更新日: 2019.01.10 その他暮らし

離婚後、相手が養育費を支払わなくなった・・・これってありですか?

離婚後、相手が養育費を支払わなくなった・・・これってありですか?
離婚後、母子世帯になったことで家計が苦しくなったという話は少なくありません。
 
夫婦で正社員の共働きだったというならともかく、非正規雇用や専業主婦だったお母さんは、子供の養育費に不安を感じることもあるのではないでしょうか。
 
そのような人にとって、相手から送られてくる「養育費」は命綱と言えるかもしれません。
 
しかし、この養育費も母子世帯の半数以上が受け取っていないという事実があります。これには「相手が支払わない」だけではない、意外な理由がありました。
 
今回は、離婚後の養育費が相手から支払われなかった場合、どのように請求すればいいのかを確認してみましょう。
 
FINANCIAL FIELD編集部

Text:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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石垣美帆

Text:石垣美帆(いしがき みほ)

弁護士

中央大学法科大学院卒業後、弁護士登録。原子力損害賠償紛争解決センターでの勤務経験を持つ。「幸せになるお手伝いをする」をモットーに日々邁進中。お客様のご相談を受けるに際し、「共感力」を大切にしています。

父子世帯の平均年収は420万円。母子世帯の平均年収243万円とは1.7倍差

本題に入る前に、母子世帯と父子世帯の収入差をみてみましょう。
 
厚生労働省によると、母子世帯になる前に就業していた人のうち、母子世帯になったことを契機に転職をした人は45.5%。仕事を変えた最も大きな理由は「収入が良くない」が38.0%と、最も多い回答になりました。
 
母子家庭になったことで家計が苦しくなり、パート勤務から正社員になり、収入を増やすというパターンが多いようです。
 
また、母子世帯の母自身の平成27年の平均年間収入は、243万円(前回調査223万円)。父子世帯の父自身の平成27年の平均年間収入は、420万円でした。
 
父子世帯と母子世帯では、年間収入に約1.7倍の差があることが分かります。
 
ひとり親世帯の中でも、父子世帯と比べると母子世帯は経済的に厳しいケースが多いようです。離婚した父親からの養育費は、母子世帯の家計の支えであることが少なくないのではないでしょうか。
 
参考資料:厚生労働省「平成28年度 全国ひとり親世帯等調査結果報告」
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11923000-Kodomokateikyoku-Kateifukishika/0000190325.pdf
 

離婚した父親から、養育費を受け取ったことがない母子世帯は半数以上

次に、離婚した父親からの養育費の受給状況をみてみましょう。
 
こちらは、「現在も受けている」が24.3%、「養育費を受けたことがない」が56%という結果になりました。母子世帯の半数以上が養育費を受け取っていないことが分かります。
 
母子世帯で養育費の取り決めをしていない最も大きな理由は、「相手と関わりたくない」が31.4%と、最も多い回答になりました。
 
多くの母子家庭が経済的に豊かとは言えない状況に反して、自らの意思で養育費を受け取らない場合も多いことが分かりました。
 

離婚後、子供の父親から養育費が支払われなくなったら、どうしたらいいのでしょうか。東京桜橋法律事務所の石垣美帆弁護士にお伺いしました。

基本的に養育費は、離婚時に取り決めをするものです。お互いの年収など、経済状況から判断して決まります。
 
離婚した父親から養育費が支払われない場合は、まず、弁護士に請求依頼をします。
 
その後、調停の申し立てを行い、相手に出頭してもらい、養育費の内容を確認しながら話し合います。「毎月これだけ払ってね」と決め、調停和解するという流れです。
 
相手が申し立てに応じず出頭しない場合は、「審判」に移行します。養育費は審判事項になるので、年収に応じてなんらかの決定がなされます。この決定は判決と同様の効力があるため、強制執行が可能となります。
 
あらかじめ、公正証書で「養育費はいくら、払わない場合は強制執行」と決めていない場合も、調停を行うことになります。
 
現実的には、申し立てをされると支払う人が多い傾向です。相手が支払えなくなった場合は、収入に適した形の養育費に変更することもあります。
 
ただ、実際には養育費を受け取るのも、「相手とつながりが残っているようでいやだ」と感じる人が少なくありません。相手からの支払いがなくても、請求をしないケースも多々あると感じます。
 

養育費が支払われない場合は、弁護士に請求依頼することで調停が行われる

養育費が支払われない場合は、弁護士を通じて請求することが分かりました。申し立てをされると支払う人が多いものの、支払うだけの収入がない場合は、収入に適した養育費に変更されるというお話でした。
 
しかし、相手ともう関わりたくないという理由で、支払いを求めない人が多いようですね。
 
経済的に自立した女性が増えている、または離婚後に自分の力で生活する覚悟があるのかもしれませんが、子供がいて収入も減ることが分かったうえで離婚に踏み切った背景には、それだけ相手に思うところがあるのでしょう。
 
相手から養育費が支払われず、請求を希望する場合は、まず弁護士に相談してみましょう。
 
Text:FINANCIAL FIELD編集部
監修:石垣 美帆(いしがき みほ)
弁護士
中央大学法科大学院卒業後、弁護士登録。原子力損害賠償紛争解決センターでの勤務経験を持つ。「幸せになるお手伝いをする」をモットーに日々邁進中。お客様のご相談を受けるに際し、「共感力」を大切にしています。

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