奨学金は「借りる」より「返す」方が大変!? 奨学金の最高額を借りたとして、返済に何年かかりそう?
配信日: 2023.04.30
そこで、奨学金の返済について知るため最高額を借りた場合返済に何年かかるのかシミュレーションしてみます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
◆お問い合わせはこちら
https://www.secure-cloud.jp/sf/1611279407LKVRaLQD/
2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
奨学金は基本的に返済が必要
奨学金を借りる際は基本的に卒業後返済していくことが必要だという事実を肝に銘じておかなければなりません。奨学金には貸与型と給付型とがあります。
貸与型は、卒業後返還が必要で、給付型は返済が不要な奨学金です。給付型は学力や家計の要件が貸与型に比べて厳しめになり、貸与型に比べて利用できる方の範囲が限定されています。そのため大多数の方は貸与型で返済を前提に考えて利用することになるでしょう。
奨学金を4年間上限額である月12万円借りると返済には20年かかる
今最もオーソドックスともいえる奨学金は日本学生支援機構の奨学金になります。貸与額は有利子となる第二種奨学金なら最大で月額12万円となります。
その場合年間で144万円、4年間では576万円もの金額になります。
返済には通常20年かかり、利率によって毎月2万5282円から3万2297円ずつ返済していくことになります。576万円といえば非常に大きな金額です。車を買ったり住宅ローンの頭金に用いたりなど人生のライフイベントに対応できる額のお金です。
順調に就職し、キャリアアップを重ねていくことができれば返済が難しい額ではないのですが、返済が長期間にわたるのも事実です。繰り上げ返済をすることもできますが、それでも大きな額の返済を行うことには変わりありません。
最も少ない月3万円の貸与を受けた場合でも4年間の貸与総額は144万円と、決して小さな金額ではありません。返済期間は13年で、利率によって毎月9557円から1万1293円の返済となります。
なお、無利子に当たる第一種奨学金の場合は最大で月額6万4000円を借り受けることができ、4年間での貸与総額は307万2000円となります。返済期間は18年で、毎月1万4222円の返済を続けることになります。
このように、奨学金を借りる際は卒業後に13年や20年といった長期間、毎月1万円から場合によっては3万円を超える金額の返済が続くことを想定してください。
借りる時は所定の手続きだけで済み、返すときの大変さはなかなかイメージが付きづらいものです。奨学金は借りるよりも返す方が大変だと知っておいてください。
奨学金は利用しない方がいいの?
返済が大変とはいえ、奨学金を利用して進学し、その先で得られる経験はかけがえのないものです。また、それによって就職の選択肢が広がれば、結果的に借りた奨学金以上に生涯年収を増やすことができ金銭面でもプラスにすることができます。
奨学金は借りる際にしっかり返済についてまで考えることができれば、学生の可能性を広げることができるものになります。奨学金は利用しない方がいいと考えるのではなく、返済についても意識した上で利用するべきものと考えてください。
奨学金は上限額まで借りると返済に20年かかる。借入時にはしっかりとした返済計画を立てるべき。
日本学生支援機構の奨学金は上限額である12万円を4年間借り、それを通常どおり返済すると完済までに20年かかります。
それゆえ返済についてしっかりイメージしないまま安易に借りてしまい返済に苦しむということもあるようです。奨学金を利用する際は必ず毎月の返済額について確認し、将来の返済も考えたうえでの利用とするべきでしょう。
執筆者:柘植輝
行政書士