更新日: 2019.01.10 その他暮らし
社会人の新ステータス!?ゴルフ会員権を購入するメリット・デメリット
スポーツ部門ではウォーキング3010万人、体操(器具を使わないもの)2320万人、ジョギング・マラソン2020万人がベスト20入りしました。
Text:上野慎一(うえのしんいち)
AFP認定者,宅地建物取引士
不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。
ゴルフを楽しむ人は、どれくらいいるの?
この参加人口、ゴルフは550万人(年に1回以上プレーしたことのある人)で、前年に比べて210万人・約28パーセントの大幅減少でした。ピーク時の三分の一の水準で、年代別に見ると60歳代以上が過半数を占めるという結果です。
一方、一般社団法人日本ゴルフ場経営者協会の速報値(2018年3月公表)によれば2017年のゴルフ場来場者は約8655万人で前年比約0.2パーセントの微減にとどまりましたが、ゴルフ人口自体が高齢者層を中心に支えられている現状からして将来に向けての減退感は否定できません。同協会の公表値ではゴルフ場数も2002年の2460をピークに減少傾向で、2017年12月末は2272でした。
運営する側の苦境ぶり
このように減少を続けるパイ(=利用者)を取り合う構図の中で、ゴルフ場運営者の苦境ぶりが推察されます。
最近では、首都圏でも平日であれば(よほど高名なところは除いて)メンバー制のゴルフ場でもセルフ(電動カート利用など)で1万円を切った水準でプレーできるところが多数あり、少し遠隔地であれば5000円前後のゴルフ場さえ見つけられるようなありさまです。
こうした供給過剰状況のため、広大で日当たりの良い立地特性を生かして太陽光発電施設に転用する事例も増えています。
ゴルフ場そのものを廃業して全面転換したり、例えば27ホールのうち9ホールを模様替えするなど、全国で約180ものゴルフ場が転用されているとの話も耳にしました。
利用する側から見てみると・・・
来場者減や利用層の高齢化は先ほどのとおりですが、ゴルフ場のほかに例えば公営ギャンブルや書店などでも同様の傾向が指摘されています。
若年層を中心として生活の質素化が進んでいます。パソコン・スマホによって簡単にできるゲーム体験、現地往訪や書面ではなくネットを介して物ごとを済ませる省時間化など、まさに世相の変化が反映されているように思います。
また、今や中心利用層の高齢者も、リタイアした後は時間的余裕が増える一方で、ゴルフに割り当てる予算や回数に関する制約は現役時代より多くなることでしょう。
ゴルフ会員権の相場も、かつては株価との連動性が高い経済指標などといわれました。しかし、第二次安倍政権発足(2012年12月26日)から株価は約2倍の大幅上昇となる一方で、ゴルフ会員権は低迷が引き続いている状況です。
ゴルフ会員権を購入するメリットとデメリットから考えられること
そんな中でもゴルフ会員権を購入する人もそれなりにいるようです。リタイア後のセカンドライフを見据えてなどの動機でしょうか。
ゴルフ会員権を購入してゴルフ場のメンバーとなるメリットは、次のようなものが挙げられます。
(1) 一般客(ビジター)よりも格安でプレーでき、予約も優遇される。ゴルフ場によってはメンバーかメンバー同伴でなければプレーできないなど、メンバーのステイタスが高い
(2) 同じゴルフ場で一緒に、あるいはそれぞれ別々のゴルフ場のメンバーとなって、既存のゴルフ友達との定例的な交流の機会や場所を確保できる。
(3) 一人で出掛けてもほかのメンバーと一緒にプレーできる場合があったり競技会に参加できるなど、新たな交流や人脈形成も期待できる。
もちろんメリットに対しては、次のようなデメリットも考えられます。
(1)会員権や預託金(一部ゴルフ場)の固定費用に加えて名義変更料、取引手数料などの初期費用が必要で、両費用の負担はゴルフ場によって千差万別だが数十万円台から数百万円台、場合によっては1,000万円超と多額になる。またランニング費用の年会費(最低でも数万円台)も必要。
(2)会員権の価格は変動するため下落のリスクがある。(仮にゴルフ場が経営破綻すれば無価値となってしまうリスクも)
(3)所属するゴルフ場における優先権やステイタスがある一方、そのゴルフ場以外でいろいろとプレーする機会はどうしても減りがち。
(4)プレーする回数が少ないとビジターで都度プレーした方が安上がりといった結果にもなりかねない。
ゴルフ会員権の購入検討に際して、1カ月の想定プレー回数(土日祝ベース)をもとに【(ビジターとメンバーのプレーフィーの差額の累計額)-(初期費用と年会費の累計額)】との計算式で、メンバーとしてのメリットが生じる(累計額が〝黒字転換〟する)時期を指標にする考え方があります。
かなり低額帯(会員権相場12.5万円、名義変更料30万円<税別>)で栃木県のゴルフ場を例に試算したところ、黒字転換時期は月1回プレーで[2年3カ月=プレー27回目]、月2回で[1年=プレー24回目]でした。
ある程度高額帯(会員権相場390万円、名義変更料170万円<税別>)で神奈川県のゴルフ場では、黒字転換時期は月1回プレーで[7年7カ月=プレー91回目]、月2回で[3年6カ月=プレー84回目]でした。
いずれの試算も、ビジターとメンバーのプレーフィーの差額が大きい土日祝プレーを前提にしたものです。
例えばリタイアした後のセカンドライフで、プレーの中心が、ゴルフ場が空いている平日だとすると、黒字転換の時期はずっと先になってしまいます。
メンバーになること自体の満足感やステータスは、必ずしも損得勘定だけでは評価できないでしょう。
しかし、もし毎週(特に土日祝に)出掛けるようなゴルフ中心の生活スタイルがずっと続くわけではないとすれば、ビジターの立場でいろいろなゴルフ場に、都度出掛けるような選択肢も悪くはないと思われます。
Text:上野 慎一(うえのしんいち)
AFP認定者,宅地建物取引士,不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー