【元銀行員が語る!】「お年玉」にも要注意!? 実は「銀行員泣かせ」な行為4選
配信日: 2023.05.15
静かなイメージの銀行ですが、不測の事態で頭を悩ませたり、来店者を待たせないために人海戦術が行われていたりと、実はカウンターの向こうでは銀行職員が忙しく作業をしています。
本記事では、元銀行員の筆者が、実際にあったカウンターの向こうで職員が少し焦ってしまう「実は銀行員泣かせ」の行為について紹介します。
執筆者:渡辺あい(わたなべ あい)
ファイナンシャルプランナー2級
長年の貯金を「あるだけ入金」
「あるだけ入金」とは、小銭貯金のような大量の硬貨を入金することです。「あるだけ入金」自体は、硬貨専用の機械に入れて数えるので、窓口が混んでいなければ5~10分で終わる簡単な作業です。
しかし、小銭貯金の中には硬貨の状態が悪く、変形して、ひどいさびがついているものがあります。そのような硬貨は機械の故障につながるため、複数の職員が目視で硬貨を選別して手で数えなければいけません。
また、硬貨の変形・汚れが著しくひどい状態の場合は、日本銀行に「損貨」として鑑定依頼を出すため、入金まで数日かかります。「損貨」とは、市場に流通が難しいほど汚れた、あるいは傷がついた硬貨のことをいいます。可能な限り、汚れている硬貨は分けて持ち込むといいでしょう。
毎年の風物詩「お年玉」
お年玉はポチ袋に入れるため紙幣を細かく折りたたんでいることがほとんどです。しっかりと折り目がついている紙幣は機械に通りにくいことが多く、それが複数枚となるとさらに通りにくくなります。
また、細かく折り目がついた紙幣は好まない人が多いので、窓口やATMに出せないこともあります。このような紙幣は、汚れた紙幣として、まとめて銀行の本部で両替がされることが一般的です。お年玉は折り畳まずに入れられる、大きめのポチ袋を使ってほしいというのが銀行員の隠れた本音です。
それで書かないで!「消えるペン」
来店者の中には、書きやすいからと自前のペンで書類に記入する人もいます。通常のペンであれば基本的には問題ないのですが、中には「消えるペン」で記入する人がいます。
消えるペンで記入すると、あとで他者による修正が可能となってしまうほか、時間の経過でインクが劣化して字が消えてしまうこともあります。そのため銀行では消えるペンは一切使うことができません。消えるペンで書いてしまうと、その書類は破棄して、記入し直しになってしまいます。使うペンには気をつけましょう。
お年寄りによく言われる「手が震えるから代わりに書いて」
窓口で「手が震えて、字がうまく書けないから代わりに書いてくれない?」と言われることがあります。しかし銀行では、職員による代筆はできません。銀行では顧客の財産に関わる重要な書類を多く扱っています。そのため、本人が直筆することによって「本人の意思」とみなされ、取引できます。
もし職員が代筆すると、職員による不正行為となって処分されてしまうこともあります。名前、日時、金額、住所といった重要項目は、少々読みにくくても大丈夫なので、必ず来店した本人が記載するようにしましょう。
銀行での快適な利用を
銀行員泣かせの行為は、単に銀行員が手間取るだけのものではありません。硬貨を手で選別して数えたり、銀行のペンで書類の書き直しをお願いしたり、銀行の決まりを伝えたりすることは、来店者の待ち時間を増やすことにつながります。
あまりにも状態が悪い小銭は、分けて持ち込むなどのちょっとした配慮を行い、使用するペンなどのルールを守ることで、自身や他の来店者も待ち時間が減り、快適な利用につながります。
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級