更新日: 2019.01.10 その他暮らし
教師による学校での行き過ぎた指導は法律的に問題ないのか?
しかし、保護者の目線、学生の目線で「この指導はおかしくない?」というようなことは、あるのではないでしょうか。「体罰」とまでいかなくても、精神的にダメージを負うような…そのような指導は、法律的に問題ないのでしょうか。
2児の母であるUさんが、学校に対して「行き過ぎた指導なのでは」と感じたことを弁護士の先生に相談しました。その内容をみてみましょう。
Text:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
弁護士
中央大学法科大学院卒業後、弁護士登録。原子力損害賠償紛争解決センターでの勤務経験を持つ。「幸せになるお手伝いをする」をモットーに日々邁進中。お客様のご相談を受けるに際し、「共感力」を大切にしています。
目次
主婦のUさん「子供の学校の指導が行き過ぎている」。長男はスマホを一週間没収された
主婦のUさんは2児の母です。最近、子供の学校の指導が行き過ぎているのではないかと感じることが2つありました。
1つ目は、高校1年生の長男のこと。
長男の通う高校は、携帯電話の持ち込みを禁止しています。しかし、実際はこっそり持ち込んでいる生徒が多く、休み時間や放課後はみんなスマホをいじっているそうです。
長男がポケットにスマホを入れていると、担任の先生に気づかれ没収されました。担任の先生は、「罰として1週間は返さない」と言っています。
「校則だからしょうがないね」とUさんは長男に言いました。しかし、一週間没収はさすがに長いんじゃないかと、少し疑問に思っています。当然、校則違反であることは分かっています。ただ、今の学生にとって、スマホは友人とコミュニケーションをとるために欠かせないツールです。スマホの中には個人情報も入っているので、少し心配です。
小学生の長女は嫌いなカレーライスを無理やり完食させられトラウマに
2つ目は、小学3年生の長女のことです。長女はカレーライスが苦手で、昔から食べることができません。以前、無理やり食べた時は戻してしまいました。
長女のクラスの担任はとても厳しく、給食を全部食べるまでは休み時間をとってはいけないと言います。その日の給食はカレーライスでした。長女は事情を説明して、ご飯とサラダ、福神漬けのみを食べると言いました。しかし、担任の先生に聞き入れてもらえず、みんなが食べ終わって校庭へ遊びに行った後も、1人教室に取り残されました。
長女は半分泣きながら、昼休みの時間を全部使ってカレーを完食しました。長女はその日のことがトラウマで、給食がカレーの日には学校に行きたくないと訴えます。
アレルギーなどではありませんが、ひどく苦手なメニューを無理やり食べさせることは問題ないのでしょうか。
*物語はフィクションです
学校での行き過ぎた指導は法律的に問題ないのか、東京桜橋法律事務所の石垣美帆弁護士にお伺いしました。
今回の相談内容において、長男のケースも長女のケースも教師の指導は罪にあたりません。
教師からいじめられている、裏で殴られているなど、相当悪質なケースでない限り、犯罪行為にはならないと思われます。
まず、スマホ没収の例ですが、そもそも学生側の規則違反が原因となっています。そのため、教師がよほど過剰な行動をとらない限り、刑法で罪になることはありません。
給食の例では、無理やり食べさせたことで学校に行けなくなった。体を壊してしまった。などであれば、損害賠償になることはあります。治療費や慰謝料をもらえる可能性もあるでしょう。
相当悪質でない限り「厳しい指導」は罪にならない
よほど悪質なケースでない限り、教師の厳しい指導は犯罪行為にならないことが分かりました。
規則違反はあくまで違反した方に原因があるとされるので、気を付けなければいけませんね。ただし、長女の例のように、強制的な指導で精神的にダメージを受けたり、体を壊したりした場合には、損害賠償になる可能性もあるようです。
子供が学校生活に支障をきたすほどにダメージを受けてしまった、親として見過ごせない、という場合は、学校に相談してみましょう。それでも解決しない、納得がいかないという時は、弁護士に相談してみるのもひとつの手です。
法律的に問題がないとしても、あまりに行き過ぎた指導は、生徒にも周りにも良い影響を与えません。しかし、指導の原因が規則違反や素行不良などにある場合は、保護者が子供としっかり話し合うことも必要ですね。
Text:FINANCIAL FIELD編集部
監修:石垣 美帆(いしがき みほ)
弁護士
中央大学法科大学院卒業後、弁護士登録。原子力損害賠償紛争解決センターでの勤務経験を持つ。「幸せになるお手伝いをする」をモットーに日々邁進中。お客様のご相談を受けるに際し、「共感力」を大切にしています。