更新日: 2019.05.17 子育て
今からでも遅くない!教育資金作りに活用できる金融商品や支援制度とは
公立高校に通っていた子どもの保護者は私立大学の学費の高さに驚かれるかもしれません。高校までの学費は、家計からやり繰りするのが基本です。
そのうえで、大学等進学にかかる費用を計画的に準備しましょう。早く始めるほど楽に教育費の準備ができます。
Text:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/
大学等の学費の目安
初年度納付金(入学金、授業料、施設設備費)の平均は、国立大学では約82万円、私立大学文科系約115万円、私立大学理科系約152万円です。4年間では国立大学は約250万円、私立大学文科系は約370万~420万円、私立大学理科系では、約530万~580万円必要です。
合格時、入学手続きとして入学金と前期分の学費を支払うケースが多く、私立大学理科系では約90万~100万円必要です。したがって、高校3年(卒業年次)の秋までには、最低でも100万円の準備はしておきましょう。目標としては、私立大学理科系に進学すると仮定して、300万~600万円を貯める準備をしましょう。
児童手当を貯めるだけでも約200万円貯まる
所得制限がありますが、児童手当を生まれてから中学卒業までずっと貯めるだけでも子ども1人につき約200万円の教育資金が確保できます。所得制限を超えた場合は月額5000円となり、この場合ずっと貯めてると子ども1人につき約100万円になります。生活費として使ってしまわないよう、家計費と切り離して積み立てておきましょう。
仮に大学の進学費用として入学までにあと200万円貯めるとした場合、子どもが生まれてから高校卒業まで、毎月1万円を積み立てれば、18年間で216万円積み立てることができますので目標を達成できます。なるべく早く、積立を開始するのがコツです。
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金融商品は安全性、流動性を重視する
金融商品を選ぶ基準は、お金を殖やす(収益性)よりも、積み立てたお金が減らない(安全性)、使いたいときにすぐお金を引き出せる(流動性)ことがポイントです。
銀行や郵便局の自動積立定期預金(貯金)や、会社の財形貯蓄制度などを利用すると良いでしょう。長く積み立てることができる見通しがあれば、学資保険や、つみたてNISAを活用するという手もあります。学資保険は満期前に解約すると元本割れするリスクがありますし、つみたてNISAは短期の運用には向かないからです。
学資保険、つみたてNISAの特長について確認しておきましょう。
●学資保険のポイント
加入できる子どもの年齢には制限があります。保険会社により異なりますが、0~6歳までが加入の年齢上限であることが多いようです。契約者にも年齢制限があります。
親などが契約者となり子どもを被保険者として加入しますが、親などが死亡した時に、以後の保険料の支払いが免除される点が特長です。一定の生命保険料控除も受けられます。
保険料が口座から毎月引き落とされるので確実に貯められますが、短期で解約した場合には元本割れしますので注意しましょう。総支払保険料と保険金の受取り総額を比較して返戻率を確認しましょう。
例えば、総支払保険料が100万円、保険金の受取り総額が103万円であれば返戻率は103%となります。現在は低金利なので、返戻率が100%未満の商品もあります。返戻率を上げる工夫としては、保険料払込期間を10年など短くすると良いでしょう。
●つみたてNISAのポイント
つみたてNISAは、少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。
投資対象商品は、手数料が低水準、頻繁に分配金が支払われないなど、長期・積立・分散投資に適した公募株式投資信託と上場株式投資信託(ETF)に限定されていますので、投資初心者をとって利用しやすい仕組みとなっています。
一定の投資信託への投資から得られる分配金や譲渡益が非課税ですので、効率の良い資産形成が可能です。銀行や証券会社者などに口座を開設して運用します。
年間投資額の上限は40万円、最大800万円まで投資できます。非課税期間は20年です。売却益等の引き出しはいつでも可能です。
なお、NISAにはほかにも、一般NISA、ジュニアNISAがあります。一般NISAとは併用できません。ジュニアNISAとの併用は可能です。ジュニアNISAは18歳まで売却益等の引き出しが制限されている点、非課税期間が5年間と短いので、コツコツと教育資金を作るには、つみたてNISAが良いでしょう。
今からでも遅くない
目前に大学受験が迫っていて、教育資金が不足している場合はどうしたらいいのでしょうか。不足分は、学生が借りる日本学生支援機構の奨学金や保護者が借りる国の教育ローンなどを活用しましょう。
奨学金は入学後に一定額が毎月支払われるのに対して、教育ローンは、いつでもまとまったお金を借りることができるという違いがあります。
奨学金は入学手続き時の納付金には利用できません。違いを理解して活用しましょう。
Text:新美 昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。