場合、どうやってそのお金を返すか考えさせます。
 
毎月のお小遣いを貯めて返す、いつまでに返すという計画性のほか、例えば家の中でお手伝いなどの仕事を見いだしてお金を稼ぐ、新しい企画を考え、実行することで対価を受け取って返すなど、いろいろな方法が考えられるかと思います。複雑になってきましたが、この段階でお金を生み出す方法を自分でも考えることができることに気づいてもらいます。
 
例えば会社に勤める場合、労働の対価として給与を受け取りますが、ゼロから仕事や価値を生み出した対価として報酬を得るといった自営業の働き方もあることを伝えていきます。将来、どのような働き方をするかは別の話になりますが、この段階では、お小遣い帳を管理することで、働き方の選択肢を広げるという考え方を身に付けさせることが目標になります。
 
そして、お小遣い帳の最後の段階で、働く以外にもお金を増やす方法があることを伝えます。これは、子どもが中学生以上になった段階で伝えればいいことですが、ここで初めて親である自分が投資をしている姿を見せていきます。投資の話は直接しませんが、興味をもつかどうか、関心を抱くまでひたすら待ちます。
 
関心をもたなくても高校の金融教育である程度は習うことですし、投資をしている姿を見せていれば、どこかのタイミングで何らかの問いを投げかけてくることもあるでしょう。逆に関心を示したならば、試しに好きな企業の株でも買ってみるかということで、株式投資の世界を当事者として見せていきます。
 
筆者の場合、子どもへの金融教育はこの程度でいいと考えています。大切なのは子どもが自分で気づくことです。人生は、何かに失敗したら原因について考え、それを基に何らかの行動を起こすことの繰り返しであるため、失敗を経験させながら金融教育を行っていけば、お金という難しいテーマを自分で考えるようになると思います。
 
冒頭で説明したように、筆者の子どもに対する金融教育の目的は、難しいことを自分の頭で考えることに早めに慣れさせることです。お小遣い帳をつけるだけでも家計の基本項目は理解できるようになり、お金を人生にどう生かそうかと考えることができるようになると思います。
 

まとめ

ここまで、お小遣い帳を例に金融教育の経路を筆者なりに考えてみました。この考え方は、あくまでも筆者による一例のため、必ずしも効果的であるとか、こうしたほうが良いというものではありません。
 
ただし、これまで述べてきたとおり、お金について知ることだけを金融教育の目的にしていないのは分かっていただけたかと思います。お金はあくまでも人生を過ごすうえでの必要な手段であり、ツールに過ぎません。このため、お金を用いて何をするかを考えさせることに重きを置いています。
 
次回は、子どもが大人になって、いざ投資を覚えたいと言い出したときに自分ならどう対応するか考えてみたいと思います。いわば、わが子を想定した場合の投資初心者向けの資産運用ガイダンスです。
 
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)

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