更新日: 2023.08.07 その他暮らし

新築住宅を建築、購入する際に覚えておきたいキーワード「ZEH」とは?

新築住宅を建築、購入する際に覚えておきたいキーワード「ZEH」とは?
わが国では、エネルギー基本計画(令和3年10月閣議決定)において、「2030年度以降新築される住宅について、ZEH基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指す」とともに、「2030年において新築戸建て住宅の6割に太陽光発電設備が設置されることを目指す」とする政策目標を設定しています。
 
この記事では、今後、新築戸建て住宅などを建築、購入する方々が知っておくべき、キーワードなどについて解説したいと思います。
高橋庸夫

執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

分かりやすくいうと、ZEHって何?

「ZEH」とは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略で、快適で、安全な、さらに低コストな住宅のことをいいます。例えば、高断熱な壁、床、屋根、窓によって、住宅内外の熱の移動を少なくすることで、住宅内の室温を一定に保ちやすくなり、住居内の温度差による健康被害や事故の防止にもつながります。
 
また、省エネ性能が高い設備機器などの導入によって、月々の光熱費を安く抑えることができ、太陽光発電などの「創エネ」と組み合わせ、エネルギーを作り出すことで、エネルギーの収支をゼロにすることも可能です。さらには、太陽光発電設備は、地震や台風などの災害のときにも電力確保の役割を担うことができます。
 

ZEHの基準

「ZEH」の基準を簡単に説明すると、快適な室内環境を保ちながら、住宅の高断熱化と高効率省エネ設備(空調、換気、給湯、照明)の導入により、エネルギー消費量を省エネルギー基準から2割以上削減し、さらに太陽光発電設備などの再生可能エネルギーを導入することで、年間の収支がゼロとなることを目指した住宅のことを指します。
 
具体的には以下が挙げられます。

【ZEHの定義:以下の(1)~(4)の全てに適合した住宅】

(1)強化外皮基準(地域区分1~8地域の、「平成 28 年省エネルギー基準」(ηAC 値、気密・防露性能の確保等の留意事項)を満たした上で、UA値[W/m2K] 1・2地域:0.40以下、3地域:0.50以下、4~7地域:0.60以下)
 
(2)再生可能エネルギー等を除き、基準1次エネルギー消費量から 20%以上の1次エネルギー消費量削減
 
(3)再生可能エネルギーを導入(容量不問)
 
(4)再生可能エネルギー等を加えて、基準1次エネルギー消費量から100%以上の1次エネルギー消費量削減

他にも、「Nearly ZEH」(寒冷地、低日射地域、多雪地域に限る)や「ZEH Oriented」(都市部狭小地の2階建以上および多雪地域に限る)などの基準があります。
 

ZEHの補助事業

エネルギー基本計画による政策目標達成に向けて、新築住宅を建築、購入する個人などを対象とした「ZEH」支援の各種補助事業があります。ここでは、その代表的なものとして、国の補助事業(経済産業省と環境省)の「ZEH補助事業」の概要を見てみたいと思います。
 

(1)ZEH支援事業

「ZEH」、「Nearly ZEH」、「ZEH Oriented」を対象として、戸建住宅における「ZEH」の定義を満たし、ZEHビルダー/プランナー(2025年度の自社ZEH受注目標を50%以上としたハウスメーカー、工務店等で登録した事業者)が建築、設計または販売した住宅に対して、55万円/戸の補助金を支給するものです。ZEH+の定義を満たし、一定の基準をクリアする場合は、100万円/戸です。
 

(2)次世代ZEH+(注文・建売・TPO)実証事業

「ZEH+」、「Nearly ZEH+」の要件を満たし、蓄電システムやV2H充電設備、太陽光発電システムなどを、1つ以上導入した場合に、100万円/戸の補助金を支給するものです。
 

(3)次世代HEMS実証事業

「ZEH+」、「Nearly ZEH+」の要件を満たし、高度エネルギーマネジメントを選択し、かつ、蓄電システムまたはV2H充電設備(充放電設備)を導入した場合に、112万円の補助金を支給するものです。
 
他にも、新築のマンションなどを対象とする「超高層ZEH-M実証事業」などの補助事業もあります。また、蓄電システム、直交集成板(CLT)、地中熱ヒートポンプ・システム等を導入する場合には、補助金が加算されます。
 

まとめ

今回ご紹介した国の補助事業の他にも、自治体独自の補助金制度を設けていることがあります。現在、国の制度では、太陽光発電設備の導入だけの補助事業はありませんが、自治体によっては、太陽光発電設備や蓄電設備の導入に対して、補助金を支給している場合もあります。
 
両者を併用することでその効果をより高めることができるかもしれません。しっかりと情報収集してみましょう。
 

出典

一般社団法人 環境共創イニシアチブ ZEH補助金について
一般社団法人福島県再生可能エネルギー推進センター 補助金制度の概要
環境省 地球環境・国際環境協力
 
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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