更新日: 2023.07.10 その他暮らし
代引き配達商品で「偽物」が急増中!? 返金はできないって本当?
本記事では、代引きで偽物が届いた事例の紹介と、トラブルに巻き込まれないための注意点について解説します。
執筆者:齋藤彩(さいとう あや)
CFP
インターネット販売での代引きトラブルは増加傾向
インターネット販売の「偽物」に関する相談は消費生活センターに多く寄せられていますが、そのうち「代引き配達」でのトラブルが増加傾向です。2017年度は偽物の相談件数のうち「代引き配達」関連のトラブルが9.5%でしたが、2020年度は50.8%と増加し、2021年度は63.5%、2022年度は59.3%と高止まりしています。
図表1
独立行政法人国民生活センター 偽物が届くインターネット通販トラブルで“代引き配達”の利用が増加しています!!
2022年度のデータで契約当事者を男女別にみると男性が1260件(33.4%)、女性が2512件(66.6%)で女性が約7割を占めています。男女別の年代をみると、男性、女性ともに40歳代、50歳代、30歳代の順に多い状況です。
図表2
独立行政法人国民生活センター 偽物が届くインターネット通販トラブルで“代引き配達”の利用が増加しています!!
また、主な購入商品は、多い順に「紳士・婦人用バッグ」927件(22.9%)、「腕時計」484件(11.9%)、「サンダル」279件(6.9%)、「財布類」202件(5.0%)、「上着」180件(4.4%)です。
代引きで商品を購入する場合、商品が本物か偽物かに関して、代金を支払う前に確認できません。代金を支払った後で商品を確認することになるため、たとえ偽物だったとしても宅配業者に返金をしてもらうことは難しいでしょう。
具体的な相談事例とトラブル事例の特徴
具体的な事例を紹介します。
「SNSに国内ブランドの下着の広告が表示され、公式通販サイトの広告と思い、広告のリンク先になっていた通販サイトにアクセスした。通販サイトでは、ブラジャーが1枚約4000円で、1000円追加すると2枚購入できるということだったので、代引き配達で注文し2枚5000円を支払った。後日、宅配業者に代金を支払って、荷物を開封して商品を確認したが、偽物だった。
通販サイトの画面は残しておらず、販売業者の情報はメールアドレスしか分からない。宅配業者にも相談したが、「荷物を開封した後は受け取り拒否にはできない。返金はできない」と言われた。送り状の依頼主の欄には、発送代行業者と思われる事業者の名称、住所、電話番号が記載されており、販売業者の情報は不明である。
当該ブランドのホームページには、当該ブランドの名称をかたったなりすましの広告に注意するようにという注意喚起情報が公表されていた。購入前に確認すればよかった。(2022年5月・60歳代女性)」
独立行政法人国民生活センター 偽物が届くインターネット通販トラブルで“代引き配達”の利用が増加しています!!啓発資料 より引用
上記相談事例は一例ですが、トラブルに発展しているケースにはいくつか特徴があります。
●SNSの広告が入り口となっており、販売価格が大幅に値引きされている
●通販サイトや代引き配達の送り状に販売業者の情報の記載がない、あるいは販売業者の名称と異なる記載になっている
●通販サイトで「代引き配達」しか選択できない、あるいは「代引き配達」に一方的に変更される
図表3
独立行政法人国民生活センター 偽物が届くインターネット通販トラブルで“代引き配達”の利用が増加しています!!
オンラインマーケットプレイスの中には、出店している販売業者に注文し偽物が届いた場合に、販売業者に代わって消費者に商品代等を返金する補償サービスを設けていることがあります。しかし、例えばクレジットカード払いで注文したにもかかわらず、
一方的にキャンセルされ代引き配達となり商品を受け取ってしまうと、オンラインマーケットプレイス内での注文はキャンセルとなってしまっています。この場合、販売業者と消費者との直接取引となっているため、届いた商品が偽物だったとしても補償サービスの適用外となります。
販売業者が意図的にオンラインマーケットプレイス外での取引に持ち込む場合があるため、注意が必要です。
トラブルに巻き込まれないために
インターネット通販でトラブルに遭わないためのチェックポイントをご紹介します。
価格は安すぎないか
他のサイトでは、購入を検討している商品がいくらで販売されているのかを確認してみましょう。他のサイトと比較して価格が安すぎる場合は注意が必要です。
通販サイトの販売業者情報を確認する
通販サイトには、特定商取引法で販売業者の名称や住所、電話番号等の表示が義務付けられています。しかし詐欺サイトでは住所や電話番号が記載されていない、あるいは番地がない等でたらめな住所である場合が多く見受けられます。初めて取引するサイトの場合は、住所や電話番号の記載があるかを確認しましょう。
代引き配達で商品が届いた場合は、依頼人をしっかり確認する
代引き配達は、依頼人に覚えがなければ受け取りを拒否できます。依頼人をしっかり確認するようにしましょう。家族が代理で受け取る場合もあるかもしれませんが、代引き配達で宅配業者に代金を支払った後は、宅配業者からの返金は難しく、販売業者や依頼人に連絡し返金を求めることになります。
しかし、そのような場合、販売業者や依頼人の住所や連絡先が不明な場合もあり返金が難しいことが想定されます。家族が代理で受け取る場合は「本当に注文したかどうか」を受取人に確認してから、代金を支払い受け取るようにしましょう。
まとめ
本記事では、通販サイトにおける代引き配達トラブルとその事例、トラブルに遭わないための注意点について解説しました。インターネット通販の利用は生活を便利にしますが、誰でもトラブルに巻き込まれる可能性があります。
もし通販サイト上の取引で、販売業者から一方的に「代引き配達で送る」と連絡を受けた場合は、通販サイトの利用規約に違反している可能性もあります。取引や支払いはせず、通販サイトに連絡しましょう。また、取引で不審に思った場合、トラブルに巻き込まれた場合はすぐに消費生活センターに相談しましょう。
出典
独立行政法人国民生活センター 偽物が届くインターネット通販トラブルで“代引き配達”の利用が増加しています!!
執筆者:齋藤彩
AFP