【燃費向上へのタイヤ選び】低燃費タイヤの燃費改善率と寿命の目安とは
配信日: 2023.07.19
今回は、タイヤに関する基本的な知識を踏まえて、話題となっている低燃費タイヤを紹介いたします。低燃費タイヤとノーマルタイヤとの違いについても解説しますので、ぜひ、チェックしてみてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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タイヤの重要な役割とは
タイヤは、路面と接して、摩擦する力によって回転します。このタイヤの回転によって、車は走行できます。ここでかかっている力が、いわゆるグリップ力です。
車の方向を変えたいときにも、タイヤの摩擦が大きく関係しています。曲がる際には遠心力がかかり、車は外側に飛び出していこうとしますが、タイヤの摩擦力によって、外側にかかる力を抑えているのです。
タイヤの摩擦力は、燃費にも大きく影響します。タイヤが回転することで、「転がり抵抗」と呼ばれる、車が進む方向とは逆向きの力が発生します。転がり抵抗が大きいと、エネルギーを多く消費しますので、燃費が悪くなります。
抵抗が少ないタイヤは、エネルギーの消費を抑えることが可能です。しかし、転がり抵抗が少なくなると、タイヤのグリップ力も低下してしまうため、スリップしやすい状態となり、注意が必要です。
低燃費タイヤとは
低燃費タイヤとは、二酸化炭素の排出量の削減を目的として新しく登場した、燃費のよいタイヤです。1990年代後半より開発が行われて、1998年には、転がり抵抗を減らすことで、燃費が改善された低燃費タイヤが、日本で初めて発売されました。
現在では、多くのタイヤメーカーが低燃費タイヤの開発を行い、新しい製品が次々と発売されています。
低燃費タイヤの基準とは
低燃費タイヤと呼ばれるには、JATMA(日本自動車タイヤ協会)によって定められた、独自基準を満たす必要があります。
基準は、転がり抵抗係数とウェットグリップ性能の2種類です。それぞれ、ラベリング制度を採用しています。等級としては、転がり抵抗係数が、AAA・AA・A・B・Cの5段階、ウェットグリップ性能は、aからdの4段階です。
転がり抵抗係数がA以上で、ウェットグリップ性能がaからdの範囲にある製品が「低燃費タイヤ」を名乗ることができます。
基準をクリアした製品には、イラストを使った低燃費タイヤのマークと各等級が表示されたラベルが付けられるため、ユーザーは、製品のラベルを見ることで、一目でタイヤ性能の判断が可能になります。
燃費はどれくらい削減できる?
TFTC(タイヤ公正取引協議会)が試算した、タイヤの燃費への寄与率によると、市街地での走行で、7~10%になることが発表されました。道路の状況や、低燃費タイヤのグレードによっても、燃費改善率は異なりますが、転がり抵抗性能の場合、基準等級が1段階上がると、燃費が約1%改善されるといわれています。
このことから、ガソリン代の節約ができると考えられるため、低燃費タイヤの利用は、エコかつお得なのです。
ノーマルタイヤとの違いとは
低燃費タイヤは、ノーマルタイヤと比べると、燃費の改善率以外にも違いがあります。タイヤを選ぶ際の基準にもなるので、これらを意識して、商品を比較検討してみるとよいでしょう。では、どのような違いがあるのか、具体的に解説いたします。
重さ
低燃費タイヤは、ノーマルタイヤと比べると軽量です。タイヤを軽くすることによって、少ない力で回転できるため、燃費の向上につなげられます。
交換時期
低燃費タイヤは、ノーマルタイヤと比べて、偏摩耗しにくいことも大きな特徴です。交換の目安も、ノーマルタイヤでは、走行距離だと約3万km、製造から3年から5年といわれていますが、それよりも長くなっています。そのため、タイヤ交換の頻度も少なくて済んで、経済的です。
価格
低燃費タイヤは、ノーマルタイヤと比べると性能が高いため、そのぶん価格も高額です。同じメーカーやサイズでも、ノーマルタイヤよりも、おおよそ2000円ほど高い傾向にあります。購入時には、自分にとって価格差分の価値があるのかを、見極めることが重要です。
低燃費タイヤについて知っておこう
低燃費タイヤは、燃費改善と安全性能の基準をクリアしたタイヤです。独自の基準に基づいたラベリングシステムを採用しており、購入するときにラベルを見ることで、ユーザーが判断しやすくなっています。
低燃費タイヤへの交換を検討する場合には、値段の差や寿命、燃費の改善率のバランスを考えて、最適なタイヤを選ぶようにしましょう。
出典
一般社団法人 日本自動車タイヤ協会 JATMA 低燃費タイヤ等のラベリング制度
タイヤ公正取引協議会 TFTC 低燃費タイヤ等のラベリング(表示方法)制度
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー