来年度の新入学に向けてそろそろランドセル探し? 生活困窮世帯のための学用品等の支援制度って?

配信日: 2023.06.29

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来年度の新入学に向けてそろそろランドセル探し? 生活困窮世帯のための学用品等の支援制度って?
ランドセルの購入は、年々早まる傾向にあります(参考:総務省統計局「通学用かばんへの支出」より)。来年度に小学校入学のお子さんがいる家庭では、すでにランドセルを購入したという方もいらっしゃるでしょう。
 
ランドセルの価格は、3万円前後のものから30万円を超えるものまでさまざまです。入学時に必要な学用品は他にもあり、入学用品をすべてそろえるとかなりの出費となります。日常の生活費からいきなり捻出するのは難しい金額です。
 
特に生活困窮世帯にとっては家計に影響を及ぼすことになるかもしれません。そのような世帯のための支援制度があることをご存じですか?
林智慮

執筆者:林智慮(はやし ちりよ)

CFP(R)認定者

確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。

就学援助制度

保護者は、子どもに教育を受けさせる義務があります(教育基本法第5条)。また、国公立の小中学校に通う場合は、授業料を支払わなくても授業を受けることができます(教育基本法 第5条4)。
 
学校生活を送るには、ランドセルや通学かばん、制服、文房具代や教材費の他、修学旅行や遠足などの行事代金などのお金がかかります。経済的に困っていても義務教育を受けられるよう、各市区町村には学校生活に必要な費用を援助する制度『就学援助』があります。
 
(学校教育法第19条「経済的理由によって、就学困難と認められる学齢児童または学齢生徒の保護者に対しては、市町村は、必要な援助を与えなければならない」によるもの)
 
新入学時については、入学準備に大きな費用がかかります。ほとんどの市区町村で入学前支給がされて、就学援助を利用して入学式に間に合うよう準備できます。市区町村によって援助金額が異なりますが、入学前支給の金額は小学校5万円程、中学校6万円程のところが多くあります。
 
ただし、入金時期は年末~3月中旬頃のため、入金より前にランドセルを購入する場合は、資金を準備しておく必要があります。
 

どのような家庭が就学援助の対象になる?

文部科学省のホームページ「就学援助制度について(就学援助ポータルサイト)」では、以下の者が就学援助の対象となるとされています。


○要保護者・・・生活保護法第6条2項に規定する要保護者

世帯収入が、厚生労働大臣の定める基準で計算された最低生活額(地域や家族の構成、年齢、などにより異なります)に満たない場合に受けられます。
 
○準用保護者・・・市町村教育委員会が生活保護法第6条第2項に規定する要保護者に準ずる程度に困窮していると認める者
準要保護世帯については、各市町村により基準が異なります。

例えば、岐阜市の場合、
 
(1) 前年度または当該年度において、次の処置を受けた世帯

・生活保護法に基づく保護の停止または廃止を受けた世帯
・市民税が非課税または減免となった世帯
・個人事業税が減免となった世帯
・固定資産税が減免となった世帯(家屋新築による減額などの軽減措置は除く)
・国民年金保険料の免除を受けた世帯(一部免除含む、夫婦の場合はそれぞれ必要)
・国民健康保険料の減免または、減額(国民健康保険法第81条)を受けた世帯
・児童扶養手当の支給を受けた世帯(児童手当、特別児童扶養手当とは異なります)
・生活福祉資金の貸付を受けた世帯

(2) 上記(1)に該当しなくても、以下の経済的に困っていると認められる世帯も対象です。

・職業安定所登録日雇い労働者
・保護者の死亡・病気等により、急激な収入減となった世帯
・前年の所得(収入から必要経費を引いた金額)により、経済的に困っていると認められる世帯

岐阜市の場合の「前年の所得から経済的に困っていると認められる目安」の例は、図表1のとおりです。認定基準はそれぞれの市区町村により異なります。ご注意ください。
 
【図表1】


 

どのような援助を受けられる?

生活保護世帯要の場合、国の教育扶助により義務教育に必要な一定の学用品代、教材代・給食費・交通費は実費で、学習支援日は上限付き実費で受けられます。修学旅行代は、就学援助制度からの支給です。
 
準要保護者の場合、援助の内容・方法は各市区町村により異なります。市区町村により、すべての費用が定額支給のところもあります。例えば、岐阜市の援助内容は以下のとおりです。


・定額支給……学用品費、新入学児童生徒学用品費(1年生のみ)
・実費支給(上限あり)……校外活動費、PTA会費、生徒会費、クラブ活動費
・実費支給……修学旅行費、給食費

(※岐阜市の場合、オンライン学習通信費は市が負担のため、援助対象になっていません)

まとめ

子どもに義務教育を受けさせることについて、経済的な理由でお困りの場合、学校生活で必要な費用を援助する制度があります。援助額や援助方法は、各市区町村により異なります。
 
在学中は、学校を通じてお知らせがあります。新入学の場合、お住まいの市区町村の教育委員会からお知らせがあります(9月頃より申し込みを開始する自治体もあります)。
 
さかのぼって支給はされませんので、申込期限に注意してください。詳細は、お住まいの市区町村の教育委員会へお問い合わせください。
 

出典

文部科学省 就学援助制度について(就学援助ポータルサイト)
e-GOV法令検索 平成十八年法律第百二十号 教育基本法
e-GOV法令検索 昭和二十二年法律第二十六号 学校教育法
岐阜市 就学援助(学用品・給食費等)
大阪市 令和5年度(2023年度)就学援助のお知らせ(早期1)
大阪市 令和5年度(2023年度)就学援助制度のお知らせ(早期2・一般・随時)
渋谷区教育委員会 令和5年度就学援助のお知らせ
渋谷区教育委員会 令和○年度就学援助費受給申請書(新入学学用品費の事前支給)
中央区教育委員会 令和5年度 新入学児童生徒学用品費のお知らせ
肝付町教育委員会 就学援助制度について
総務省統計局 通学用かばんへの支出
厚生労働省 生活保護制度の概要等について(令和3年4月27日)
 
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者

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