更新日: 2020.04.07 その他暮らし

え?ミナミの帝王ですか!? 友人からトイチでお金を借りたAさん。支払いの義務はあるのか

え?ミナミの帝王ですか!? 友人からトイチでお金を借りたAさん。支払いの義務はあるのか
「トイチ」という言葉を聞いたことはありませんか?
 
トイチとは「10日で1割」の略と言われ、お金を借りたとき10日で1割の利息が発生するという意味の言葉です。
 
例えば100万円をトイチの条件で借りたとしましょう。
 
この場合にトイチで利息を計算すると、10日ごとに10万円の利子が発生するという恐ろしい結果となるのです。
 
このような条件であっても、一度契約してしまったら契約に従い、借り入れたお金にトイチの利息を付けて返さなければならないのでしょうか。
 
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

友人からトイチでお金を借りたAさん

Aさんは友人からトイチで100万円を借り入れました。
 
返済期限は一カ月後です。
 
契約書も作成し、そこにはトイチの利息である旨も明記されていました。
 
しかし、返済期日が到来したものの、高額な利息を返せるはずもなく、Aさんは友人に「利息を減らしてほしい。こんな法外な利息、僕には払うことができない。」とお願いしました。
 
それに対し友人は「あらかじめトイチと約束したうえでお金を貸したじゃないか。それに僕たちは個人同士で契約を結んだんだ。僕は業者でもないのに法律違反とか言われても困るよ。」とAさんの申し出を拒否しました。
 
さて、Aさんは契約で定めた通り、トイチの利息を付けて100万円を返さなければならないのでしょうか。
 

利息制限法を超える利息部分は無効となります

まず結論から述べると、Aさんはトイチで発生する利息の全額を支払う必要はありません。
 
その根拠は利息制限法にあります。
 
なぜなら、利息制限法では次のように利息の上限が定められているからです。
 
・元本(元のお金)が10万円未満・・・年利20%まで
・元本が10万円以上100万円未満・・・年利18%まで
・元本が100万円以上・・・年利15%まで
 
利息が上記の範囲を超える場合、その超える部分は無効となり、利息制限法で定められた範囲内の利息のみ有効である。
 
ということになるのです。
 
また、利息制限法は個人同士におけるお金の貸し借りについても適用されるため、Bさんが金融業者であるか否かは関係ありません。
 
とするのであれば、Aさんは利息制限法に従い、100万円の15%、つまり年間で15万円以上の利息を支払う必要はない。
 
ということになります。
 

契約自体はどうなる?

利息制限法に違反したからと言っても、直ちに契約自体が無効となるわけではありません。
 
先に述べた通り、基本的には利息制限法によって定められた範囲から超えた部分のみ無効となり、契約や範囲内の利息については有効として扱われます。
 
ところが、契約の内容や契約当事者間の関係など個別に事情によっては公序良俗違反(道徳的・倫理的に認められないこと)や不当利得(法律上、利益に対する原因がないとみなされること)によって、契約自体が無効として扱われることもあります。
 

利息は利息制限法の範囲内が基本です

最後にトイチの利息についてまとめておきましょう。
 
(1)基本的にトイチでの利息は無効とまでは言えず、利息制限法に規定される範囲を超える部分のみが無効となります。
(2)個別の事情によっては契約自体が無効とされることもある。
(3)利息制限法は友人間であっても適用される。
 
本当にお金に困っていたり、当事者間の力関係によっては、不当な利息であっても契約を結んでしまうということもあるでしょう。

利息制限法が存在しているとはいえ、不要なトラブルを避けるためにも法外な利息を条件とした契約は結ばないようにしておきましょう。
 
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士・2級ファイナンシャルプランナー

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