更新日: 2023.08.08 子育て

ひとり親世帯の子育て支援に関して支給される主な手当にはどんなものがある?

ひとり親世帯の子育て支援に関して支給される主な手当にはどんなものがある?
死別や離婚、さらには未婚の母などさまざまな理由によって「ひとり親世帯」となる場合があります。ひとり親世帯には、母子世帯と父子世帯がありますが、おおむね全体の9割は母子世帯が占めています。
 
このようなケースで多くの場合に問題となるのが、子育てに必要となるお金の問題です。
 
この記事では、事例として小学生の児童1名の場合を想定し、現行制度でのひとり親世帯の子育て支援に関する主な手当等について確認してみたいと思います。
高橋庸夫

執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

ひとり親世帯となった理由

厚生労働省「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」によると、ひとり親世帯となった理由として、母子世帯では79.5%、父子世帯では69.7%において離婚が原因となっています。また、母子世帯では、未婚の母の構成割合が増加傾向にあり、10.8%となっています。
 
【図表1】

【図表1】

厚生労働省 令和3年度全国ひとり親世帯等調査より筆者作成
 
日本においては、離婚件数自体は年々少しずつですが減少傾向にあります。背景には、婚姻件数がそれ以上に減少傾向にあることが要因として挙げられます。ちなみに、厚生労働省によると、2021年の婚姻件数は50万1138件で、2010年の70万222件と比較すると、約30%(約20万件)の減少となっています。
 

児童手当

2023年6月12日現在、2024年度から児童手当を拡充する方向で検討が進められています。ここでは、現行の制度での概要についてのみ確認することといたします。
 
児童手当は、中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している方に支給されます。当然、ひとり親世帯も対象となります。
 
支給額は、児童1人当たり月額で、3歳未満が一律1万5000円、3歳以上小学校修了前が1万円(第3子以降は1万5000円)、中学生が一律1万円となります。令和3年度の受給者数(一般受給資格者)は、960万1945人となっています。
 
児童手当の所得制限は、児童1人のみの場合、(1)所得制限限度額として、所得で660万円(収入の目安で875万6000円)、(2)所得上限限度額として、所得で896万円(収入の目安で1124万円)となっており、(1)未満であれば、前述の支給額が支給され、(1)以上(2)未満の場合、特別給付として一律月額5000円が支給されます。
 

児童扶養手当

児童(18歳に達する日以後の最初の3月31日まで)を監護するひとり親世帯等を支給対象とする制度です。手当額(令和5年4月から、2ヶ月分ずつ年6回支給)は、児童1人の場合、全部支給で月額4万4140円、一部支給で月額1万410円~4万4130円となります。
 
令和3年3月末の受給者数は、87万7702人で、母子世帯が82万9949人と約95%を占めています。所得制限は、児童1人の2人世帯で、全部支給が収入160万円(所得で87万円)、一部支給が収入365万円(所得で230万円)となっています。
 

低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金

令和5年度の特別給付金として、ひとり親世帯(児童扶養手当の受給者)のほか、住民税均等割が非課税となる子育て世帯を対象とした制度です。給付額は、児童1人当たり一律5万円(月額ではない)となっています。
 
所得制限は、児童扶養手当と同様であり、食費等の物価高騰の影響などを考慮して、児童扶養手当の受給者には申請なしに支給されます。なお個別の申請は、お住まいの市町村にお問い合わせください。
 

まとめ

この記事で紹介した3つの手当等について、小学生の児童1人で、受給条件を満たした場合の支給額を合計すると、児童手当で月額1万円、児童扶養手当(全部支給)で4万3070円、特別給付金で5万円となり、仮に年額に換算すると、68万6840円となります。
 
この他にも都道府県など各自治体による手当や障害児に対する手当などが用意されている場合もあります。お住まいの地域で利用可能な支援制度がないか確認してみましょう。
 

出典

厚生労働省 令和3年度全国ひとり親世帯等調査
内閣府 児童手当事業年報
厚生労働省 児童扶養手当受給者数,受給対象児童数・世帯類型別
児童扶養手当法施行令等の一部を改正する政令の施行について
 
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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