更新日: 2023.08.08 その他暮らし

郵便貯金が消滅するかも? 認知症になった親の「貯金の有無」を調べる方法は?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

郵便貯金が消滅するかも? 認知症になった親の「貯金の有無」を調べる方法は?
「30年前に預けた定期貯金が消滅した」という話題をニュースなどで見聞きして、「もしかして、わが家でも……」と不安になった人も多いのではないでしょうか。認知症を患っているなどの理由で家族名義の郵便貯金の有無がはっきりしない場合は、ゆうちょ銀行に調査を依頼すると判明する可能性があります。
 
本記事では、郵便貯金はどのくらいの期間で権利消滅するのかを紹介するとともに、口座の有無の調べ方や認知症で本人の意思表示が難しい場合の対処法をまとめました。
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旧郵便貯金法では最後の取引から20年2ヶ月で貯金の権利が消失する

郵便局に預けている貯金のうち、郵政民営化前の平成19年9月30日以前に預け入れた「郵便貯金」に関しては、旧郵便貯金法で権利の消滅期限が定められています。具体的には、定額郵便貯金、定期郵便貯金、積立郵便貯金は、満期後20年2ヶ月を経過しても払い戻しなどの請求がない場合、権利が消滅し払い戻しが受けられません。
 
通常郵便貯金、通常貯蓄貯金については、平成19年9月30日の時点で最後の取引から20年2ヶ月が経過している場合、その時点で権利が消滅しているため注意しましょう。
 
また、平成19年10月1日以後に預け入れた貯金は、最後の取引または満期日から(平成19年10月1日以後に一度も取引がない通常郵便貯金、通常貯蓄貯金は平成19年10月1日から)10年経過すると、ATMやネットバンキングでの取引が停止することがあります。
 

10年以上取引がないと休眠預金等活用法の対象となることにも注意

最後の取引または満期日が平成21年年1月1日以降の貯金は「休眠預金等活用法」の対象となります。ゆうちょ銀行に限らず、民間の金融機関でも同様です。
 
休眠預金等活用法とは、平成21年1月1日以降に10年以上入出金がない普通預貯金や定期預貯金などを、国が民間公益活動促進のための資金として活用できることを定めた法律です。預貯金が休眠預金とみなされると、金融機関の窓口で手続きをしなければ預貯金の引き出しができません。
 
休眠預金とみなされた口座の払い戻しや継続利用を希望する場合は、窓口に通帳やキャッシュカード、本人確認書類などを持参したうえで手続きが必要となります。ただし、休眠貯金となっても、預貯金に対する権利が失われるのではありません
     

郵便貯金の有無は現存調査で調べられる

ゆうちょ銀行に口座を持っているかどうか分からない場合に調べる方法として「現存調査」があります。
 
ゆうちょ銀行に現存調査を申し込むと、申込者の名義で開設された口座の有無を無料で調べて、結果を通知してもらえます。現存調査を希望する場合は「貯金等照会書」を記入して、窓口に提出しましょう。名義人本人のほか、代理人、相続人、親権者等が現存調査を請求できます。
 
なお、名義人本人がすでに亡くなっており相続人が請求する場合は、被相続人の死亡や申込者の続柄が分かる戸籍謄本などの書類が必要となります。
 

認知症などで本人の意思表示が難しい場合は現存調査できる?

認知症の程度にもよりますが、名義人本人が自筆で記入・捺印した委任状を用意できるのであれば、代理人が代わりに現存調査や貯金の払い戻しの申し込みすることが可能です。ただし、本人への電話での意思確認が行われることがあるため、しっかり意思表示ができる必要があります。
 
また、現存調査で貯金口座があることが判明しても、名義人が意思表示をできないような病状の場合は、財産保護の観点から口座の入出金停止の措置がとられるため注意しましょう。この場合、成年後見人等の代理権をもつ人を立てることで、払い戻しなどの手続きができます。
 
名義人本人が認知症などで手続きが困難なときは、まずはゆうちょ銀行や郵便局の窓口で対応を相談しましょう。
 

郵便貯金の現存調査の手続き方法を確認しよう

郵便貯金は、最後の取引や満期から一定期間がたつと、権利が消滅したり一部取引ができなくなったりします。親の郵便貯金の実態が分からない場合は、現存調査を依頼して現状を把握しましょう。
 
親が認知症などで自分での手続きができない場合、委任状を提出すれば家族が代理で手続きできます。親が書類の記入や意思表示が難しい病状で手続きが進められないときは、ゆうちょ銀行や郵便局の窓口に相談してみましょう。
 

出典

金融庁 長い間、お取引のない預金等はありませんか?

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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