更新日: 2019.01.10 その他暮らし
東京で続々増える一人暮らし世帯。需要増でも、ワンルームマンションの開発が規制されるのはなぜ?
また、東京都の転入超過数を年齢別で見てみると、20歳から24歳のプラス5万3312人を筆頭に、25歳~29歳のプラス1万8228人、15歳から19歳のプラス1万6054人と、若者の転入超過が顕著であることが分かります。
つまり、学生や若手ビジネスパーソンなどの「単身者」が中心ということです。また、東京に転勤となり、単身赴任している方も一部含まれているものと思われます。
Text:高橋庸夫(たかはし つねお)
ファイナンシャル・プランナー
住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。
将来にわたって安定する東京の賃貸需要
東京の転入超過を支える若者=単身者の多くは、賃貸のワンルームマンションに居住します。それに伴い、東京の総世帯数に占める単身世帯の比率も、年々増加してきています。
さらに、外国人の増加、晩婚化や未婚化、高齢化などもそれを後押ししています。このような社会環境は短期間で大きく変化することはなく、東京や都市部を中心として、ますます単身世帯が増えていく傾向にあるものと考えられます。
これらの若者は、住宅ローン金利が超低水準となっている現在においても、自分一人が住むためのワンルームマンションをわざわざ購入することはほとんどありません。
そのため、東京では将来にわたって、安定したワンルームマンションの賃貸需要があると予測されています。
相反するワンルーム開発規制の強化
前述の通り、東京の単身者人口は年々増えており、ワンルームマンションの需要も増加しています。
それに相反して、東京では行政によるワンルームマンションの開発を規制する条例や指導要領が次々と制定されています。これから、さらに規制が強化される方向です。
現在では、東京23区すべての自治体に条例や指導要領が存在します。その規制の内容は、主にマンション一戸の最低面積の引き上げとファミリータイプ住戸の設置義務となっています。
例えば、渋谷区は2013年からマンション一戸の最低面積を18㎡から28㎡へと大幅に引き上げています。また、中央区では、10戸以上のマンションを対象に、一戸の最低面積は25㎡以上とし、40㎡以上の住戸の合計床面積を全体の3分の1以上とすることが定められています。
つまり、新築マンションを建設する場合には、一定割合以上のファミリー住戸の設置が義務付けられているということです。
このようなワンルームマンションの需要の増加に相反する供給の規制によって、需要に供給が追いつかない状況が生まれつつあります。今後はさらに、東京都内で優良な中古ワンルームマンションが激減してくることも考えられます。
ワンルームマンション規制の背景には、地方自治体の大事な収入源となる「住民税の増収」が目的にあるといわれています。
地方自治体においては、それぞれの限られた土地を利用して、効果的な都市開発を行い、効率的に税収入を上げていく必要があります。
そこで、住民税を多く負担しない学生や所得の低い若いビジネスパーソンなどを排除し、ファミリー世帯や法人を誘致する方向へとシフトしていると考えられます。
まとめ
東京では、単身者の増加による旺盛な賃貸需要により、平均賃貸料についても堅調に推移しているようです。
最近、ファイナンシャルプランナーとしての個別相談で、不動産投資についてご相談を受けるケースが多くなりました。相変わらず、電話、メール、DM、セミナーなどあらゆるツールによる不動産投資に関する営業を受けている方も少なくないと思います。
私は個人的に、ワンルームマンション投資を実践しているため、その体験談を含め、物件や業者選定に関するアドバイスをする機会もあります。
不動産投資は正しい知識と的確な物件選定ができれば、ローリスクでミドルリターンの比較的安定した投資方法であるといわれています。
その際のひとつの指標として、今後も継続した賃貸需要が見込まれる「東京都内の優良な中古ワンルームマンション」は有効な投資先となり得るのかもしれません。
Text:高橋 庸夫(たかはし つねお)
ファイナンシャル・プランナー,住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士