更新日: 2023.01.26 子育て
「小1の壁」で退職を考え中。収入を維持して壁を乗り越えることはできるのか?
本記事では、小1の壁を乗り越え家庭の収入を維持する方法について解説します。
執筆者:辻章嗣(つじ のりつぐ)
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士
元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
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そもそも小1の壁とは
小学校に入学したら下校後に預けるところがなくなるなどで、仕事と子育てを両立させるのが困難になることを「小1の壁」といいます。まずは、この「小1の壁」が起こってしまう主な理由を考えてみます。
1.子どもの登校時間が遅く、下校時間が早くなる
保育園では出勤時間に応じて預けることができ、さらに、延長保育を利用すれば時間外勤務にも対応することができました。一方、小学校では、登校時間は8時ごろ、下校時間は15時ごろとそれぞれ決まった時間が設定されています。
2.親が関係する活動が多くなる
保育園では親が仕事をしていることが前提となりますので、親が関係する園の活動は運動会などの行事に限られています。一方、小学校では、運動会に加えて保護者会や授業参観など、親が関係する学校活動が多くなります。
3.育児に関する法的保護がなくなる
育児・介護休業法では、小学校就業前の子を養育する労働者に対して以下のような規定があり、保護されていましたが、小学校に進学するとその保護がなくなります(※1)。
(1)労働者が申し出ることにより、年5日(2人以上であれば年10日)を限度として、子の看護休暇を1日または時間単位で取得できます
(2)労働者が請求した場合、事業主は月24時間、年150時間を超える時間外労働をさせることができません
(3)労働者が請求した場合、事業主は深夜業(午後10時から午前5時まで)をさせてはいけません
小1の壁の乗り越え方
子どもが小学校に進学しても、働き続けて収入を維持できるように、小1の壁を乗り越えるための方法について考えてみましょう。
子どもの保育方法を考える
1.学童保育制度などを活用
各自治体では、厚生労働省の「放課後児童クラブ」(※2)と文部科学省の「放課後子ども教育推進事業」(※3)による国の支援を受けて、放課後の児童を保育する事業を推進しています。この制度では、主に10歳未満(小学校3年生)までの児童を、おおむね18時ごろまで有料で預けることができます。
また、費用はかさみますが、民間企業やNPO法人などが運営する学童保育施設もあります。居住地の市区町村や、子どもが通学する小学校に問い合わせてみるとよいでしょう。
2.学習塾や習い事を利用
学童保育以外に、学習塾や習い事に通うことも、放課後の過ごし方の選択肢になります。
3.夫婦や身内で助け合う
両親の一方に負担が偏ることは好ましくありませんので、夫婦間で子育てや家事の分担を話し合うことをお勧めします。また、同居や近居の祖父母がいれば助けを求めることも考えましょう。ひとりで問題を解決しようとするのではなく、チームで壁を乗り切りましょう。
働き方を考える
1.職場内の理解を得る
小学校就業前までは、育児・介護休業法により時間外労働を制限されていたため、時短勤務を比較的容易に行うことができました。しかしながら、小学校に入学すると法的制限はなくなりますので、仕事と子育てを両立させるためには、より一層の職場の理解が必要となります。
2.在宅勤務やフレックスタイムが可能な働き方を追求する
職場の理解が得られず、そのまま働き続けることが困難な場合は、在宅勤務やフレックスタイムで働くことができる職場に転職することも検討してみましょう。
3.パートタイムやアルバイトなどに勤務形態を変える
在宅勤務やフレックスタイムで働くこともできない場合は、仕事と子育てが両立できるよう、パートタイムやアルバイトなどに勤務形態を変えるという手もあります。
まとめ
子どもが小学校に入学すると、それまでとは変わって仕事と子育てを両立させることが困難となります。小1の壁で退職してしまう前に、学童保育制度などの利用や、働き方の工夫などにより、壁を乗り越え収入を維持していきましょう。
出典
(※1)厚生労働省 育児・介護休業法のあらまし
(※2)厚生労働省 「放課後児童クラブガイドライン」について
(※3)文部科学省 放課後子どもプランの推進-放課後子ども教室推進事業-
執筆者:辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士