来月から始まる大学推薦入試の結果発表。合格時納付金の準備はできていますか?
配信日: 2018.08.19 更新日: 2019.01.10
高校によっては、私立大学進学者の9割以上がAO・推薦入試というケースもあります。早ければ、9月にはAO入試の結果発表があり、11月には推薦入試の結果発表があります。
合格発表後、すぐに入学手続きとしてまとまったお金が必要になります。
教育資金が不足している場合、お金を工面する方法として奨学金と教育ローンがありますが、奨学金は入学後に振り込まれるため、入学手続き時の納付金には間に合いません。したがって、教育ローンを利用する必要があります。教育ローンのポイントを解説します。
Text:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/
教育ローンの種類
主な教育ローンには、日本政策金融公庫の「国の教育ローン」と「銀行等の教育ローン」があります。
「銀行等の教育ローン」は、安定かつ継続した一定額(200万円など)以上の収入がある方が対象です。金利は、変動金利(保証料込)が主流です。固定金利では労働金庫(ろうきん)の教育ローンがあります。返済期間は10年以内が多いです。「銀行等の教育ローン」は、「国の教育ローン」に比べ、申し込みから融資実行まで早いのが特徴です。
一方、「国の教育ローン」は、一定の世帯年収(所得)以内の方が利用できます。金利は固定金利(保証料別)のみで、ひとり親家庭などには金利などの優遇措置があるのが特長です。ここでは、日本学生支援機構の奨学金と並んで利用者の多い「国の教育ローン」についてポイントをお伝えします。
志望校が決まった時点で申し込む
入学手続き時の納付金の納付期限は、一般的に合格発表後1~2週間以内です。「国の教育ローン」は申し込みから融資実行まで最短でも20日程度かかります。合格発表後に申し込んだのでは、納付期限に間に合わない可能性があります。
志望校が決まった時点で申込んでおけば、契約書類や合格証明書などの書類が整い次第、納付期限より前に融資を受けることができます。
お金が必要な時期の2~3か月前に申し込むことができます。
融資が決定していても、何らかの事情により資金が不要になった場合には、キャンセルすることができますので早めに申し込んでおけば安心です。
納付期限を過ぎると合格しても入学を辞退したものと扱われるので注意してください。
借入限度額、金利など
世帯の年間収入(所得)の上限があります。例えば、子供の人数が2人の場合、世帯の年間収入(所得)の上限は890万円(680万円)です。
ただし、990万円(770万円)以内であっても、返済負担率が30%超などの特例要件を満たせば上限額が990万円(770万円)に緩和されます。
借入可能額は生徒・学生1人につき350万円以内(6か月以上の留学資金は450万円以内)、金利は固定金利(保証料別)1.76%(2018年8月)、返済期間は15年以内となっています。
連帯保証人の代わりに、公益財団法人の保証機関(保証料が必要)を利用することができます。
使途は幅広く、受験料・入学金・授業料などのほか、自宅外通学に必要な住居費用、教科書代、パソコン購入費、通学費用、学生の国民年金保険料などにも使うことができます。
ただし、今後1年間に必要になる費用のみ借りることができます。4年分をまとめて借りることはできません。
入学手続き時の納付金はいくら必要?
入学手続き時に支払う納付金は初年度納付金です。例えば、某私立大学経済学部の場合、初年度納付金は121万円です。
分割納付も認められていて、最小限、入学金と前期分の学費の合計71万円を支払う必要があります。
このように、多くの私立大学では、入学手続き時に、最小限、入学金と前期分の学費を支払う必要があります。
大学によっては、合格時は入学金、前期分の学費は3月末までというパターンもあります。志望校の納付額と納付期限を確認しておくことが大切です。
ひとり親家庭などに優遇措置
ひとり親家庭は、金利、保証料、返済期間の優遇が受けられます。
交通遺児家庭は、返済期間と保証料の優遇措置を受けられます。世帯年収(所得)200万円以内(122万円)の方や、扶養する子どもが3人以上で、かつ、世帯年収(所得)500万円以内(346万円)の方は、返済期間と金利の優遇措置を受けられます。
優遇措置の内容ですが、金利が通常の金利-0.4%、保証料が通常の3分の2、返済期間は18年となっています。
なお、自治体の中には利子の補給をしているところもありますので調べてみましょう。
Text:新美 昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。