更新日: 2023.03.23 子育て

共働きの子育て世帯は高年収になるほど「損」!? 助成金がもらえなくなる境目はいくら?

共働きの子育て世帯は高年収になるほど「損」!? 助成金がもらえなくなる境目はいくら?
共働き世帯は年々増加傾向にあります。世帯の年収が上がり、可処分所得が増えることは喜ばしいことですが、その反面、税金や子育ての助成金などの面で“損”をしてしまうことがあることも事実。
 
本記事では、共働き世帯の平均年収と、助成金などが受けられなくなってしまう境目の年収はいくらかを解説していきます。
辻本剛士

執筆者:辻本剛士(つじもと つよし)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、宅地建物取引士、証券外務員2種

活動拠点は神戸。FP個別相談や、プロスポーツ選手の資産形成サポートも行っております。プロスポーツ選手に保険、資産運用、支出の見直しなど包括的なアドバイスや、帳簿などの面倒な記帳業務を代行し、本業に集中できる環境作りをサポートします。

https://kobe-okanesoudan.com/

共働きの平均年収は?

総務省統計局が公表した「2022年総務省 家計調査 家計収支編」の調査によると、共働き世帯の平均年収は約830万円でした。
 
年収830万円の世帯で、仮に手取りが年収の80%とすれば手取り額は664万円、月換算すると約55万円となります。月55万円であれば、ある程度余裕のある生活ができそうです。
 

共働き子育て世帯が“損”となる境目の年収とは

一般に、世帯年収は高ければ高いほど、経済的にゆとりがうまれて暮らしが安定します。ところが、年収が一定額を超えてしまうことで受け取れない助成金もあるのです。
 
ここからは助成金などが受けられなくなる年収を解説していきます。
 

1030万円を超えると高等学校等就学支援金制度が対象外に

受けられなく助成金の1つ目は「高等学校等就学支援金制度」で、共働き子育て世帯の年収が、目安として1030万円を超えると支給対象外になってしまいます。
 
「高等学校等就学支援金制度」とは、国立、公立、私立を問わず、高校(高専、専門学校等を含む)の教育費負担を軽減する目的で作られた制度です。高校に通う子どもがいる家庭に授業料の一部または全額が支給されます。
 
国公立の高校の場合は11万8800円(月額9900円)の支給になり、授業料は実質0円に。私立の場合は支給上限額である最大39万6000円(月額33000円)まで負担を軽減できます。
 
図表1が支給対象外になる目安年収です。共働き世帯・子1人の場合、国公立であれば年収が約1030万円を超えると支給対象外に、私立であれば約660万円を超えると満額支給から外れてしまいます。
 
仮に、共働き夫婦で世帯年収が830万円、子ども1人の場合で見ていきましょう。
 
国公立の高校の場合、支給対象の年収は1030万円以下です。年収830円の共働き世帯は支給対象に該当していますが、私立の場合は、支給対象の年収が660万円以下なので39万6000円の支給対象から外れて、11万8800円の支給になります。
 
【図表1】


 
文部科学省 高等学校等就学支援金制度 所得基準に相当する目安年収(例)
 

833万円を超えると児童手当が満額支給されなくなる

受けられなくなる助成金2つ目は「児童手当」です。年収が、目安である833万円を超えると満額支給されなくなります。
 
「児童手当」とは中学校卒業までの子どもがいる家庭に、生活の安定のために5000~1万5000円を毎月支給する制度です。1人あたりの支給月額は、3歳未満までは一律1万5000円、3歳以上小学校卒業までは1万円(第3子以降は1万5000円)、中学生は一律1万円となります。
 
所得制限を超える年収の場合は、制限がかかり支給額は一律5000円になり、さらに所得上限を超える年収の場合は児童手当が支給されません。なお、児童手当における収入は、世帯収入ではなく、夫婦どちらか高い方の年収を基準とします。
 
【図表2】


 
内閣府 児童手当制度のご案内
 
図表2の通り、扶養親族等の人数と配偶者の収入額によっては、児童手当が減額されたり、支給が停止したりします。
 
例えば、夫婦どちらか高いほうの年収が900万円で扶養親族の数が0人の場合で見ていくと、所得制限限度額(833.3万円)を超えてしまっているため、満額だと1万5000円のところ、一律5000円の支給になってしまいます。もし、年収が1200万円で扶養親族の数が0人の場合だと、所得上限限度額(1071万円)を超えてしまうので、児童手当は支給されなくなります。
 

高収入の世帯ほど税金を意識した取り組みをしていきましょう


 
ここまで共働きの平均年収と、年収が高くなった場合に受けられない制度や、子育て関連の助成金の減額・支給停止について解説してきました。年収が高いという理由で、制度や助成金の対象から外れてしまい、“損”をしていると不満を感じる人もいるかもしれません。
 
しかし、デメリットばかりではありません。年収の高い世帯は、多くの所得税や住民税を支払っています。「ふるさと納税」や「住宅ローン控除」「iDeCo」などの制度をうまく活用すれば、「児童手当」や「高等学校等就学支援金制度」分ほどの税金が還付されることもあります。
 
多くの税金を支払っている高所得者の特徴を活かし、税金の還付を受けるなどして対策していきましょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査 家計収支編2022年 二人以上の世帯
文部科学省 高等学校等就学支援金制度 所得基準に相当する目安年収(例)
内閣府 児童手当制度のご案内
 
執筆者:辻本剛士
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、宅地建物取引士、証券外務員2種

【PR】子どもの教育費はいくらかかるの?かんたん30秒でシミュレーション

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集