更新日: 2023.07.29 その他暮らし

部屋を借りるときに用意する敷金、その意味は?

部屋を借りるときに用意する敷金、その意味は?
マンション、アパートの部屋を借りる際に敷金を用意することがあります。不動産の賃貸借で必要なことがあるこの敷金は、そもそもどのような意味を持ったお金なのでしょうか。

井内義典

執筆者:井内義典(いのうち よしのり)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。

日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。

敷金は何のためのお金か?

敷金とは、賃貸借の際、借主が賃料の担保として貸主に預けるお金のことを指します。
 
かつては敷金について法令で明文化されていませんでしたが、2020年4月に施行された改正民法で「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう」(第622条の2 第1項)と明確に定義されるようになりました。
 
マンションやアパートの部屋を借りる際のその敷金の額は、賃料の1ヶ月分ということもあれば2ヶ月分ということもあるでしょう。ファミリー向けの物件やペット可の物件では3ヶ月分必要なこともあります。一方、物件によっては敷金ゼロの場合もあるかもしれませんし、「敷金・礼金」ではなく、「保証金・敷引き」が発生する地方(主に西日本)もあることでしょう。
 
契約によってその額や有無が異なりますが、敷金が必要な場合、初回賃料などと合わせて用意します。
 

預けた敷金の返還はいつ?

その敷金を用意した場合、敷金は部屋を借りている間は賃貸人・家主に預けたままとなります。そして、部屋の賃貸借の終了後、借主が部屋を貸主に返しますが、貸主は賃借にあたっての債務(部屋の修繕費・クリーニング費用)を控除したあとに敷金の残額を借主に返還します。
 
つまり、退去した際の部屋の原状回復に必要な修繕費・クリーニング費用(※原則として経年劣化や通常損耗による部分を除く)が差し引かれた上で、その残額が戻ってきます(【図表1】)。
 


 
貸主と借主の間に特約でもない限り、部屋を明け渡した後でないと、敷金は返還されないことになっています。実際に返還される具体的な日や時期については契約時に確認しておきましょう。
 

賃料が払えない時に敷金で充当できる?

部屋を借りている間、借主は契約に従って貸主に賃料を払わなければいけません。しかし、時に賃料が未払いになってしまうこともあるかもしれません。
 
もし、借主に未払いの賃料がある場合、貸主は借主から預かっている敷金を賃料に充当することができるようになっています。一方、借主側から「預けている敷金を未払いの賃料に充ててください」と主張して敷金を賃料へ充当してもらうことは、貸主が認めなければできないことになっています(【図表2】)。
 


 
新規に部屋を借りる際は、引っ越し費用なども含めるとさまざまな費用がかかりますが、敷金の意味についてもあらかじめ知っておきたいところです。
 
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

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