「イートイン」VS「テイクアウト」ランチ代が600円の場合、差額は1年間でどのくらい?「軽減税率」についても解説!
配信日: 2023.08.05 更新日: 2023.08.07
コンビニで買い物をして店内飲食する場合には消費税率10%、持ち帰る場合には8%という線引きのややこしさは、当初多くのニュースで取り上げられました。わずか2%の差ではありますが、同じものを食べるのに、食べる場所によって値段が違うというのは損をした気持ちになる人も多いのではないでしょうか。
本記事では、昼食を外で食べる人が毎回テイクアウトした場合と、店内飲食した場合の消費税の差額を計算してみたいと思います。
執筆者:佐々木咲(ささき さき)
2級FP技能士
軽減税率って何?
消費税の税率は基本10%となっていますが、「酒類・外食を除く飲食料品」と「定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞」については、軽減された8%が適用されます。これが軽減税率制度です。
一律の消費税率であれば分かりやすいところを、軽減税率制度を設けたのはなぜでしょうか。それは所得に対する税負担の公平をはかるためです。所得税は高所得者ほど税率が高くなる累進課税制度となっており、所得に応じた税負担となるように調整されています。
これに対して消費税は所得に関わらず全ての人が同じ税率で負担しなければならない税金です。飲食料品は生きていくのに欠かせないものであり、節約にも限界があります。そして低所得者では所得に対する消費税の割合が高くなってしまいます。そこで、飲食料品については消費税率を低くすることで少しでも税負担をやわらげる措置がなされたというわけです。
新聞が軽減税率の対象になっている点については賛否両論ありますが、イギリス、ベルギー、デンマーク、ノルウェーなどでも軽減税率の対象としていることから、日本だけが特異的な政策を行っているわけではないようです。
【ケース別に判定】テイクアウト? 店内飲食?
軽減税率は外食以外の飲食料品に対して適用されます。「テイクアウトは飲食料品」、「店内飲食は外食」となるのですが、少し判断を迷うケースについて確認しておきましょう。
●コンビニで購入した弁当をコンビニの駐車場に停めた車の中で食べる場合→テイクアウト
●キッチンカーで購入した弁当をキッチンカーが設置したテーブルで食べる場合→店内飲食
●そばの出前を会社で食べる場合→テイクアウト
基本的な考え方は、「どこで食べたか」になります。昼食を購入した店が設けているテーブルや椅子で食べた場合には店内飲食として10%、公園や車の中など飲食設備以外で食べた場合にはテイクアウトとして8%になります。
テイクアウトと店内飲食での差額
それでは、出勤時の昼食は毎日外食という人が、1年間テイクアウトを続けた場合と店内飲食を続けた場合とで消費税額の差を計算してみます。昼食1回当たりの単価は600円とし、年間出勤日数は240日とします。
【テイクアウト】
600円×8%×240日=1万1520円
【店内飲食】
600円×10%×240日=1万4400円
【差額】
1万4400円-1万1520円=2880円
1年間の差額は2880円という結果になりました。1ヶ月にすると240円です。このくらいなら「消費税がもったいないからテイクアウト」などと考える金額ではないと思う人が多いのではないでしょうか。
まとめ
「同じものを購入するのにテイクアウトと店内飲食で消費税が変わる」となると、大きな損をした気持ちになるかもしれませんが、2%では大した金額差になりません。消費税のことは気にせず、好きな場所で昼食を楽しんでください!
出典
国税庁 軽減税率制度の概要
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士