高すぎて払えない? 妊婦健診・出産にかかる費用とは

配信日: 2023.06.29

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高すぎて払えない? 妊婦健診・出産にかかる費用とは
妊娠して子どもの誕生を心待ちにする一方、「妊婦健診や出産にかかる費用が思ったより多くて不安」「出産費用が高額になりそうで、貯蓄がなく払えるかわからない」などと感じる方もいるでしょう。
 
妊婦健診・出産にかかる費用はどのくらいなのでしょうか。また、どのような支援があるのでしょうか。確認してみましょう。
宮野真弓

執筆者:宮野真弓(みやのまゆみ)

FPオフィスみのりあ代表、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者

子育てファミリーや妊活カップルのライフプランニングを中心に活動しています。
結婚や妊活、出産、住宅購入など人生のターニングポイントにおけるお悩みに対して、お金の専門家としての知識だけでなく、不妊治療、育児、転職、起業など、自身のさまざまな経験を活かし、アドバイスさせていただきます。
https://fpoffice-minoria.jimdo.com/

妊婦健診にかかる費用

妊婦健康診査(妊婦健診)とは、妊婦さんや赤ちゃんの健康状態を確認するために、定期的に行う健診のことをいいます。妊娠初期~23週は4週間に1回、妊娠24週~35週は2週間に1回、妊娠36週~出産までは週1回の受診が推奨されており、合計すると、出産までの受診回数は14回程度です。
 
妊婦健診にかかる費用は原則として保険適用外のため、全額自己負担になります。妊婦健診1回あたりの費用は5000~7000円程度ですが、検査内容によっては1万円を超えることもあります。
 
病院や検査内容、健診の回数などによって金額が異なりますが、妊婦健診でかかる費用は総額で10万~15万円程度が目安です。
 

出産にかかる費用

出産(入院・分娩)にかかる費用は、入院する施設や分娩方法によって異なります。厚生労働省の調べによると、令和3年度の出産費用の全国平均額は47万3315円でした(公的病院45万4994円、私的病院49万9780円、助産所などの診療所46万8443円)(※1)。
 
正常分娩の場合は、保険が適用されないため全額自己負担です。吸引分娩や帝王切開など異常分娩の場合は保険が適用されるため3割負担になり、正常分娩よりも負担が軽くなる場合があります。また、無痛分娩や和痛分娩を希望する場合には、その分の費用がかかります。
 

妊娠・出産にかかる支援制度

 

1.妊婦健診費用助成

妊婦健診の費用負担を軽減するため、自治体が費用の一部を助成しています。妊娠が確定し、自治体の窓口で妊娠の届出をすると、母子手帳と一緒に妊婦健診の補助券をもらえるのが一般的です。
 
助成内容は自治体によって異なりますが、全国平均は10万7792円(※2)となっています。この補助券を使うことで、妊婦健診1回あたりの費用は1000~3000円程度に抑えられます。
 
ただし、補助の対象外の検査などを受けた際は1万円を超える場合もあります。補助券を利用した上での自己負担額は、合計で数万円程度かかります。
 
なお、妊婦健診費用の助成は、一般的にお住まいの自治体の医療機関でのみ受けることができます。里帰り出産などで他の自治体の病院を受診される場合は、いったん全額を支払い、後日お住まいの自治体で精算します。必ず領収書・明細書を保管しておきましょう。
 

2.出産育児一時金

出産育児一時金とは、健康保険や国民健康保険などの被保険者またはその被扶養者が出産したときに、一定の金額が支給される制度です。
 
出産費用が増加傾向にあることから、2023年4月以降は子ども1人につき50万円(産科医療補償制度に加入していない医療機関で出産した場合や妊娠週数22週未満で出産した場合は48万8000円)に引き上げられました。
 
出産育児一時金の対象となるのは、妊娠85日(12週1日)以後の出産(死産・流産・人工妊娠中絶含む)です。
 
事前に手続きをしておくことで、出産費用のうち出産育児一時金を差し引いた金額のみを支払えばよくなります。なお、出産費用が出産育児一時金よりも少ない場合は、差額を受け取ることができます。
 

3.出産・子育て応援ギフト

2023年1月より順次開始されている新しい支援策です。妊娠届出時に「出産応援ギフト」、出生届出後に「子育て応援ギフト」がそれぞれ5万円相当分ずつ支給されます。
 
ギフトの内容は自治体によって異なり、「出産・育児関連商品の商品券(クーポン)」「妊婦健診の交通費助成」「産後ケアや一時預かり、家事支援サービスなどの利用料助成・減免」などのほか、現金や電子マネーの給付を受けられるところもあります。詳細はお住まいの自治体に確認しましょう。
 

4.出産手当金

健康保険に加入している人が出産のために会社を休み、その間に給与の支払いを受けなかった場合、会社を休んだ期間を対象として出産手当金が支給されます。支給額は、休職1日につき、日給の3分の2相当額です。
 

5.医療費控除

医療費控除とは、自分や生計を一にする家族のために1年間に支払った医療費が10万円(その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額)を超えた場合に、確定申告により税金が減額される制度です。
 
妊婦健診や各種検査の費用、分娩費用(普通分娩・無痛分娩・帝王切開などすべて)、入院費用、病院までの公共交通機関の交通費、妊婦・新生児の保健指導や産後ケアにかかる費用などが対象です。家族で合算が可能で、出産以外の病院での診療費や市販薬の費用なども対象です。
 

まとめ

妊婦健診や出産にはお金がかかりますが、さまざまな支援策が用意されています。上記のほかにも、お住まいの自治体や勤務先によっては、出産祝い金などがもらえる場合があります。
 
出産後に慌ててもらい忘れることのないよう、事前に制度や手続きを確認しておきましょう。出産の費用を抑えるためには、いくつかの医療機関について出産費用を調べ、比較検討してみるのも良いでしょう。
 
それでも妊婦健診や出産費用の支払いが苦しい場合には、クレジットカードのボーナス払いや分割払いを選択することを検討しても良いかもしれません。ただし、支払いが滞ることがないよう、家計ともしっかり向き合うことが必要です。
 
また、無理して抱え込まず、家族や自治体、ご加入の保険組合等に相談してみることも大切です。安心して出産に臨むためにも、しっかりと準備をしておきましょう。
 

出典

(※1)厚生労働省 第155回社会保障審議会医療保険部会資料
(※2)厚生労働省 妊婦健康診査の公費負担の状況に係る調査結果について/妊婦健康診査の公費負担の状況について(令和4年4月1日現在)
 
執筆者:宮野真弓
FPオフィスみのりあ代表、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者

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