夜中に突然の高熱! オンライン診療や自宅往診を利用したら、医療費はどうなるの?
配信日: 2023.06.28
そんな時に便利なのがオンライン診療や自宅往診です。オンライン診療や自宅往診を利用すると、医療費はどのくらいかかるのでしょうか? また薬の処方や受け取りはどうなるのでしょう。
執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士
大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
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個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
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オンライン診療って便利そうだけど……
新型コロナ感染症の流行の拡大時期に、医療機関の受診が困難になった人が増えました。以前のオンライン診療は、遠隔地で受診する特別なイメージがありました。
「自宅で受診できる」ことから、混雑した病院に出向く必要がないことに加えスマホ等で完結するので、コロナ禍で注目されるようになりました。まだ利用したことがないという方もいらっしゃると思いますが、冒頭のような小さな子どもを抱える親にとって、オンライン診療の利用法を知っておくと安心です。
利便性を考えたら魅力的なシステムですが、体に関わることです。安心して受診するためにも、厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」を参考に、その概要を見てみましょう(※1)。
この指針では、オンライン診療では得られる情報が視覚および聴覚に限られること、医師が患者から心身の状態に関する情報を得る信頼関係が成立していることを鑑みて、初診は「かかりつけの医師」が行うことを原則としています。また、症状によってはオンライン診療が受けられないこともあります。
実際には「かかりつけの医師」がいない場合や、「かかりつけの医師」がオンライン診療に対応していない場合などもあります。緊急時になってから、医療機関を探すことになります。ご近所にオンライン診療ができる「かかりつけの医師」を見つけておくことも一案だと思います。
実際にオンライン診療を利用する際の流れ
「オンライン診療を受けられる診療機関を探す」となった時にネット検索すると、いくつものオンライン診療システムが見つかります。例えば、ファストドクター、CLINICS、curon、LINEドクターなどがあります。
かかりたい医師がオンライン診療に対応している場合は、どのシステムを使っているのかを事前に聞いておくと良いでしょう。それぞれに仕様が違いますが、大まかな利用の流れは下記のようになっています。
(1) 会員登録
各種情報、保険証の確認、お薬手帳の履歴、支払方法などを登録
(2) オンライン診療の予約
・希望の医療機関を選び、診療日時を予約する
・問診の入力
・担当してもらう医師などを確認する
(3) 診察
・医師からの着信を待ち、オンライン診察を受診する
・薬が処方される場合は薬の説明を受ける
(4) 支払い
登録したクレジットカードなどで決済する
(5) 薬が処方された場合は薬局へ申請する
(薬を自宅へ配送してもらうことが可能な場合もある)
(6) 薬剤師からオンラインで服薬指導を受ける
診療と同様に日時を申し込み、オンラインで行う
(薬局窓口で薬剤を受け取る場合は、受取時に対面指導をする場合もある)
(7) クレジット決済などの会計後、処方された薬剤を薬局窓口や自宅で受け取る
注意点は次の3点です。
・症状や病気によってはオンライン診療に適さない場合があるので、医師の判断により対面診療を指示されることがある
・健康に関わることは大切な個人情報なので、プライバシーが守られる場所で受診することが大切
・画面越しに見えていても、映像や音声を対面と同じ状況に近づけるためには、部屋を明るくして安定した通信環境で受診するように心がける
システムによって利用料金は違います。例えば1回あたりcuron330円、LINEドクター660円です。それ以外に診療費用、調剤費用、薬の配送料がかかります。LINEドクターの場合、配送料金は通常配送が440円(診療の実施後1-4日以内)即日発送の場合は1050円(診療の実施日)です(2023年6月時点の情報)。
往診の費用について
急な発熱などでオンライン診療や自宅往診を受けた場合、費用が高額になるのではないかという心配があります。ご存じのとおり、診療費は決められた点数によって計算されます。オンライン診療・自宅往診ともに保険適用されますので、3割負担の方は点数×10×0.3で自己負担分が計算されます。
往診料(定期診療でなく臨時)の場合、点数は720点です(初診料などは通常の診療と同様)。これが外来診療よりもかかる部分です。また交通費が別途かかりますが、金額は医療機関に確認してください。急患ということを考えると往診に限らず、日時(日・祝日や夜間・深夜)などによって点数はそれぞれ加算されます。
子どもの場合は、自治体によりますが、医療費の助成もありますので、確認されると良いと思います。
最後に、下記のようなサイトもありますので、ご参考にしてください。
・総務省消防庁「救急安心センター事業#7119」(※2)
具合が悪くなった時に、「救急車を呼んだ方が良い?」などの疑問に、専門家からアドバイスを受けることができる電話相談センターです。残念なことに実施エリアは限定的ですが、#7119以外の番号で相談を行っている地域もありますので、確認されることをお勧めします。
・厚生労働省「子ども医療電話相談#8000」(※3)
夜間や休日でも子どもの医療相談ができる電話サービスです。自治体によって相談時間が違いますので、サイトでご確認ください。
・東京都福祉保健局「東京都 医療機関・薬局案内サービス」(※4)
東京都内の医療機関の場所や診療内容などの情報を検索できます。東京都にお住まいであれば、受診の目安として活用できます。
オンライン診療や自宅往診だけでなく、受診にあたっては、保険証・お薬手帳以外で医師に伝えるべき情報があるかもしれません。緊急時に備えて、日頃から通っている医療機関に対応方法を相談しておくことも必要だと思いました。
(※1)厚生労働省 オンライン診療の適切な実施に関する指針
(※2)総務省消防庁 救急車の適時・適切な利用(適正利用)
(※3)厚生労働省 子ども医療電話相談事例(#8000)について
(※4)東京都福祉保健局 東京都 医療機関・薬局案内サービス
出典
curon(患者向け) ホームページ
LINEドクター ホームページ
執筆者:宮﨑真紀子
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士