更新日: 2023.01.23 その他暮らし
賃貸と持ち家はどっちを選んだらいい? それぞれのメリット・デメリットはどんなもの?
執筆者:小山英斗(こやま ひでと)
CFP(日本FP協会認定会員)
1級FP技能士(資産設計提案業務)
住宅ローンアドバイザー、住宅建築コーディネーター
未来が見えるね研究所 代表
座右の銘:虚静恬淡
好きなもの:旅行、建築、カフェ、散歩、今ここ
人生100年時代、これまでの「学校で出て社会人になり家庭や家を持って定年そして老後」という単線的な考え方がなくなっていき、これからは多様な選択肢がある中で自分のやりたい人生を生涯通じてどう実現させていくかがますます大事になってきます。
「未来が見えるね研究所」では、多くの人と多くの未来を一緒に描いていきたいと思います。
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賃貸と持ち家、どっちがお得?
住まいについて賃貸にするか、持ち家にするか、よく話題になります。どちらが「お得」なのかは、結論を先に言えば「正解はない」が答えになるでしょう。
「お得」という視点で問われたとき、それは生涯での住まいにかかる総費用の比較で判断しようとしているのかと思いますが、費用については前提条件をどうするかで、さまざまに変わってきます。
例えば、賃貸であれば住み替えの頻度によって家賃や管理費、引っ越しにかかる費用も変わってくることが考えられます。
一方、持ち家であれば、メンテナンスの頻度や規模によってもかかる費用が変わってきます。また、住み始めたあとにかかる費用(ランニングコスト)は、家族構成や仕事の変化にも大きく影響を受けることがあります。
そもそも人生は、なかなか予定どおりに事は運ばないものです。これらの点からも、かかる費用の視点で「どちらがお得」ということを考えてもあまり意味がないと筆者は思います。
賃貸と持ち家、どちらがライフスタイルに合っているか
それでも、賃貸と持ち家のどちらを選ぶのがいいのか、目安となるポイントがあります。それは、自分のライフスタイルがどちらにより合っているかという視点です。
費用の掛かり方とライフスタイルの比較
費用の視点で損得を考えるのはあまり意味がないと述べましたが、人生を時系列で見た時の一般的な費用の掛かり方は、賃貸と持ち家ではそれぞれ違いが出てきますので、ライフスタイルと照らし合わせることには意味があります。
例えば、子どもがいる家庭で「マンション住まい」をする場合の例では、年月の経過とともに住居費にかかる費用負担の一般的なイメージは、賃貸と持ち家では図表1・2のような違いがあるでしょう。
【図表1】
※筆者作成
賃貸では家族構成の変化とともに、家族に適した広さの物件に住み替えていくことが可能です。また、収入の変化に応じて家賃の高い物件、反対に安い物件へと移ることも可能です。定年後も家賃の支払いは続くことになります。
【図表2】
※筆者作成
持ち家では、購入時に頭金や諸費用など、ある程度のまとまった資金が必要になります。また、管理費や修繕積立金などは年数がたつにつれて上がっていく傾向がありますが、住宅ローンを完済したあとは住まいにかかる費用負担は軽減されます。
ライフスタイルと合わせて住まいを考えたとき、子どもの教育費をどうしていくのか、老後にかかる費用をどうしていくのかなども検討することが大事です。また、親と同居している場合は介護について考えることも重要なポイントになってきています。
住まいの費用以外にかかる費用を上記のイメージ図と重ね合わせたときに、賃貸と持ち家のどちらがより無理のない資金計画を立てられるのか検討(ライフプランニング)することが大切です。
メリット・デメリットとライフスタイルの比較
賃貸と持ち家には、それぞれメリットとデメリットがあります。メリット・デメリットを確認しに、より自分のライフスタイルや価値観に合う方を選択することも大事でしょう。
【図表3】
メリット | デメリット | |
---|---|---|
賃貸 | ・家族状況の変化に応じて住み替えができる ・修繕にかかる費用面や手間などの負担が少ない ・固定資産税がかからない ・資産価値の低下を気にしなくていい |
・自分の資産にならない ・一生家賃が発生する ・自由にリフォームできない ・貸主の都合で住み続けられない場合もある |
持ち家 | ・自分の資産になる ・所有しているという満足感が得られる ・建て替えや間取り、設備などを自由に変更できる ・ローン完済後は住居費の負担が減る ・ペットと一緒に住みやすい |
・住まいを変えることが容易ではない ・固定資産税がかかる ・一戸建ての場合は、修繕を自分で計画したり、業者探しをしなくてはならない場合がある ・マンションは管理費や修繕積立金がかかる ・自然災害などで資産価値が損なわれるリスクがある |
※筆者作成
職業の観点で選ぶ
自身の職業の観点から住まいを選ぶという考え方もあります。
個人事業主やフリーランスの人は、賃貸住宅を自宅兼事業所として使うことにより、家賃の一部を経費にできます。そのため、個人事業主などでは賃貸の方が有利な場合があります。
一方で、会社員の場合は属性から住宅ローンを組みやすい傾向があり、今はまだ低金利であることからも、持ち家の方が有利という考え方もあるでしょう。
また、職業の観点とは少しズレますが、賃貸併用住宅を所有することで賃貸(不動産)収入を得ることも可能ですが、この場合であれば持ち家を選択することになります。
まとめ
賃貸か、持ち家かを検討するに当たっては、費用の損得だけで考えるのではなく、自分のライフスタイルや価値観などにも合わせて住まいを選ぶのが賢い選択といえるでしょう。
執筆者:小山英斗
CFP(日本FP協会認定会員)