繁忙期に有休をとろうとしたら上司に「来月にして」と言われた…。有休の取得は労働者の権利じゃないの?
配信日: 2023.02.03
そこで今回は、有休に関する権利を詳しく説明するほか、希望通りに取得できない場合の対処も紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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有休は労働者に与えられた権利
有休の正式名称は「有給休暇」で、働かなくても賃金が発生する休暇を指します。詳細は労働基準法の第39条に定められており、労働者の権利として国に認められています。
雇用されてから6ヶ月の継続的な勤務を行い、出勤が全所定労働日の8割以上の場合に付与されるものです。取得する際に理由を説明する必要はなく、権利の代償として金銭的な不利益を被ることもありません。ボーナスの査定ダウンなどの要因には該当しないということです。
なお、有休の規定に関して2019年に大きな変化がありました。年間の付与が10日以上の労働者には、少なくとも5日は取得させることが義務付けられたのです。このように被雇用側の権利に加え、雇用側の義務化によって有休を利用しやすい状況になりました。
取得するタイミングの変更
基本的には、労働者は自分が望むタイミングで有休を取得できます。しかし、権利があるからといって、多くの従業員が好き勝手に休んでしまうと、企業活動は成り立たないかもしれません。したがって、雇用側に認められている例外的な措置があります。
従業員の希望を通すと事業に支障が出る、という状況が措置を適用する条件です。この状況に限り、他のタイミングで取得させることが許されています。よって、繁忙期に有休を申請した結果、「来月にして」と言われたら、了承せざるを得ないケースもあるのです。
ただし、有休の取得が事業の妨げになると見なすには、公平な妥当性が必要です。本人の業務内容や代替要員の存在はもちろん、同じタイミングで休む従業員の数など、さまざまな事情を考慮しなければなりません。
変更を求められた場合の対処
有休のタイミングを変更するように求められたら、いつ頃なら休んでも大丈夫なのか確認しましょう。上司から具体的な回答を得られたら、基本的にはそれに従うことになります。変更の要望に妥当性がある場合、今後も働いて継続的に収入を得たいなら、無視して関係や立場を悪くするのは得策ではありません。
一方、質問に答えようとせず、単純に有休を取得させないようにすることは、労働基準法に反する行為です。その場合、その上司より上の役職者や人事部などに相談するという対処法があります。見過ごすと企業にリスクが発生するため、改善に向けて動きだすことを期待できるからです。
相談しても相手にしてもらえないなど、改善の見込みがない場合は、労働基準監督署を頼ることも視野に入れるとよいでしょう。また、費用が発生しますが、弁護士に相談してみることも一つの手です。
社会人として権利を適切に使おう
休んでも賃金が支払われる有休は、労働者にとって魅力的な権利です。
ただし、必ずしも希望通りに取得できるとは限りません。事業に支障が生じるケースでは、タイミングの変更を要求される場合もあります。その要求に妥当性があるなら、企業や仲間のことを思いやって従うことも立派な判断です。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部