高校生等奨学給付金の申請漏れ2万人以上… でも奨学給付金ってなに?わが家も対象?
配信日: 2018.07.21 更新日: 2019.05.17
奨学給付金とは何か、解説します。該当する人は忘れずに申請しましょう。
Text:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/
高校の学習費総額の目安は?
文部科学省「平成28年度子供の学習費調査」によると、保護者が支出した1年間・子供1人当たりの学習費総額は、公立高等学校(全日制)で45万862円、私立高等学校(全日制)で104万168円となっています。
高等学校の学習費総額は、学校教育費と学校外活動費の合計です。学校教育費は、授業料、修学旅行・遠足・見学費、PTA会費、そのほかの学校納付金、学用品・実験実習材料費、クラブ活動費、通学費などです。学校外活動費は学習塾や習い事などの費用です。
公立高等学校(全日制)の学習費総額45万862円の内訳は、学校教育費27万5991円、学校外活動費は17万4871円となっています。私立高等学校(全日制)の学習費総額104万168円の内訳は、学校教育費75万5101円、学校外活動費28万5067円です。
このうち、学校教育費に関しては、国や都道府県による支援があります。授業料の支援が高等学校等就学支援金(対象:年収目安910万円未満)、授業料以外の通学用品や修学旅行費などの支援が高校生等奨学給付金(対象:生活保護世帯・非課税世帯)です。
高校生等奨学給付金とは?
授業料以外の教育費を支援する給付型の制度で、返済は不要です。生活保護世帯・住民税非課税世帯(年収約250万円未満)の高等学校、中等教育学校(後期課程)、高等専門学校(1~3年)、専修学校(高等課程)などの生徒が対象です。
給付額は学校種、世帯状況により変わります。国公立高校では、1年間で3万2300円~12万9700円、私立高校では、1年間で5万2600円~13万8000円がもらえます。
申し込みは保護者が住んでいる都道府県で行います。毎年7月頃に手続きが必要となります。高校等入学後、学校や都道府県から案内があると思いますが、案内がなければ、学校やお住いの都道府県に問い合わせてください。
問い合わせ先は、文部科学省のホームページにある「高校生等奨学給付金のお問い合わせ一覧」を参考にしてください。
授業料を支援する高等学校等就学支援金を申請しても、対象者であるにもかかわらず、高校生等奨学給付金を申請しないケースもあるようです。対象者は両方それぞれ申請します。
申請をしなければ高校生等奨学給付金を受給できませんので注意しましょう。
都道府県独自の支援制度
高等学校等就学支援金(国)、高校生等奨学給付金(都道府県)以外にも、都道府県独自の教育費支援策がありますので、都道府県のホームページや教育委員会のホームページなどで調べてみましょう。
私立高等学校の授業料に対して、都道府県では独自の授業料の助成をしています。
東京都では、低所得世帯を対象に、都立高校などの生徒が学校の選択的教育活動に参加するために必要な経費(勉強合宿費、模擬試験授業料、英語検定費など)を東京都が保護者に代わり一定額まで支払う制度や、大学等受験のための学習塾代や受験料を一定額まで無利子で貸し付ける制度(入学すれば返済免除)などがあります。
Text:新美 昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。