同じメーカーのディーラーでも県をまたぐと「10万円」の差に? 車や整備の金額が異なる理由とは?
配信日: 2023.03.16
実は県をまたいで新車の見積もりを取ると同じ仕様でも支払額が10万円変わることもあるのです。今回は県をまたぐと支払額が変わる理由などをご紹介します。
執筆者:宇野源一(うの げんいち)
AFP
なぜ県をまたぐと車の値段が変わる?
そもそもなぜ県をまたぐと新車の値段が変わるのでしょうか。2つの理由があります。
経営母体の違い
まず1つ目の理由は、自動車ディーラーは、実はメーカー直営ではなく、メーカーの看板を掲げるフランチャイズ形式を取っているからです。
イメージしやすいのがコンビニエンスストアでしょうか。コンビニは基本的に、全国どこでも同一商品を同価格で販売しています。しかし、フランチャイズなどであれば、オーナーによって特色がある場合もあります。
同じように、自動車ディーラーも基本的には県ごとに経営母体が異なります。経営母体が異なるということは経営方針も変わってきますから、車の値段が変わるという理由になります。
仕入れ値の違い
2つ目の理由は、メーカー直営ではない各ディーラーは、メーカーから車を仕入れて顧客に販売しているためです。
販売台数が多いディーラーなど、メーカーに対する貢献度が高いディーラーほど車の仕入れ値が安くなります。仕入れ値が安くなれば1台当たりの利益幅も大きくなりますが、裏を返せば値引き幅を大きくできる可能性があるのです。
実は整備費用も変わる
新車の値段はその場限りですが、車を維持するには日頃のメンテナンスが必要不可欠。実はメンテナンスにかかる費用もディーラーによって変わってくるのです。その理由を解説します。
変わるのは工賃
車の整備費用は「部品代+工賃」からなりますが、この工賃の部分は経営母体が変わると単価が変わってきます。一般的にディーラーの工賃の算出方法は「1時間当たりの単価×整備にかかった時間」で求められるのですが、時間単価についてはディーラーによってまちまち。高いところもあれば安いところもあるのです。
純正部品は変わらない
整備費用が変わるなら部品代は? と考える方も多いかと思います。メーカー純正部品については定価が定められていますので基本的にはどこで発注しても一緒です。ディーラー独自で数%の値引きが行われることもありますが、微々たるものと思っておいても問題ありません。
相見積もりを取る時の注意点
車を買う時、少しでも安くしたいのが人間の心理。ただし、気をつけなければならない点も多々あります。ここではそのポイントを紹介します。
経営母体を調べてから訪問する
基本的に県をまたげば経営母体が変わりますが、一部のディーラーは経営が同じということも十分にあり得ます。同じ経営母体のディーラー同士はデータの共有もしており見積金額も変わらないので、時間の無駄になります。事前に訪問予定のディーラーのホームページを確認して会社名と経営母体を確認することをお忘れなく。
「相見積もり」ということを明示して訪問する
購入にしろ整備にしろ、見積もりをお願いすれば、お店の従業員の時間を割くことになります。冷やかし目的で来た人だ、というのはなんとなくわかるものです。それであれば素直に「〇〇と比較をしています」と正面突破して1回の見積もりで決める覚悟で臨みましょう。
無理に相見積もりを取らない
県境に住んでいるならまだしも、移動に時間を費やしてまで他県のディーラーに行く意味はあまりありません。時間や交通費など移動コストがかさんでしまいます。
また、購入が他県ディーラー、整備が相見積もりを取った地元ディーラー、というのは、地元ディーラー側としては面白くありません。なにより「この人は面倒な客だ」と印象付ける決定的な一打となることも。対応の質が落ちるということはありませんが、内部で情報共有されることもありますので、要注意です。
ディーラーとは長く付き合うことになりますから、「人間関係」を構築することも忘れずにしましょう。
少しでも安くしたくても無理は禁物! 慎重に行動しよう
高額な買い物ではありますが、最終的には「人と人」の付き合いになります。
カー雑誌などでも県またぎの商談テクニックが紹介されることもありますが、やりすぎは禁物です。何事も一度相手側の立場になって考える、ということも大切でしょう。
執筆者:宇野源一
AFP