更新日: 2019.05.17 子育て

薬科大学となると学費は1200万円!? 薬剤師になるためのお金とサポート制度

薬科大学となると学費は1200万円!? 薬剤師になるためのお金とサポート制度
薬剤師さんと言えば、病院や薬局で薬を処方したり、私たちが安全に薬を使用できるよう指導してくれる頼もしい存在です。
 
全国どこでも安定して募集があり、働き方もフルタイムやパートタイムなど融通が利くことなどから、女性の仕事としても人気があります。
 
知人の高校生のお嬢さんも、そんな薬剤師さんに憧れて薬科大学への進学を希望しています。
 
ただ親御さんは、国立ならともかく、私立の薬科大学となると学費が1200万円程もかかることがあると聞いて顔を曇らせています。
 
「私立大に入ったら奨学金を検討するつもりだけれど、最近は奨学金が払えなくて困っている人も多いと聞くので不安です」とのこと。
 
そこで、薬剤師さんには奨学金の返済をサポートする制度があるということをお話ししました。以下、詳しくご紹介していきたいと思います。
 
藤丸史果

Text:藤丸史果(ふじまる あやか)

ファイナンシャルプランナー

相続、投資信託など、身近なファイナンスを中心に活動している。

私立の薬学部、薬科大学の学費

薬学部、薬科大学は2006年度に4年制から6年制に移行され、従来より二年分の学費が多く必要となりました。
 
また、ある東北地方の私立大学薬学部の平成30年度の初年度納入額を同学ホームページで確認すると217万5000円で、同様に、ある首都圏の私立薬科大学では234万円でした。
 
平成30年の国立大学の初年度納入金が81万7800円ですので、実に二倍以上ものお金が必要ということになります。
 
私立大学のなかにはさらに学費が必要なところもありますし、授業料に含まれない費用もあるので、実際の必要納入額はより高額になるところもあります。
 
薬学部に限らず、最近は「奨学金破産」という言葉もある通り、社会人になってから奨学金が払えずに困っている人が多くいます。
 
給付型の奨学金もありますが、大半の学生が利用するのは貸与型です。他のローンに比べれば利息などは好条件ですが、本人の負担は決して軽くはありません。
 
特に薬学部、薬科大学の場合は借入金額も大きくなりやすく、就職後の待遇が良いと言われる薬剤師であっても、返済に苦労する人が多いことは想像に難くないでしょう。
 

知らない人も多い?奨学金返済のサポートがある職場

人材の確保を目的に、薬学部生への奨学金給付や、若手薬剤師の奨学金返済支援に取り組む病院や企業が増えています。
 
そういった事業所では、本人が奨学金を返済するためのサポートとして、給与とは別に奨学金返済の補助をする場合があります。他の医療系の職業にも類似した制度があるようです。
 
定められた期間、当該事業所で働いてもらうことを条件に、奨学金を返すためのお金をあげましょうというシステムですが、事業所によりいくつかパターンがあります。
 

パターン1 薬学部5年次以上の学生へ奨学金を支給

薬学部生に奨学金を貸与し、卒業後に一定期間働くことで返済が免除される仕組みです。4年次生からを対象としている企業もありますが、5年次生からを対象にしていることが多いようです。
 

パターン2 奨学金返済額を給与に上乗せ支援

奨学金の返済額など一定額を毎月の給与に上乗せして支給される仕組みです。
 

パターン3 破格の待遇を一定期間保証

指定地域の店舗で働くことで「年収800万円を最長6年間支給する」など、破格の待遇を保証する企業もあるようです。これにより奨学金の繰り上げ返済も可能になるでしょう。
 
これらの情報は、薬局などの企業や病院のホームページ、大学のホームページで奨学金サポートを行っている企業名などを掲載していることもあるので、確認してみましょう。
 
ある私立薬科大学では、「返還免除制度のある奨学金」という名目で、ホームページ上で全国の病院や薬局の募集を掲載していました。
 
この大学は東北地方にある薬科大学のため、北海道、東北地方の募集が特に多く、平成28年7月時点の情報で、北海道が8病院、各県につき1~10カ所程度の病院、薬局の募集を載せており、中には月額20万円、年額250万円のサポートを受けられる事業所もありました。
 
奨学金の利用を検討する場合、希望の大学について、入学前あるいは在学中にこういった情報を確認しておきましょう。卒業後の進路を思い描きながら、奨学金返済の計画をある程度立ててみると良いと思います。
 
なお、薬剤師不足が解消されると、コスト負担の大きい奨学金の返済支援制度を廃止する企業は増えてくると考えられます。いつまでも続く保証はないということには注意が必要です。
 
奨学金の返済支援の動きが広がりつつある今こそ、有利な条件でサポートを受けられる絶好の時期とも言えるでしょう。
 
貸与型の奨学金を検討している方は、積極的に情報を集め、早めに返済の対策を講じておくことが大切だと思います。
 
Text:藤丸 史果(ふじまる あやか)
ファイナンシャルプランナー

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