更新日: 2023.04.25 その他暮らし

「手取り15万」で奨学金を返せない!「減額」や「免除」は可能?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

「手取り15万」で奨学金を返せない!「減額」や「免除」は可能?
進学の際に、奨学金を利用する学生は少なくありません。返還の必要のない給付奨学金ではなく、返還の必要のある貸与奨学金を利用した場合は、卒業後に奨学金を返還していくことになります。それでは、奨学金を返せなくなってしまった場合は減額や免除は可能なのでしょうか?
 
本記事では、日本学生支援機構の奨学金を返せなくなった場合に、奨学金の返還を減額や免除が可能なのかについて解説します。
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奨学金の返済額の平均は月に1万5000円

中央労働福祉協議会の「奨学金や教育費負担に関するアンケート報告書」で、奨学金の借入総額や毎月の返済額の平均が公表されています。
 
同アンケートによると、奨学金の借入総額の平均は310万円です。毎月の返済額の平均は1万5000円となっています。つまり、毎月1万5000円が支出に加わるということです。年間では、18万円の負担となります。
 
また、返済期間は平均で14.5年です。返済の必要な貸与奨学金を利用する場合は、毎月1万5000円の負担が平均で14.5年続く、ということを覚えておきましょう。
 

単身世帯の支出は約16万円!

総務省統計局の「家計調査(家計収支編)」によると、2022年の単身世帯の消費支出は年間で194万1038円となっています。月に換算すると約16万円です。卒業後、就職したとしても、ほとんどの人の収入はそれほど多くないでしょう。
 
生活するために16万円ほどかかり、さらに奨学金を1万5000円返還しなければいけないと考えると、生活は厳しいものになってしまいます。そのため、手取りが15万円だと節約に努めても奨学金の返還はさらに難しくなると思われます。
 

奨学金の返還が難しい場合の手段

奨学金の返還が難しい場合の手段としては、「減額返還制度を利用すること」、「返還期限を猶予してもらうこと」の2つが挙げられます。
 

減額返還制度を利用する

減額返還制度は、毎月の返還額を減額する制度です。一定期間毎月の返還額を減額し、減額した期間に応じて返還期間を延ばします。
 
例えば、返還額が1万5000円だったところを36ヶ月間1万円に減額する、ということが可能です。この場合、返還総額を変えることはできないので、返還期間は延びてしまいます。返還額を減額することができるのは、最長で180ヶ月です。
 
この制度は、一定の要件を満たすと利用できます。その要件は、「月額返還であること」、「口座振替(リレー口座)加入者であること」、「届出時点で返還に延滞がないこと」、「災害や傷病、経済的理由などで奨学金の返還が難しい」の4つです。
 
経済的理由の基準は、給与所得者は年間収入金額が325万円以下、給与所得以外の所得がある場合は年間所得金額が225万円以下、となっています。
 

返還期限を猶予してもらう

返還期限を猶予してもらうことも可能です。災害、傷病、経済困難、失業などが原因で奨学金の返還が困難な場合に手続きができます。返還期限の猶予は最長で120ヶ月です。
 
経済的に困難な場合の基準は、給与所得者の場合は年間収入金額が300万円以下、給与所得以外の所得がある場合は年間所得金額が200万円以下、となっています。
 

場合によっては奨学金の免除も

本記事では、奨学金を返せなくなった場合に、奨学金の返還を減額や免除が可能なのかについて解説してきました。奨学金は学生生活を送る中で、経済的なサポートとなる制度ですが、卒業後の負担も大きいです。そのため、返還が難しい場合は減額制度や返還期限の猶予制度も検討してください。
 
死亡、精神や身体の障害によって労働ができないなどの理由で返還が難しい場合は、奨学金の返還免除の要件に当てはまりますが、まずは「返還を待ってもらえる」「月々の返還を少なくできる」という制度があると覚えておきましょう。
 

出典

中央労働福祉協議会 奨学金や教育費負担に関するアンケート報告書
総務省統計局 家計調査(家計収支編) 時系列データ(総世帯・単身世帯)
独立行政法人日本学生支援機構 減額返還制度の概要
独立行政法人日本学生支援機構 返還を待ってもらう(返還期限猶予)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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