更新日: 2023.02.09 子育て

日本学生支援機構の奨学金の保証制度は「人的保証」「機関保証」どっちがよい?

執筆者 : 新美昌也

日本学生支援機構の奨学金の保証制度は「人的保証」「機関保証」どっちがよい?
大学生等の約3人に1人が利用している日本学生支援機構の奨学金の保証制度には、「機関保証」と「人的保証」の2つがあり申込時に保証制度を選択する必要があります。選択に迷う方も少なくありません。
 
それぞれのメリット、デメリットを解説します。選択の参考にしてください。
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

人的保証

人的保証は奨学金の返還について連帯保証人および保証人を引き受けてもらう制度です。連帯保証人は、原則、父母のいずれかがなります。父母がいない等の場合は、4親等以内の親族がなります。
 
保証人は次の条件を満たす人がなります。

(1) 父母以外の人。
(2) あなた(学生)および連帯保証人と別生計の人。
(3) 連帯保証人の配偶者・婚約者でない人。
(4) 4親等以内の親族。
(5) 返還誓約書の誓約日(奨学金の申込日)時点で65歳未満の人。また、返還誓約書の提出後に保証人を変更する場合は、その届出日現在で65歳未満である人。

 
保証人については、おじ・おば等がなるケースが多いようです。
 
また、上記に加え、連帯保証人・保証人に共通して以下の条件を満たす必要があります。

(1) あなた(学生)の配偶者・婚約者でないこと。
(2) 未成年者および学生でないこと。
(3) 債務整理中(破産等)でないこと。
(4) 貸与終了時(貸与終了月の末日時点)にあなた(奨学生本人)が満45歳を超える場合、その時点で60歳未満であること。

 

人的保証のメリット・デメリット

学生のメリットとしては、「保証料支払いが不要である」、「返還のインセンティブあり」など。デメリットとしては「連帯保証人・保証人を立てることができないときや所得連動返還方式を選択した場合、人的保証を選択できない」、「保証人を断られ親族間トラブルに発展する」、「延滞したときに連帯保証人・保証人に迷惑がかかる」などがあります。
 

連帯保証人と保証人の責任の違い

保証人は学生および連帯保証人が奨学金を返還しないときは、それらに代わって返還しなければなりません。ただし、返還すべき金額が請求額の2分の1であることを主張できます(分別の利益)。
 
また、学生に資力があることを証明できれば、まずは学生に対して請求するよう主張でき(検索の抗弁権)、学生に請求していない分を請求されたときは、まず学生に対して請求するよう主張できます(催告の抗弁権)。
 
これに対して、連帯保証人は、奨学金の返還について学生と同等の責任を負い、学生が返還しないときは、その全額について返還をしなければなりません。
 
つまり、保証人と違って分別の利益(民法第456条)も検索の抗弁権(民法第453条)も催告の抗弁権(民法第452条)もありません。
 

機関保証

機関保証は、連帯保証人および保証人を立てる代わりに、保証機関(公益財団法人日本国際教育支援協会)に保証を依頼し、連帯保証を引き受けてもらう制度です。保証を受けるためには一定の保証料の支払いが必要となります。元金・利息・延滞金が保証されます。
 
保証料は、原則として毎月の奨学金の貸与額から差し引かれて学生の口座に振り込まれます。
 
例えば、令和4年度(2022年度)採用者の保証料月額は有利子の第二種奨学金5万円を48ヶ月借りる場合、2119円ですので、学生の口座には毎月4万7881円が振り込まれます。
 
なお、無利子の第一種奨学金にのみ認められている所得連動返還方式は、所得が低く返還月額が低額となる場合、返還期間が長期にわたることから、機関保証への加入が義務付けられています。
 

機関保証のメリット・デメリット

学生のメリットとしては、「連帯保証人・保証人を立てることができないときでも申し込み可能」、「延滞したときに連帯保証人・保証人に迷惑がかからない」など。
 
デメリットとしては「保証料の支払いがある」、「返還のインセンティブが低い」、「保証料を支払っても奨学金の返還はしなければならない(代位弁済されても債務は消滅しない)」などがあります。
 

まとめ

奨学金の返還は長期にわたります。この間何が起こるかわかりません。学生が返還不能になったときのリスクを考えると、連帯保証人・保証人が肩代わりできる資力がなければ、連帯保証人・保証人も共倒れになるリスクがあります。機関保証を選択したほうが連帯保証人・保証人にとっては安心ではないでしょうか。
 
参考までに、2021 年度の選択割合では、人的保証が 46.2%、機関保証が53.8%となっています。
 

出典

独立行政法人日本学生支援機構 JASSO年報(令和3年度版)
公益財団法人日本国際教育支援協会
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

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