更新日: 2023.07.25 その他暮らし

夫は年収800万の会社員、妻は年収150万のパート主婦の場合、離婚時の財産分与はいくらずつになる…?

夫は年収800万の会社員、妻は年収150万のパート主婦の場合、離婚時の財産分与はいくらずつになる…?
離婚時の財産分与の額がどうなるかは、当事者にとって重要な事柄です。
 
仮に年収800万円の夫と年収150万円のパートの妻という夫婦が離婚する場合、財産分与はどのようになるのでしょうか。夫婦が離婚する際の財産分与について考えてきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

財産分与の性質

財産分与には次の3つの性質があります。

・夫婦が共同生活を送る中で形成した財産の公平な分配
・離婚後の生活保障
・離婚の原因を作ったことへの損害賠償の性質

以上のうち、特に夫婦が共同生活を送る中で形成した財産の公平な分配という側面が強いといわれています。そのため、財産分与において明確に決まった額や計算式があるわけではなく、当事者の年収のみによって金額が大きく変わるということは、基本的には少ないと考えてよいでしょう。
 
どちらかといえば、「婚姻期間中に何円の財産を築いたので、それをいくらずつで分けましょう」というように、収入よりも財産の額を基準に決まることが多いです。
 
つまり、年収800万円の夫と年収150万円のパートの妻とでは、年収差が5倍以上あるので離婚後の生活を考えて妻のほうが多めに受け取るというような決め方ではないということです。
 
とはいえ、どのような額で離婚時の財産分与を行うかは、基本的に当事者の自由に定められています。夫婦の一方に全額をという場合もあれば、公平に半分ずつということもあります。もちろん夫の方が妻の5倍以上の年収があるから、財産のほとんどを妻という決め方も合意があれば可能です。
 

一般的にはどのような額で財産分与される?

一般的に、財産分与の額はまず当事者の話し合いによって決めるのですが、それでも合意に至らない場合は、最終的に家庭裁判所の審判にて決定されます。家庭裁判所の審判の場合、働き方による収入差に関係なく、婚姻中に築いた夫婦の財産を2分の1の割合で分け合うことが多いようです。
 
参考までに、令和2年度の財産分与において最も多かった認容・調停成立に至った額は、100万円以下です。総数1042件のうち240件と、およそ23%が100万円以下となっています。
 
次いで多いのが400万円以下と、およそ14%です。よほど結婚後に築いた財産が多かったり、相手方に離婚の責任が存在するというような特例的な事情がない限り、高額の財産分与を受けることは難しいでしょう。
 

特有財産は財産分与の対象にならない

財産分与の対象となる財産は、夫婦が婚姻中に協力して築いたとされる共有財産のみが対象となります。基本的に夫が稼いだお金であっても、それは妻の支えがあってこそ稼げたと判断されるため、夫の給料も財産分与の対象になります。同様に夫婦一方の名義である家や車なども財産分与の対象となるのが原則です。
 
しかし、特有財産と呼ばれる一部の財産は、財産分与の対象となりません。具体的には以下のようなものが該当します。

・婚姻前から有していた貯金などの財産
・婚姻中であっても相続によって得た財産
・知的財産など共有財産とすることが適当ではないと判断される一部の財産

全ての財産が財産分与の対象ではなく、あくまでも婚姻後に築かれた財産のみが財産分与対象になることを覚えておいてください。
 

財産分与の額は年収だけでは決まらない

財産分与は婚姻後に築かれた財産を基準に行われます。当事者間の協議によって合意に至らなかった場合は、家庭裁判所の審判となりますが、一概に夫婦の年収のみで財産分与の額が決まるというものではありません。
 
とはいえ、財産分与の額や対象となる財産の範囲については、疑義が生じやすい部分でもあります。もし、財産分与について夫婦で話がまとまらない場合は、家庭裁判所や弁護士に相談するなど、外部の力を借りて解決することをおすすめいたします。
 

出典

法務省 財産分与
司法統計 第34表 離婚後の財産分与事件のうち認容・調停成立件数  支払額別婚姻期間別  全家庭裁判所
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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