4月に引っ越し予定です。NHKの契約が遅れると受信料の「3倍」も請求されるって本当ですか?
配信日: 2023.03.06
本記事では、割増金が請求される条件を解説し、割増金がいくらになるのかシミュレーションしてみました。
執筆者:川辺拓也(かわべ たくや)
2級ファイナンシャルプランナー
NHKの割増金が請求される条件とは?
割増金とは、NHKの受信料とは別に支払う必要のある料金を指します。NHKの受信規約によると、現行の規約で割増金を支払う必要のある条件は、以下の2つです。
・受信料の支払いに不正があった場合
・受信料が免除される条件を満たさなくなったにもかかわらず届け出をしなかった場合
受信料が免除される条件は、障害のある人や親元から離れて生活する学生で、奨学金を受給している人などです。詳細は、図表1と図表2を参考にしてください。
【図表1】
【図表2】
現行制度では「受信料の支払いに不正がある人」または「受信料が免除される条件に当てはまらなくなったのに届け出をしなかった人」が、割増金を支払う必要があります。さらに、2023年4月からは以下の条件が新たに追加されます。
・受信契約書を期限までに提出しなかった場合
・正当な理由なく契約種別の変更にかかわる契約書を期限までに提出しなかった場合
新設された項目には、契約書類の提出が遅れた場合に割増金が請求できると記載されています。現行の規約と新しい規約を比較すると、図表3の通りとなります。
【図表3】
今回の変更によって、正当な理由なく期限までに受信契約をしなかった場合も、割増金が請求されます。また、今回の規約変更で、受信契約の手続き期限も規定されました。新たに明記された期限は、テレビなどの受信機を設置した月の「翌々月の末日」です。
4月に引っ越しやひとり暮らしを始めた場合、契約書の提出期限は6月末日になります。契約書を提出するのが遅れて7月になった場合、5月と6月の受信料に加え、受信料の2倍に相当する割増金が請求されるので、注意が必要です。
では、実際に割増金が請求される場合、いくらになるのか計算してみましょう。
NHKの受信料割増金をシミュレーション
NHKの受信料と割増金をシミュレーションすると、図表4の通りになります。
【図表4】
4月に東京都でひとり暮らしを始めた人が、6月末日までに契約書が提出できなかった場合を口座振替の金額でシミュレーションしてみましょう。
7月に衛星契約を締結した場合、受信料と割増金の請求額は、次の通りになります。
・5月から7月の衛星契約の受信料:2170円×3ヶ月=6510円
・5月と6月の割増金:4340円×2ヶ月=8680円
・受信料と割増金の請求額:6510円+8680円=1万5190円
5月と6月における受信料と割増金の合計額は、単月でそれぞれ6510円となり、受信料1ヶ月分の3倍となります。
割増金が請求されないように手続きの必要性についてよく確認しましょう
NHKの割増金について解説しました。2023年4月より、受信機を設置した翌々月の末日までに契約の手続きを行わないと、割増金が請求されます。割増金は受信料の2倍に相当する金額なので、実質の請求額は受信料の3倍です。
4月は引っ越しやひとり暮らしで、新生活を始める人も多いでしょう。受信料が免除される要件を満たしていないか、そもそも手続きする必要があるのかも含め、事前によく確認しておきましょう。
出典
総務省 報道資料 日本放送協会放送受信規約の変更の認可
総務省 日本放送協会放送受信規約 新旧対照表
日本放送協会 放送受信料の免除について
日本放送協会 「NHK経営計画(2021~2023年度)」の修正について
日本放送協会 放送受信料のご案内
日本放送協会 2023年度(令和5年度)収支予算と事業計画の説明資料
執筆者:川辺拓也
2級ファイナンシャルプランナー