更新日: 2019.01.10 その他暮らし

政府が発表した骨太方針 「大学の無償化」はどうなるのか

執筆者 : 新美昌也

政府が発表した骨太方針 「大学の無償化」はどうなるのか
先日、骨太方針「経済財政運営と改革の基本方針2018(仮称)」原案が公表されました。
原案では、人づくり革命として。「幼児教育無償化」「高等教育の無償化」などが盛り込まれています。
 
この中、高等教育の無償化はどうなるのか、原案から抜粋してお伝えします。
 
高等教育の無償化は2020年度から実施される予定です。低所得世帯の子どもたちにこの情報が届き、早くから大学進学等を目指してほしいと思います。

新美昌也

Text:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

無償化の対象範囲

●授業料について

住民税非課税(年収270万円未満)世帯の子どもたちに対する授業料の減免措置は次の通りです。国立大学の場合は、その授業料(標準額535,800円)を免除し、公立大学の場合は、国立大学の授業料を上限として措置を図ります。
 
私立大学の場合は、国立大学の授業料に加え、私立大学の平均授業料と国立大学の授業料の差額の2分の1を加算した額までの対応を図ります。これにより、私立大学の授業料は最大約70万円減額されます。

 

●入学金について

国立大学の場合の入学金(282,000円)は免除。公立大学の場合は、国立大学の入学金を上限とした措置とします。
 
私立大学の場合は、私立大学の入学金の平均額約25万円を上限とした措置とします。

 

●短期大学、高等専門学校、専門学校については?

大学に準じます。つまり、国立大学の授業料に加え、私立の各学校種の平均授業料と国立大学の授業料差額の2分の1を加算した額までの対応を図ります。
 

●住民税非課税世帯に対する給付型奨学金について

学業に専念できるようにするため、学生生活を送るのに必要な生活費を賄えるような措置を講じます。
 
具体的には、日本学生支援機構 「平成24年度、26年度、28年度学生生活調査」の経費区分に従い、修学費(教科書・参考図書等のために支出した経費) 、課外活動費、通学費、食費(自宅外生に限って自宅生分を超える額を措置。)、住居・光熱費(自宅外生に限る。)、保健衛生費、通信費 を含むその他日常費、授業料以外の学校納付金(私立学校生に限る。)を計上、娯楽・ 嗜好費を除きます。
 
あわせて、大学、短期大学、高等専門学校、専門学校(以下「大学等」 という。)の受験料を計上する。なお、高等専門学校については、寮生が多く学生生活費の実態に他の学校種と乖離があるため、その実態に応じた額を措置します。
 
支給額は今後検討されます
 

●住民税非課税世帯に準ずる子供たちに対する給付型奨学金について

年収300万円未満の世帯(両親・親・中学生の家族の4人世帯)については住民税非課税世帯の子供たちに対する授業料減免及び給付型奨学金の3分の2、年収300万円から年収 380万円未満の世帯については3分の1の額の支援を行い、給付額の段差をなだらかにします。
 
在学中に学生の家計が急変した場合については、急変後の所得に基づき、支援対象者の要件を満たすかどうかを判定し、支援措置の対象とします。

 

支援対象者の要件

●大学等への進学前の段階における支援の要件

高等学校在学時の成績だけで否定的な判断をせず、レポートの提出や面談により本人の学習意欲を確認します。
 

●大学等に進学後の支援の要件

学習状況を毎年確認し、1年間に取得が必要な単位数の6割以下の単位数しか取得していないときやGPA(平均成績)等を用いた客観的指標により成績が下位4分の1に属するときは、当該学生に対して大学等から警告を行い、警告を連続で受けたとき、退学処分・停学処分等を受けたときは、支給を打ち切ります。
 
ただし、成績が下位4分の1に属するときに 警告を連続で受ける場合においても、斟酌すべきやむを得ない事情がある場合の特例について検討を行います。
 
なお、手続を経て休学する場合には、いったん休止した支援を復学の際に再開することができるようにします。

 

支援措置の対象となる大学等の要件

原案では、具体的に、以下の4つの要件が示されています。
 
・実務経験のある教員(フルタイム勤務ではない者を含む。)が卒業に必要な単位数 の1割以上の単位に係る授業科目を担当するものとして配置され、学生がそれらを履修できる環境が整っていること
(学問分野の特性等により、この要件を満たすことができないと大学等が判断する場合については、大学等においてその理由や今後の実践的教育の取組を説明しなければならない。)
 
・理事に産業界等の外部人材を複数任命していること
 
・授業計画(シラバス)の作成や評価の客観的指標を設定し、適正な成績管理を実施・
公表していること
 
・法令に則り、財務情報と教育活動(定員充足、進学・就職の状況)に係る情報を含む経営情報を開示し、多くの国民が知ることができるようホームページ等により一般公開していること。専門学校については、外部者が参画した学校評価の結果も経営情報の一環として開示していること
 
 
Text:新美 昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。

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