家の状態を維持するにはメンテナンスが必須! 補助制度はどんなものがある?

配信日: 2023.06.19

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家の状態を維持するにはメンテナンスが必須! 補助制度はどんなものがある?
持ち家を所有している人は家の状態を維持するために、定期的なメンテナンスが必要です。しかし、年数が経過するほど簡単なメンテナンスだけでは家の状態を維持できなくなり、ある程度お金をかけてリフォームをする必要が生じます。そのようなとき、公的な制度を活用すると、リフォーム時の経済的な負担を軽減できる場合があります。
 
そこで、本記事では国や自治体の自宅のリフォームに関する補助制度について解説します。持ち家を所有している方は参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

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リフォームとは

建物を維持するために必要な修繕や改修をメンテナンスやリフォーム、リノベーションなどとよんでいます。日本において建物の改修に関わる言葉は、一般的に以下の意味で使われています。
 

・メンテナンス:屋根や外壁の塗装など、比較的短期のサイクルで行われる補修のこと
・リフォーム:増改築ともよばれ、部屋の分割や増築など比較的大がかりな改修
・リノベーション:家の性能を高めることで、断熱工事などをいう

 
ただし、上記の区別は明確に定義されてはいないため、同じ工事でもリフォームとよんだり、リノベーションとよんだりすることもあります。
 
なお、国や自治体の補助制度ではリフォームと表現していますので、本記事でも同様に表記します。

 

リフォーム費用の相場や平均

リフォーム費用は一律に決められているわけではなく、さまざまな要素によって大きく違います。リフォーム費用に影響がある要素としては、以下が考えられます。
 

・建物の築年数
・リフォームの部位
・一戸建てとマンション
・建物構造(木造・鉄筋コンクリート)

 
上記以外にどのくらいの規模で行うかによっても違うため、リフォームを行う場所(例えば風呂場、台所など)別の相場を、図表1にまとめたので参考にしてください。
 
【図表1】

リフォームの部位 リフォーム費用の相場
キッチン 50~200万円
お風呂 50~150万円
トイレ 10~50万円
洗面所 10~50万円
リビング 30~150万円
ダイニング 20~90万円
寝室 10~80万円
玄関 10~50万円
外壁 50~150万円
屋根 50~150万円

筆者作成
 
なお、一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会の「2022年度 住宅リフォームに関する 消費者(検討者・実施者)実態調査 結果報告書」によると、2022年8月に過去3年以内に(自身の住まいの)リフォーム実施/居住中の物件の築年数10年以上/世帯主・自己所有に該当する25歳以上の方1260人に調査した結果、実際にリフォームを実施した方の予算・費用の平均は以下のとおりです。
 

・一戸建て:471万6000円
・マンション:278万6000円

 

リフォームのメリット・デメリット

リフォームは古くなった建物を新しくしたり、機能を充実させたりするメリットがありますが、反対にデメリットも存在します。デメリットも理解したうえでリフォームを検討しましょう。
 

◆リフォームのメリット

・建て替えに比べると工期が短く費用も安い
・固定資産の軽減制度を受けられる場合がある
・慣れ親しんだ家に住み続けられる

 

◆リフォームのデメリット

・建物の構造を変えない場合は間取りが制限される
・場合によっては新築と同程度の費用がかかるケースもある
・新築対象の住宅ローンと比べ融資額などに制約が多い

 

国の住宅リフォーム補助制度

国では政策の一環として、住宅リフォームの補助制度を提供しています。
 
管轄が国交省、経産省、環境省、厚労省と多岐にわたっていることからも、省エネに関する補助金から、子育て支援や耐震、高齢者の介護に関するリフォームまで幅広い制度があるのが分かります。
 
高額なリフォーム資金を軽減するためにも、リフォームの目的に合わせて各種補助制度を利用しましょう。

 

国の補助制度

国による各補助制度の概要と注意点は、図表2のとおりです。
 
【図表2】

制度名 概要 注意点
住宅省エネ2023キャンペーン ・こどもエコ住まい支援事業
条件を満たした新築住宅に100万円
・先進的窓リノベ事業
断熱性の高い窓への改修に5万~200万円
・給湯省エネ事業
高効率給湯器を設置に5万円または15万円
・申請は登録事業者
・予算が上限に達すると受付終了
住宅エコリフォーム推進事業 ・省エネ診断:補助率3分の1
・省エネ設計等・省エネ改修
補助限度額:35万円/戸(補助対象費用の40%を限度)
・申請は登録事業者
長期優良住宅化リフォーム推進事業(防犯補助あり) ・既存住宅の性能向上や子育てしやすい環境等の整備に資する優良なリフォームが対象
・補助率:補助対象費用の3分の1
・補助限度額:長期優良住宅(増改築)認定を取得しないものの、一定の性能向上が認められる場合…100万円/戸
長期優良住宅(増改築)認定を取得した場合…200万円/戸
・事業者登録後対象住宅を登録
・住宅登録前にリフォームが完成している場合は対象外
子育て支援型共同住宅推進事業(防犯補助あり) ・共同住宅(賃貸住宅及び分譲マンション)が対象
・子どもの安全確保に資する設備の設置:新築10分の1、改修3分の1(上限100万/戸)
・居住者等による交流を促す施設の設置:新築10分の1、改修3分の1(上限500万)
・施工前に事業者が事前審査を受け交付申請書を提出
住宅・建築物安全ストック形成事業 ・補強設計等費及び耐震改修工事費が対象
・個別支援とパッケージ支援がある
※詳細は市区町村で確認
居住の市区町村が対象かどうかの確認が必要
次世代省エネ建材の実証支援事業 ・高性能断熱材や蓄熱・調湿材などの「次世代省エネ建材」を使ったリフォームが対象
・外張り断熱:補助率2分の1、上限額:1~4地域…400万円/戸、5~8地域…300万円/戸
・内張り断熱:補助率2分の1、上限200万円/戸(マンション125万円/戸)、下限20万円/戸(戸建・集合とも)
・窓断熱:補助率2分の1、上限150万円
・事前に申請が必要
・着工前の写真を撮る

※申請者と補助金の振込口座の名義人は同じ

既存住宅における断熱リフォーム支援事業 高性能建材を用いた断熱改修を支援
・トータル断熱
個別住宅:120万円
集合住宅:15万円(1住戸)

・居間だけ断熱
個別住宅:120万円
集合住宅:15万円(1住戸)

・公募への応募が必要
介護保険法にもとづく住宅改修費の支給 要支援及び要介護の認定を受けた方の一定の住宅改修(段差の解消や手すりの設置等)に対して20万円支給 ・所得に応じて10~30%の自己負担
・詳細は市区町村に問い合わせ

国土交通省「住宅リフォームの支援制度」より筆者作成

 

リフォーム資金の税制優遇制度

国は補助金だけではなく、リフォームに関する税制特例も提供しています。詳しくは、図表3を参考にしてください。
 
【図表3】

税制優遇制度 概要 対象となる税金
住宅ローン減税 住宅ローンを借り入れて住宅の新築・取得または増改築等をした場合に、年末のローン残高の0.7%を毎年、最長13年まで所得から控除 所得税
個人住民税
住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置 父母・祖父母などの直系尊属から、住宅の新築・取得または増改築等のための資金を贈与された場合に、一定額までの贈与について贈与税が非課税になる制度
(適用期限:令和5年12月31日)
贈与税
耐震改修に関する特例措置 一定の耐震改修工事を行った場合、改修工事を完了した年の所得税額を一定額控除
(適用期限:令和5年12月31日)
所得税
固定資産税
省エネ改修に関する特例措置 一定の省エネ改修工事を行った場合、改修後居住を開始した年の所得税額を一定額控除
(適用期限:令和5年12月31日)
所得税
固定資産税
バリアフリー改修に関する特例措置 一定のバリアフリー改修工事を行った場合、改修後居住を開始した年の所得税額を一定額控除
(適用期限:令和5年12月31日)
所得税
固定資産税
長期優良住宅化リフォームに関する特例措置 一定の耐震改修または一定の省エネ改修工事と併せて行う一定の耐久性向上改修工事を行い、増改築による長期優良住宅の認定を取得すると改修後居住を開始した年の所得税額を一定額控除
(適用期限:令和5年12月31日)
所得税
固定資産税
同居対応改修に関する特例措置 一定の同居対応改修工事を行った場合、改修後居住を開始した年の所得税額を一定額控除
(適用期限:令和5年12月31日)
所得税

国土交通省「各税制の概要」より筆者作成

 

自治体の住宅リフォーム補助制度

リフォームに関する補助制度は、国だけではなく各地方自治体にもあります。自治体の補助制度は各地域のニーズに合ったものが期待できます。一般社団法人住宅リフォーム推進協議会のホームページでは、自治体(地方公共団体)の住宅リフォームに関する支援制度が検索できますので、これを利用して自分の居住地の状況を調べてみましょう。

 

自治体のリフォーム補助制度

具体的にどのような補助制度があるのか、5つの自治体の制度を図表4にまとめたので参考にしてください。
 
【図表4】

自治体 概要
東京都中央区 ◆分譲マンション共用部分改修費用助成
・共用部分の修繕工事または防災対策工事を行う場合に、設計費用及び工事費用の一部を助成

●限度額
・設計費用 10年間で100万円
・工事費用 10年間で1000万円
ともに申請は、10年間で2回まで

函館市 ◆函館市住宅リフォーム補助制住宅の補助
住宅のバリアフリー化、断熱化、耐震化の改修工事に対し費用の一部を補助

●補助金額
・バリアフリー改修工事および断熱改修工事
対象額の合計の20%以内で、限度額は20万円
・耐震改修工事
 耐震改修に要する工事費(消費税相当額を含む)の20%以内で、限度額は40万円

新庄市 ◆住宅リフォーム補助金
リフォームと地震改修の費用への補助

●一般型リフォーム補助金
・工事費用の5分の1、24万円まで

●移住・定住型リフォーム補助金
・工事費用の3分の1、30万円まで

●耐震改修補助金
・工事費用の2分の1、100万円まで(市外業者への発注は80万円)

大阪市 ◆空家利活用改修補助事業
空き家の性能向上や子ども食堂や高齢者サロンなどへの改修工事に対する補助

●住宅再生型
・性能向上に資する改修工事
費用の2分の1、75万円まで

●地域まちづくり活用型
・地域まちづくりに資する改修工事
費用の2分の1、300万円まで

※上記はいずれも5種類あるなかでもっとも高額なものを記載

高知市 ◆住宅改造助成事業
要支援あるいは要介護の判定を受けた方が、自己の居住する住宅を改造する場合に、その費用を助成

●住民税非課税世帯
助成率3分の2、30万円まで

●同課税世帯
助成率3分の1、22万5000円まで

●生活保護世帯
助成率3/3、45万円まで

各自治体ホームページより筆者作成

 

補助制度を活用してリフォーム資金の負担を軽減しよう

リフォーム費用は、規模によって数十万円から数百万円までかかる場合もあります。しかし、国や自治体の補助制度を活用することで、経済的な負担を軽減することが可能です。
 
補助を受ける際、ほとんどは着工前に手続きが必要です。リフォームを予定している方は、まず国や自治体の制度を調べてみましょう。また、業者が決まったら利用できる制度があるかどうかを確認することも大切です。

 

出典

一般社団法人住宅リフォーム推進協議会 2022年度 住宅リフォーム消費者(検討者・実施者)実態調査報告書
国土交通省 住宅リフォームの支援制度 ※令和5年3月1日時点
国土交通省 各税制の概要
一般社団法人住宅リフォーム推進協議会 地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト(令和4年度版)
東京都中央区 分譲マンション共用部分改修費用助成
函館市 函館市住宅リフォーム補助制度
新庄市 令和5年度新庄市住宅リフォーム補助金
大阪市 空家利活用改修補助事業
高知市 住宅改造助成事業
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
 

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